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一部大人向け表現があります。






ぐう〜…っと、ブン太のお腹の虫が鳴いている。


「お腹すいたね」と言いながら、ブン太と幸村は食堂へと向かった。
もう練習は終わったと柳は言っていたので、みんな食堂に集まっている頃だろう。
思った通りで、食堂に近づくにつれて美味しそうな香りが漂ってくる。

「なんか、スゲーいい匂い!」
その香りに誘導されるブン太。
でも幸村にはちょっと疑問が残る。

「ねぇ、誰が料理してるのかな?」
合宿中も食堂は開放されているが、参加人数が少ないと調理師は来てくれない。
今回、合宿施設を使っているのはテニス部のレギュラー陣だけだ。
少人数だから料理をしてくれる人はいないハズ。

「そういえば、そうだなぁ。ま、とにかく行ってみれば分かるんじゃね?」

ブン太は楽観的にそう答えると、幸村の手を引いて食堂の扉までズンズンと足を進めた。



扉の前に立つとますます美味しそうな香りが漂う。
我慢出来ないブン太は遠慮なく食堂の扉を開けた。

「めっちゃ旨そうー!!メニュー何、何?誰 作ってんの!」


勢いよく食堂に入るブン太。
しかし、中にいたメンバーからはどこか冷やかな視線を感じる。
練習を抜け出し、戻らず、さらに幸村と今までずっと一緒いたブン太だ。
しかも、幸村の手を引いて来たから皆の前に手を繋いで現れた状態となる。
それに対して、この状況は当然のことかもしれない。

個人差があるにせよ、誰もが今の幸村を可愛く想っているのだから。


「丸井!!一体今まで何をしていた!説明せんか!」
まさにブチ切れそうな真田の一喝が響く。
食堂のテーブルをバン!と叩いてブン太を睨んだ。

「はぁ?なにって、言ってもいいのかよ?」

ブン太も負けてはおらず、得意気な表情で言い返した。
真田とブン太の間でバチバチと火花が散る。
その様子を柳と仁王は静観し、柳生は止めようかと慌てだし、赤也は面白そうに見ていた。


そして、その間に入ったのは幸村…

「はい、ストップ。ブン太は悪くないよ。
俺が寝ちゃったから、ブン太はついていてくれただけ。悪いのは俺。説明はこれでいい?」


そう言う幸村の表情は凛としていて、正に部長の顔だった。
可愛らしい今の姿にこの表情は、もはや武器である。
更に真田には効果絶大。
「わ、わかった。幸村がそう言うのなら…」

すっかり大人しくなった真田は帽子を目深に被り、照れ臭そうに咳払いをしながら席に付いた。




「幸村っ、台所行ってみよーぜ♪」

大人しくなった真田に対して見せつけるように大きな声を出したブン太。
そのまま幸村の手を引いて台所に入る。
台所には廊下まで漏れていた美味しそうな香りの正体が並んでいた。


「おっ!やっと帰ってきやがったな〜全くよぉ」
ブン太達が顔を出すのと同時にため息をついたのはジャッカル。
料理をしていたのはジャッカルだった。

「すげーじゃん!うまそー!!オレ、味見してやるぜぃ」

「大したもんはねぇぞ。親父の店で出してるやつを持ってきただけだからな」

ジャッカル曰く、既に出来ていたものを温め直しているだけ…という事らしいが。
ブラジル料理という普段馴染みのないものにブン太は興味津々だった。
目を輝かせてお鍋を見つめている。


「悪いね、ジャッカル。えっと〜、俺はお皿でも用意しておこうかな」

調理の方はジャッカルとブン太に任せて、幸村は食器の準備をすることにした。
大皿に盛って取り分けることになるので、まずは大皿を用意しようと食器棚を開けてみる。
目的の皿は食器棚の一番高いところに収納されていた。
幸村は不愉快な予感を抱きつつ、それに手を伸ばす。
「…ん〜!もう少しっ」
やはり、なかなか手が思うように届かない。

今の幸村はブン太よりも身長が低いのだ。
普段の感覚通りにいかないのがもどかしい。
背伸びをして、懸命に手を伸ばすが難しかった。

こんなふうに自分が変わってしまった、女の子になってしまったのだと実感させられると悔しくなる。

幸村は伸ばしていた手を引っ込めると、高所にある大皿を見上げて睨んだ。
すると背後からその大皿に向かって誰かの手が伸びる。


「何枚必要なんじゃ?ユキ」
それは仁王の手だった。

今の幸村とは違って、高所の皿を簡単に取り出してしまう。
本当なら、仁王と幸村の身長は同じ。
自分だってそう出来たはずなんだ…、と幸村はムッとした表情で振り向き、こう答えた。

