2000.5.12 全日本女子
北海道立総合体育センター「きたえーる」


 会場のきたえ〜るはニスの匂いがするような新しいぴかぴかの会場。かなり大きくスタンドも1F2Fに分かれている。

 西側スタンドには、何やら豊田、堀田、前川、渡辺、伊藤、東側には関西、日向、美咲、輝、貴子の名前を書いた紙がはってある。垂れ幕はここに張ってくれという指示ではないらしく、館内放送で垂れ幕を上に重ねないでくれ、と放送していた。全選手分貼ってあるわけでもないし。何だろう?(聞いた話では旧中島体育センターの元館長さんが書いたものらしいが、どういう意図のものかまでは聞いてない)

 東西の壁面には大きなビジョンがあって、ここで「バクバクKISS」のプロモが繰り返し流されている。

 30分位遅れてやっと入場セレモニー開始。国際プロレスプロモーションより酷い進行だ(というか国プロプロなら観客の方もおくれることは計算ずくなのだが)。全女の選手だけ参加なのだがそれでも冗長というかテンポが悪い。選手がひとりづつ入ってくるのだが、花道が長いので時間がかかり過ぎ間が開き過ぎる。左右から交互に入ってくるのだから、一方が花道を歩き終える前にもう一方が出てきても別におかしくはないだろうに。

 豊田が「全女が二年振りに札幌に帰ってきました。この新しい会場で・・・」というような挨拶。堀田が「JWPとの対抗戦はマンネリ」と主張したとかでカード変更がアナウンスされた。

 勝又氏の挨拶の後、氏の紹介により「キッスの世界」4人が登場し歌う。曲の後、志生野アナ、藤村アナも登場して前フリ。さらにつんくファミリーつながりということで「カントリー娘」の人が登場して、「北海道シャララ」という歌を披露。この人の歌の途中でスタンド席の人達がぞろぞろ降りて来てリングサイド席を埋めて行く。TV映りの関係でリングサイドががらがらだとまずいってことか?私は何のためにアリーナ席を買ったのだろう(-"-)

 
 


○堀田祐美子 VS チャパリータASARI ×
(6分39秒 ピラミッドドライバー)

 開始早々からロンダートキックとか繰りだすASARIを子供扱いする堀田というパターンでスタート。人間風車、キャメルクラッチも体格差を見せつける感じで攻める。ASARIは右足を低空ドロップキックで狙い打ち、レッグロックに行くが転びかける始末(^^; さらにASARIが逆エビにいくと「回せ」と無責任な声援が(^^;堀田はパワーボム、ASARIコルバタ、と応酬。場外に落としてのブランチャも出すが堀田の余裕を崩せず。ドクターボムで叩きつける。ASARIも反撃の意志を見せるがこれを潰して堀田はピラミッドドライバーでピン。


 ASARIは2ショット撮影会のためだけに北海道に?(^^;的な、何のひっかかりも感じない試合。このダレた興行をしょっぱなからしょっぱく立ち上げたのであった。


 井上貴子   春山香代子 
○藤井巳幸 VS アキュート冴×
(13分41秒 ナックルパンチから片エビ固め)

 先発の藤井と冴が一合もしないうちに春山が入って合体攻撃(^^;しかし馬飛び攻撃は失敗(;_;) 貴子が出ると冴にDDT、蹴りなど一方的にいたぶる。藤井が出ると春山のアシストなどもあり冴が反撃。春山が続き逆エビ、キャメルに押さえて冴に低空ドロップさせる。貴子が出るとまた冴がが一方的にやられる。春山がちょっかいかけると貴子は場外戦へ。藤井も冴を場外へ。戻ると貴子は強烈なツームストンドライバー。しかし冴は藤井が出ると反撃、クロスボディをすかされても、フットスタンプ連発、コルバタ、ミサイルキックと攻める。春山が藤井にダイビングボディプレス、振り子式Wインパクトミサイルキックと攻める。春山雪崩式パワースラム。冴がダイビングフットスタンプを決めるがこれは貴子カット。藤井はラマヒを見せ逃げて貴子が春山を攻め立てる。しかし春山は回転数の多いローリングクレイドルで貴子をぶん回してみせる。これには拍手が沸き起こる。この後貴子はパワーボムで冴を押さえるが春山がなんとかカット。貴子が蹴りかパンチか(見逃した(^^;)一撃を加えて春山をダウンさせる。その間に藤井が左フック(に見えた)を一撃。これでのカバーはカウント2で返した冴だが、もう一発食らうと3カウントの声を聞いた。


