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ブン幸に突入です。









『 幸村が 女になってしまった 』

そう柳から連絡を受けた時、ブン太は当然信じられなかった。
しかし、柳がそんな冗談をわざわざ自分に電話してくることも考えられない。
とにかく、幸村の身に何か大変なことが起こっているのは間違えないのだと感じた。

・・・女になった、なんて。
自分の目で確かめなければ、理解出来ない。





「幸村っ!! だいじょうぶかよっ!」

幸村が居る場所を柳から聞き出したブン太が、部室のドアを勢いよく開けて飛び込んで来た。
ダッシュで駆けて来たのか、ブン太は髪を振り乱し、肩で呼吸するかのように息も上がっている。

しかし、そんな呼吸の乱れが一瞬で止まるかのような出来事がそこにあった。
目に飛び込んできた幸村の姿・・・

「・・・やぁ、ブン太」

ニッコリと微笑んで軽く手を振る幸村。


「!?・・・・ゆきむら?」
ブン太は思わず目を擦る。

雰囲気から存在感から、目の前に居るのは幸村だと実感出来る。
でも、身長も自分より小さくて、細いし、声も高い。
身に纏っている女子制服にも違和感なく、とてもとても可愛い。

(柳の言ってたこと・・・マジだったんだ)
少し呆然としてしまったブン太。


その横を仁王が通り過ぎたことにより、我に返る。
「じゃ、先に行ってるぜよ。ユキ」
仁王はそう言って、先に部室を出て行った。
それに応えるように幸村は無言で頷く。
そして、ブン太の視界に飛び込んで来た。

「ブン太にも心配かけちゃったね。原因は俺にも分からないんだけど・・・ゴメンね」
小首を傾げてブン太の顔を覗いてくる幸村。
クルリと動く綺麗な瞳と、サラりと揺れる青みを帯びた柔らそうな髪。

「え!!そんな、幸村が謝ることなんて、何もないじゃん」
ブン太は慌てるようにそう言った。

普段のブン太なら、まず今まで仁王と二人でどうしていたのか・・とか、
何で自分にすぐ連絡してくれなかったのか、とか。
幸村への子供のような独占欲ゆえ、色々と騒ぎ立てることが予想された。
ところが、そんなことはすっかりブン太の頭から消えていて。

逆に幸村に謝りたい気持ちだった。

原因も分からずこんな状態になってしまった幸村・・・
幸村自身も他の皆も、困惑している部分があるというのに、
ブン太の中には何故か歓喜が溢れてきていたのだ。
それにはある心に秘めた理由があったから。

(・・・やべ、何 考えてんだ・・オレ)

非常識な思考だと、ブン太は軽く頭を振る。


「・・・ブン太??」
そんなブン太に幸村が心配そうに声をかけた。
優しい幸村。
外見が変わったって、やはり幸村なんだとハッキリ分かる。


「さ、練習はじまるから、行こうぜぃ!」

ブン太は元気よくそう言うと、幸村に手を差し出した。
その手を微笑みながら幸村が受ける。
二人はそのまま手を繋いでコートへ向かった。




つないだ幸村の手は細くて小さくて、温かい。

ブン太の心は葛藤していた・・・・















コートに着くと、すでに練習の準備は済んでいて、幸村を待っている状態だった。

「遅いぞ、精市!部長のおまえがいなければ始まらん」
「ああ、ゴメンね。蓮二」

柳と仁王は他のメンバーと比べるとかなり違和感なく幸村に接しているように見える。
対して、特に真田などはどこか一歩引いているような感じだ。
しかしブン太から見れば、それは引いているというよりは確実に奥手なエロおやじ的状態。
平静を装いつつチラチラと幸村の肢体に向けられる目線が気にくわない。

「なんだよ、柳! 幸村のこと怒ることねーだろ」
ブン太はそう言いながら、幸村を庇うように背中に隠した。
ついでに変な視線を向けていた真田を睨む。
気づいた真田はやはり邪な心があったのか、さっと目を逸らし帽子を目深に下げた。
撃退してやったぜぃ!と心の中でガッツポーズを決め、ブン太は軽く拳を握る。