「100枚!!」


「ほぅ〜、それは大変じゃ。これだけじゃ間に合わんぜよ」
その答えも、ムッとした表情も可愛くて、仁王は思わずからかいたくなってしまう。

「…仁王っ!」
明らかに楽しんでいる感の仁王に悔しさを感じて、幸村は小さな拳を振り上げた。

「まぁ、そう怒りなさんなって」
その小さな拳を包み込むようにして仁王が受け止める。
そのままグイッと引っ張って幸村の耳元でこう囁いた…



「ユキ…、女になった気分はどうじゃ?痛くなかったか?」

「えっ!!?」


何で分かったのか?、と幸村は顔を真っ赤にしている。
そんな幸村の表情もとても可愛らしい。
仁王は何でもお見通しという感じの笑みを浮かべて、さらに囁いた。


「これでオレとの続きも…楽しめそうじゃの。・・あとで電話する」
「…っ、あ……うん。」

幸村は頬を染めて恥ずかしそうにコクンと小さく頷く。

仁王に触れられた時の事を一気に思い出したのと同時に、囁く仁王の表情が何とも格好良く見えてしまったからだ。
女の子としての部分が胸の高鳴りを呼び起こしてしまう。



「ユキは小さい皿を持って行きんしゃい。」
仁王はそう言って小皿の何枚かを幸村に手渡すと、ポンポンと優しく頭を撫でた。
「うん…わかった」
促されるように返事をして、幸村は小皿を両手に台所を出る。

そんな幸村の目前にスッと手を差し出す者がいた。


「部長、それオレが運びますよ」

目前にいたのは赤也。
ニカッと笑って幸村の両手から小皿を取った。

「赤也!そんな気遣いは要らないよ!」
返しなさい、と言わんばかりの幸村。
皆から色々心配されるので、自分で出来ることはちゃんとやりたい…というのが幸村の考えなのだ。

しかし、今の可愛らしい幸村を見れば誰だって過保護になる。
後輩から見てもそう感じるだろう。


だが、赤也の気持ちはそれだけではない…。


「いいんスよ。皿割って部長がケガでもしたら大変でしょ」

「赤也?俺がそんなドジに見えるのかい?」

赤也の言葉に対してニッコリと微笑みながら、幸村は奪われた小皿をサッと数枚回収した。。
その微笑みの下にはある程度の苛立ちが含まれている。
普段の幸村だったら、冷やかな微笑・・・となるのだろうが。
赤也にとって、今の幸村ではその効果は薄く、どちらかというと可愛らしさが先行しているように感じられた。

「ドジになんて見えませんよ。っていうか、可愛く見えます」
「・・・・赤也? ふざけてるとホントに怒るよ?」

幸村はまた同じようにニッコリと笑う。
そんな幸村の顔を覗き込むようにして、赤也は言った。



「マジで、すげー可愛いッスよ。幸村部長・・・」

その赤也の声色は全くふざけてなどいない。
真剣で真っ直ぐな言葉だった。

こんな時、幸村は女の子としての気持ちを敏感に感じてしまう。
異性から好意を表してくるような類の言葉、雰囲気。
それにはこんなにもドキドキしてしまうものなのか・・・と。
幸村は一瞬力が抜けて、手にしていた小皿を落としてしまった。

ガシャン、と陶器の割れる音が響いて食堂内はあっという間に大騒ぎになった・・・







不本意ながら見事にお皿を割ってしまった幸村。
皆が心配して集まり、幸村にケガがないか柳生が確認して、割れたお皿は真田が片づけた。

その後、落ち着いたところで食事を済ませ、就寝の準備時間となった。

本来なら、皆で同じ部屋を使い就寝・・というところだが、
今の幸村には当然、別室が用意される。
その点については、柳の指示で柳生が手配をしていた。


「では、幸村くん。これが部屋のカギです。隣の女子用の施設になりますので」
「・・・・仕方ないね」
幸村はカギを受け取りつつ、寂しそうに呟く。
何もなければ、皆とずっと楽しく過ごせたのに・・・と考えてしまう。


宿泊施設の建物は、男子用と女子用で別れていた。
一階のロビーが渡り廊下で繋がっていることを除いては、全く別々である。
その渡り廊下も夜になれば警備員によってしっかりと閉められてしまう。
幸村はトボトボと、一人部屋に戻った。
広く作られた部屋が一人では更に広く感じる。
窓際に立ち、夜空を眺めた。