 このところ勢いが止まり停滞している感じの冴、この試合も美味しいところはごっそり春山に持っていかれてしまった。もっとライバル心を燃やして客席に逆流させてほしいものだ。藤井はしかし、あんなしょっぱいグーパンチでフィニッシュするような楽を覚えてええんかいな。


 ここで中島スポーツセンター前館長さんが紹介され、名誉コミッショナーとしてこのあとのタイトルマッチ3戦の認定宣言をやるとのこと。


★全日本タッグ選手権
 美咲華菜   脇澤美穂○
×倉垣翼  VS 納見佳容
[王者組] [挑戦者組] 脇澤組が王座奪回
(14分40秒 2P雪崩式ダブルリストアームサルトから体固め)

 全女組の奇襲ドロップキックで開始。コーナーの倉垣に全女組が美咲をぶつけようとする。美咲は踏み留まったのだが、わざわざ倉垣を蹴って(^^;反動をつけて逆襲し、倉垣の側転背面アタックを呼び込む。倉垣を攻めてミホカヨが例のポーズを決めると、美咲も入ってW逆エビで攻めてポーーズを取ってみせる。倉垣がV1アームロックからストレートアームバーで攻め美咲にタッチ。美咲は脇固めなど攻める。脇澤が激をとばすと美咲がうるさいと怒鳴りさらに脇澤が騒ぐと美咲はコーナーにエルボーしに行く。よっぽど勘に触ったのか(^^;

 脇澤と倉垣が張り手合戦を見せ、納見がコーナー回転エビなど見せるが目に見えて噛み合わない。倉垣がカナディアンバックブリーカーで納見を攻める。美咲と脇澤がやりあうが、これも目に見えて噛み合わない展開。ミホカヨがWダイビングヘッドバット、これは自爆を誘う。脇澤がジャーマン、さらに脇澤、能見とミサイルキック。そしてファンタスティックフリップ、Wリストなげっぱなし、フィッシャーマンバスターと出るが倉垣がカット。しかし美咲はコーナーから脇澤をつきおとしダイビングセントーン、倉垣がダイビングヘッドバット。さらにWインパクトミサイルキック。さらに2P雪崩式バックドロップ。しかし脇澤カウント2で返す。脇澤は雪崩式フランケンシュタイナーで逆転へ。美咲のハイキック誤爆もあり、脇澤はジャーマン。倉垣は自力で返す。脇澤は強引なフィッシャーマンバスターで倉垣を叩きつけるが倉垣は自力で返す。脇澤のジャーマンは美咲がカット。しかしさらにミホカヨは雪崩式Wリストを決めカウント3。

 というわけでミホカヨが王座奪還。体調不良を押して出場したらしい納見は勝利者インタビューの受け答えもほとんどできていなかった。

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 美咲は休んだ分は回復している感じではあったが、試合を締めることができるほど回復しているわけでもなかった。それとは別なのだが、序盤から中盤にかけての両軍の攻防が恐ろしいほどチグハグで何をやっているのかという状態。しばらくJWPvs全女の対抗戦を目にしない間にこんなにおかしくなっていたのか、という感じ。提携開始当初よりずっと悪くなっているのではないか。


 〜休憩〜

 不必要に間が空いた後休憩のアナウンス。ロビーで貴子、ASARIの2ショット撮影会。北海道でのアテナの放映は5/28&6/11とか。


 伊藤薫    ダイナマイト・関西 ○
×中西百重   コマンド・ボリショイ
 高橋奈苗 VS 日向あずみ
(13分36秒 スプラッシュマウンテン)

 全女組の奇襲でスタート。日向がトペやトペコンなど攻められる。中西を風車式バックブリーカーで叩きつけ反撃、関西がサソリ固めで攻める。高橋が出ても関西はこどもあつかい。コマンドがロープ渡り。伊藤がコマンドに攻め立てる。しかし替わった高橋の脚攻めを簡単に逃げる。日向が出て卍固め、腕固め、これをかみついて高橋逃げる。3Pドロップキック。日向は中西に4の字固めをかけられると爪先にかみつく。関西が出てコーナー詰めラリアット。ファンが「もう一発!」関西もこの声に応じるが高橋が邪魔する。日向が中西にロコモーションジャーマン。回転エビ固め潰して「残念でしたあ」ついで高橋とコマンドの攻防。コーナーポストプレスなどで高橋が攻め、コマンドはライムライトや足関節攻めと応じる。伊藤がコマンドを攻め、関西の妨害をうけつつもライガーボムなど決める。コマンドも雪崩式ピコバスターで応戦。関西が伊藤にスプラッシュマウンテンを狙うが伊藤もラリアットで応戦。中西がムーンサルトアタック、伊藤のダイビングフットスタンプ、中西のジャーマンと関西がくらうがカットされ、中西のダイブをキックで叩き落とす関西。ここからスプラッシュで3カウント。