「ありがとう、ブン太」
背後から幸村の小さな囁きが聞こえて、ブン太は嬉しそうに笑顔で振り向いた。
・・・・が、その瞬間、
視界に入った別の人物にブン太の笑顔が引きつる。




「あれー?誰ッスか?? この子?」


いつのまにか庇った幸村の後ろに赤也が立っていた。

赤也には柳からも連絡が取れなかったため、ブン太よりも更にこの状況を知らない。
来てから説明することにしていたのだが、突然の登場。

赤也はレギュラー陣に混ざっている目前の女子が誰なのか、勿論気づいていない。
一瞬、凍りついたような雰囲気の中、柳が説明を切り出そうとすると、
それより先に幸村が言葉を発した。


「・・・遅刻とは いい度胸だね。赤也」

「??・・・・・はぁ?・・」

目前の可愛い女の子から発せられたその言葉に、赤也の目が点になる。
でも、どこか覚えのある威圧感を放っていた。
他のメンバーもそれを感じ取り、黙ってしまう。
説明を切り出そうとした柳も一度引っ込んだ。


「また、バス停 寝過ごした・・・とか言うのかい?」


「え!!?・・・あの、スミマセン!目覚まし壊れてたっていうか、わざとじゃないんスっ・・・、て アレ?え?!」

無意識に弁解してしまった赤也が自分に混乱する。
一番近くにいたブン太にどうなっているのかという目で訴えていた。
そんな赤也に対してブン太は得意気に笑う。

「幸村にそんな言い訳 通用しないぜぃ。バカ赤也〜」


「えーーー!!やっぱ幸村部長っ!? なんスか!?一体何なんスかぁ!!?」


ますます混乱する赤也にようやく柳が説明を始めた。
赤也に携帯が繋がらなかったのは、やはり車内で居眠りしていたためだったらしい。









その後、赤也にも状況が理解され、練習が始まった。
女の子になってしまった幸村は直接練習に参加することは出来ないので、指示を出したりアドバイスをしたりしていた。

そんな時の表情はまさしく部長の顔で、外見とのギャップが魅惑的なものになる。
もともと綺麗な顔立ちの幸村だ。
女の子になったことでそこに可愛さもプラスされ、しかもスタイルも抜群。
気にするなという方が無理な話だ。

先ほど、ブン太は幸村に邪な視線を向ける真田を威嚇したが・・・
正直、自分だってそういう気持ちになってしまう。

練習中もどこか上の空で、とにかく幸村のことが気になって仕方なかった。
ブン太には心の奥底に、到底叶わないであろう夢を抱いていたから。


「こら!ブン太! ちゃんとボール見てる?」
「!・・わっ、ゴメン!」

ジャッカルとラリーをしていたブン太だが、返球方向がめちゃくちゃでラリーにならない。
そんなボーっとしているブン太に気づいて、幸村が注意をしながら駆け寄ってきた。
制服のスカートが広がって見え隠れする白い足
やわらかそうに揺れる胸・・・
ブン太はますます練習に集中出来なくなってしまう。

「おい!ブン太っ、ボールいったぞ!」
「ブン太!あぶないっ」

ジャッカルの声と幸村の声が同時に注意した時にはもう遅かった。
ボールを防ぐことも避けることも出来ずに、ブン太はその場に転んでいた。

(・・・いてぇ、っていうか オレ かっこ悪くね?)
自己嫌悪。



「ブン太?大丈夫?」

幸村の優しい声が真上から聞こえた。
コートに寝ころぶように転んでいたブン太がその方向に顔を上げると、
すぐ傍に幸村が立っていて、ブン太を心配そうに見下ろしている。

そんなブン太の目に飛び込んできたのは、幸村のスカートの中身。
ちょうど視覚に入る位置で、ブン太は思わず凝視してしまった。
白くてフリルのたくさんついた可愛らしい下着。
幸村の女の子としての部分を目の当たりにして、ブン太は慌てて立ち上がる。

「・・平気、平気!ちょっとつまずいただけだし、なんともないって」

そう言って足についた砂埃などを掃った。
すると、あきらかに砂埃とは違う感触がしてブン太は自分の足に目を落とす。
良く見れば、両膝に擦り傷が出来ていて、少し出血していた。
気づいて意識がそこにいくと、徐々に痛みを感じてくる。