(・・・明日になったら 元に戻るかなぁ・・・)
流れ星でも見つけたらお願いしてみようか・・などと思いながら、しばらく夜空を眺めていた。


どのくらい呆けていたのか、気がつくと大分時間が過ぎている。
日付がとっくに変わっていた。
幸村はフゥ、と溜息をつくと荷物を広げる。
シャワーを浴びて寝ようと思い、パジャマにと柳から渡された女子用の体操着を取り出した。
それとジャッカルが必死の思いで買ってきたという、女の子用の下着。
改めてそれらを見て複雑な気持ちになる。
また溜息が出た。
・・・と、その時。幸村の携帯が着信を知らせて音を奏でる。
携帯画面に出た名前を見て、その人物が「あとで電話する」と言っていたことを思い出した。
同時に胸の高鳴りもやって来る。
相手の声を聞くと、その胸の高鳴りが更に増した。




「・・・まだ起きとったのか?悪い子じゃのぅ、ユキ」

電話の向こうにいる仁王は、ククッと笑っている。
その声が携帯からだけではなく、もっと別の近い所から聞こえる気がした。
幸村は部屋の入口に立って、こう答える。

「カギ・・・、かけるの忘れてた」


すると、部屋のドアが遠慮なく開いた。
そこには仁王の姿。
携帯をパチンと閉じて、部屋に入って来た。


「ホントに悪い子じゃなぁ、ユキ・・・鍵もかけんとはのぅ」

仁王はそう言って不敵に笑う。
揺れる銀髪から覗く瞳。
女の子としての幸村はあっという間にそれに射抜かれてしまった。
部室で触れられたときの感覚が蘇ってくる。

幸村は仁王が差し出す手に引き寄せられるようにして身体を預けた。
「・・・仁王・・、あの、あの・・・・」
蘇った感覚から、何かを哀願する幸村。
あの時は、これが何を意味しているのか良く分からなかったが、今は違う。
ブン太との行為でそれを知った。
確実なモノが欲しいのだ。



「分かっとるよ、ユキ。 いいものは後のお楽しみ・・だったからのぅ。 でもイキナリじゃ面白くないだろ?」

「え・・・、あっ・・・・・ 仁王・・っ」


戸惑う幸村の身体を仁王がベットの上に運ぶ。
口付けの雨が降って、その間に服を脱がされて、素肌に触れられていく。
全身に施される愛撫。
それによる快感で何度も意識が飛びそうになった。。
やがて幸村の膣内は溢れる泉のように濡れ、仁王を迎え入れた。













どのくらいの時間が経ったのか・・・
気がつくと幸村は一人、ベットに横たわっていた。
身体は綺麗になっていて、パジャマ代わりの体操着を身につけている。
ゆっくりと身体を起すと、腹部に僅かながら鈍い痛みのようなものを感じた。
何があったのかを実感して、幸村は思わず顔を手で隠す。
だんだんと身体が火照ってきた・・・・

(・・・ちょっと 頭を冷やしてこよう・・)

そう考えて、幸村はベットから降りる。
そのまま部屋を出て、一階にあるロビーへ行った。
ロビーにある自販機のコーナーでアイスティーを取り出して、その場に設置されている長椅子に座る。

しばらくはそのアイスティーの缶を両手で握っていた。
缶から冷たさが伝わってきて気持ちがいい。
火照った身体を休めるには丁度いいと思った。










そんな幸村の姿を見つけた者がいたことに、幸村自身はまだ気付いていなかった・・・・・











(2009.08 若林みかん)








やっと9話目に入りました。ちょっと休憩的なお話にしようと思っていたのですが。
食事の時に誰がどこに座るのか・・とか、幸村の近くを争奪戦とかも考えたのですが。
もしそうなったら、幸村の両隣はブン太と赤也。真正面を仁王と柳が陣取る・・だろうなぁ(^_^;)

そして、ニオユキの密会というか?ちょいエロもいれました。
これも本格的に書いた方がいいのかな?と思いましたが、仁王はイイ思いをすでにしてるので。
その辺は短くまとめたり。環境とかジャッカルの料理とかも捏造しましたー(><)すみません。

とにかく!!とにかく・・私としては、早く赤也のことを書きたくて!赤幸ですよー!!
どういう展開にするのか、だいたいは最初から考えていたので!ウズウズしてきましたっ。

こんなんで読んで頂いて楽しんでもらえるのか分かりませんが(><)
ご感想などありましたら是非にお聞かせ下さいませm(__)m


■どうぞヨロシクです■