 

 関西は堀田に向かって吠える。ヤマモもリングに上がっている。悪名高き某ファンが「山本降りろ」と繰り返し一生懸命叫んでる(^^; 5月28日JWP(日本青年館)で関西・豊田・レジーで組んでやるとアピールする関西。ヤマモも口を出すがこれは関西が「山本さん関係ないんやから」と遮る(^^; 堀田が出て来て、笑わせんなおまえらおもしろくないから出ねえんだ。バカの大バカのこいつ(ヤマモ)と組んでるから一生だめだ、JWPももう終わりだな、などと吠える。ヤマモが「このやろう」と声を上げてつかみかかるがこれは関西がつかんで後ろに突き返して制止し、堀田と関西が乱闘。

 


 一応山本代表(+関西with豊田)vs堀田的に続いているアングルの延長だと思うのだが、今回は関西が山本代表を邪魔者扱いしたところがハイライトであった:-) 

 東京の宣伝を札幌でやるなよって感じなのだが、レジー・べネットが来ていない分宣伝としては不徹底D。


★WWWAタッグ選手権 60分3本勝負
○渡辺智子    下田美馬 ×
 前川久美子 VS 三田英津子
 [王者組]   [挑戦者]
     (2−1)

 一本目が始まってまもなく携帯が震えた。この日は来れなかった某JWPファンが「もうぼちぼち終わりましたかね?」と電話してきたのだが、ぼちぼち終わったのは(と言っても秒殺だが)一本目に過ぎなかったとは(^^; 時計を見ると21;30にもなろうかという時刻。確かに普通ならもう終わっているぞ。

○前川(0分28秒 体固め)三田×

 さらに蹴りでせめまくる前川、イスでちょっかい出す下田、蹴りの誤爆など出る。三田がイス攻めで追い討ちし、雪崩式タイガーSPでピン。

×前川(1分58秒 デスライクドライブから体固め)下田○

 時計を見るともう21時30分を回っている。ラスカチョ組がジャーマン(だっけ?)の奇襲で3本目のゴング。場外戦では、下田は南客席の可動式?スタンドまで前川を連れだす。その間に渡辺は大流血している。少しのリング上攻防から、さらに北側でも乱闘。戻って来るとさらに流血が酷くなってる。そこへイス攻撃。キャメルクラッチで押さえてイス攻撃。前川がかわると蹴り中心に奮戦。さらに渡辺が流血を押して出てドラゴンスクリューで船って見せるが、うまくデスバレーボムにひきこまれてしまう。自力で2カウントで返し、ラリアットなど反撃、三田もドラスクでひねる。そして下田にティルトスラム、ラリアットと攻める。さらにラスカチョのミサイル誤爆を誘うが、イス攻撃で邪魔され、デスライクドライブをくらい、デスバレーボムもくうが2カウント自力で返す。しかし渡辺も月面水爆を自爆。デスバレー&回転カカト落としとくらうがカットで助けられる。ティルトスラム、ヘルスマッシャーと攻めるがカウント2。さらにデスバレー&回転カカト落としを狙ったラスカチョの自爆を誘い、ヘルスマッシャー&前川のカカト、さらにもう一発ヘルスマッシャーで3カウント。

 
  
 
○渡辺(17分58秒 ヘルスマッシャーからエビ固め)下田×

 渡辺は試合後のインタビューで「この王座の価値を上げるために返上します」と宣言。そこへナナモモ。渡辺は「おまえらまだ早いんだよ」と制止するが、中西が「どうしてラスカチョに勝ったくらいで返上するんですか」「外ばかりみないで全女の中も見て下さい」てなアピール。渡辺は「よしわかった、北海道巡業最後の函館でノンタイトル一本試合をやろう。お前等勝ったらタイトル戦、私達が勝ったらその場で返上する」ということに。