「全然何ともなくないよ、ブン太!血が出てるし!」
「大丈夫だよ、幸村。こんなのちょっと洗ってくれば・・・」

こんな自分が本当に格好悪い・・と感じたブン太は、幸村を心配させまいと痛みを堪えてそう答えた。
しかし、そんなことを聞く幸村ではない。
それはやっぱり外見が変わっても同じだ。

幸村は優しい。


「だめだよ!ちゃんと消毒とかしないと!!ほら、おいで!」


優しい幸村からのお叱りが飛んで、ブン太は大人しく「うん」と頷いた。
すると幸村はニッコリと微笑んで、ブン太を肩に担ごうとした。

「わわわっ、幸村!無理だって、それはっ」
「・・・え?、あ そうか。今は俺の方が小さかったんだ・・・ごめん」

いつもの感覚で行動しようとした幸村をブン太が止める。
細い女の子の身体でブン太を担ぐのは絶対に無理だ。
改めて外見の変化を痛感したのか、幸村の表情が少し寂しげになった気がした。

「じゃあ、肩 貸してよ。幸ちゃん♪」


そんな幸村を励ますかのように、ブン太は笑顔を向ける。

「・・・うん。いいよ じゃあ、俺に掴って歩いて」
ちゃんと役に立てることが嬉しいようで、幸村も笑顔を返した。










そして、ブン太の様子に気づいた他のメンバーが集まりだすと部長としての幸村に戻る。
自分はブン太を保健室に連れて行くから、と後の練習については柳に一任した。

「ブン太の応急処置をしたら戻るから、ちゃんと練習頼むよ」

一時的とはいえ、幸村の姿が見えなくなるのを残念に思うメンバーの表情が伺える。
特に真田などは文句を言いたそうな雰囲気だったが、幸村の決断に水を差すことは出来ない。
そんな真田が拳を握りしめ耐える中、ストレートな意見が飛んだ。


「そのくらい 一人で行けるんじゃないスかー?部長まで行くことないですって」

平然と述べる赤也。
一瞬の静けさが通り過ぎ、赤也は目をパチクリさせる。
何かマズイことでも言っただろうか、と頭を掻いた。

そんな中、幸村は静かに微笑んで呟く・・・


「・・今の俺は練習にもまともに参加できないんだから、これでいいんだよ。赤也」

その言葉には幸村の不安が現れていた。
誰もがそれを感じ取った。
何でこうなってしまったのか、ちゃんと元の姿に戻れるのだろうか・・・

赤也も事の重大さを痛感して、誤りたかったが言葉が上手く出てこなかった。



「じゃ、行こうか。ブン太」
静寂を納めるように、幸村はまた笑顔を見せる。
ブン太を自分の肩に掴まらせて、ゆっくりと歩き出した。


















しばらくして、背後では練習を再開したボールの音が響く。
それに気づいて幸村はホッとした表情を浮かべていた。

「幸村・・・」

幸村の表情を見て、ブン太からは無意識に呼びかける声が出る。

「ん?なに?ブン太」
「あ・・・ううん。 肩・・貸してくれてありがとな。」

どういたしまして、と幸村は満面の笑み。
でもブン太はどこか複雑だった。





困っている幸村を不安にはさせたくない
大好きな幸村
守ってあげたい



それなのに、どこか溢れてくるこの想い
これは絶好の好機なのでは・・・と、心の奥が揺れている


心に秘めた夢
到底叶わないであろう その夢が

もしかしたら叶うかもしれないのだ






それは いけないこと なのに・・・・・










(2009.04 若林みかん)





6話目ですっ。まだ続いてしまいます・・・長くてスミマセン。
今回、ブン幸な話になっていきますが、まだここまでは前置きッス(><)
前置きも長くてスミマセン!

このあとは、ブン幸のエロにぃぃぃ!!!・・・突入??ふふ(^u^)
ブン太に何をさせるのかは、最初から構想があったので、頑張ります!!!

でもきっと、どこか夢見がち・・・になるかも。基本、カワイイ二人ですので☆

ではでは、ご感想などありましたら是非に!





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