 もう22:00だぞ(^^; 裏で忙しかったのか、脇澤がまだ水着の上にTシャツ着ただけの姿でリングの流血をお掃除している。あと藤井も。


★WWWA世界選手権試合
○豊田真奈美 VS 輝優優×
 [王者]   [挑戦者]
(21分35秒 JOサイクロンスープレックスホールド)

 輝は試合コールのときに豊田の目の前まで迫るアピール。ガウンを脱ぐと上半身は赤だが下半身は黒のニューコスチューム姿。豊田は握手のふりしてジャーマンで奇襲、でゴング、月面水爆は自爆、しかしクロスアームジャーマンなど攻める。ロープはりつけ攻め、ミサイルキックと豊田が攻め、輝が雪崩式バックフリップ、稲妻レッグラリアットと攻めキャメルクラッチ。輝がボディシザースに移行すると豊田はおらおらどうした、と挑発し、ストマッククローで脱出。なめたまねしやがってと豊田は叫びつつキャメルクラッチから変な顔攻撃。さらに踊りから鎌固め。さらに弓矢固め。豊田が手を上げてかまえる。「びびんな」と声が飛ぶがこのあと「ビビンバ」てな野次がとび笑いを買う、というような調子。つまりはこのあたりの展開は世界戦の重みにいささか欠けておりこういう野次が出てしまう調子。輝はこの間に攻勢に転じ、顔をペシペシ攻撃など見せる。豊田怒って攻め込み人間風車。さらに卍固め。バックドロップ。10分経過。

 このあたり、豊田のいいところばかりが目立って輝の良さはほとんど出ない展開。これを見ながら私は、中盤あたりで豊田が何かアクシデントに見舞われるのではないか、というようなことを考えていた。このまま終わってしまったとすればこの試合、何もインパクトが無いのである。

 ミサイルキック連発で攻める豊田、輝もお返し、と思ったら豊田がローリングクレイドルで回される。しかし豊田ははりつけドロップキックをかわされ場外へ。場外戦は豊田の方が優勢となるが、豊田はブランチャを自爆。ヒジを押さえるようにうずくまる豊田。試合中断がアナウンスされる。

 おお思った通りだ(^^;、と思いつつ見守る私(悪質)。まあ豊田は確かに痛がっているのだが、脱臼の痛みがその程度か?と突っ込みたくなる程度にしか痛がってはいない。無論、豊田が人一倍痛みに強いということはあるかも知れないし、人一倍自意識の強い豊田が痛がりぶりを最小限に抑えた、とも見れなくもないのだが。

 まもなく続行がアナウンスされるが輝は上がろうとする豊田を攻め落し、場外で豊田の左肩を蹴りつける。さらに輝は場外でエアプレンスピンからバックフリップ、リング内ではさらに反転延髄斬り、さらにジャーマンと攻める。さらにだるまジャーマン。そして脇固め。なんとか逃れる豊田。輝のダイブはかわすが、エルボースマッシュを続けてくう豊田。輝は垂直落下ブレンバスターを狙う、エルボーを打っておいて一回成功、さらにもう一発。しかしカウント2で返す豊田。輝がコーナーに上るがこれを必死で落とす豊田、ブランチャ、スワンダイブブランチャ、鉄柱かっらのダイビングボディシザースドロップと攻める。リング内で月面水爆。2カウント。輝は垂直落下ブレンバスターをもう一発。しかし決めれず。豊田もスープレックス。カウント2。輝はエルボー連打で攻めるが決められず、結局豊田が何度かのトライでJOサイクロンスープレックスを決めてピン。


 というわけで私が思った通りの展開になりかけたが、結末の持って行き方は思ったとおりではなかった:-p

 負傷が嘘か誠か、ということは私としてはあまり問題ではないのだが、そういう穿った見方をさせた試合展開の方は問題である。輝優優はこの試合完全に豊田のペースで運ばれてしまい光を消されてしまっていた。

 輝はもともとキャラクターとして地味なところがあるが、そのネガティブポイントがこの試合では最大限に増幅されてしまったような気もする。そして彼女の長所はこの試合ではほとんど影を潜めてしまっていた。同世代の多くの選手と比べれば厚みのある体格もさらに体の大きい豊田相手ではあまり意味が無いし、エルボースマッシュの重みも感じられず、垂直落下ブレンバスターも滞空時間が短く形も不十分だったりして、普段は感じられる技の力感も得られなかった。しかし最大の豊田との差は自己顕示欲の弱さではないかとも思えた。輝にはこの試合の屈辱を成長するためのエネルギーにして欲しいと思うばかりである。


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