当地あやめ池は日本のプロレス界にとっては由緒あるところである。東京ドームがプロレスに使われるようになるまで、日本のプロレスの最多観客動員記録というのはこのあやめ池で力道山の日本プロレスがグレート・アントニオ人気で集めた3万6千人だったのである。しかしここ四半世紀ほどはほとんど奈良市内では興行は行われていなかった。他団体時代にはいってから若干は行われているのだが、平成の12年間で数回というレベルでしかない。JWPがホテルでディナーショープロレスを行ったり、新生FMWがボウリング場の駐車場で雨の中試合したりというのはあったが、そういうのが定着し毎年恒例となる、ということはなかった。そんな奈良市で、それもかつて記録が作られたあやめ池でYMBプロモーションが興行を打つという。これはインデペにほとんど興味がない私でも足を向けざるを得ない。
昔アントニオ、今アウストラロピテクスしかし、この日私は愛知県春日井市での美咲華菜サイン会という予定があった。開始が13:00であり、終了後すぐ飛び出しても京都につくのが15:00前後、というわけで15:30の開始予定に多少の遅刻は避けられない。せめて遅れを最小限に留めるために、近所に住む地の利を生かして事前に会場の場所を確認しておくことにした。
菖蒲池駅の北側は近鉄が作った遊園地でほとんど占められており、南側がきわめてささやかな町となっている。とりあえず探してみたが、どこにも「ACTセンター」なんて看板はない。しかし「ACT.1」という名前のビルは簡単に見つかった。そもそも迷う余地はほとんどない小さな町だからであるが。
別の日に撮影した会場ここが会場なのか...? ビルには美容室とか社交ダンス教室とかが入っているようであり、その社交ダンス教室が会場なのかとも想像できたが確信は持てない。しかし屋外も含めてそのビル以上にプロレスの会場らしきものは見つからないので、とりあえずそのビルであろうと考えておくことにした。
さて当日、春日井への行きは普通電車の乗り継ぎかせめて近鉄特急を使い交通費を節約するつもりが寝坊して新幹線を使う羽目になったのは計算違いだったが、帰途は乗り継ぎもまあまあ計算通り。15:45ごろにはACT.1ビルの前に着いていた。見るとビルの前の街灯には「ACTセンター」と手書きの紙が貼ってあり、推定が間違いないことがはっきりしたv(^^)。ちなみに試合会場は、普段はダンス教室とか塾などに使われるスペースらしい。リングアナが遅刻するとかしないとか掲示されているが、けしからんことだ(怒)前回の生駒大会で、一本目の終了時に二本目の結果まで読み上げかけた(笑)あの迷アナウンスはもう聞けないのか?(;_;)
入ってみると入口で靴を脱いであがるようになっている。入った目の前の観客の列の向こうでもう既に怪覆面が闘っている。グレート・カセギの姿も見える。まもなく、状況を把握するようり早く終了のゴングが鳴ってしまった。計算違いだったのは、インデペにありがちな開始時刻ではなく、たった5分程度の遅れで試合開始となっていたことである。第一試合見逃した(;_;)。
観客の向こう側に青いマットが敷かれている。マットの向こう側にはGONDAWARAが座る本部席があるだけである。マットの幅と部屋の幅がほとんど変わらず通り道もないぐらいなので、観客席は入口側の一方向のみである。本部席の後ろにアコーディオンカーテンがありその向こう側を控え室にしているようだ。
古いビルで部屋の中も薄汚いが、エアコンが効いており快適ではある。「川崎市体育館よりは大分ましな会場だ」「大館や二戸の体育館と比べたら天国」などの声あり。
観客席には20脚弱ぐらいの椅子が並んでおり、もうそのうち2脚しか空いてない。一人ぐらい立ってみていたような気がするし、さらに私のあとにもう一人入ってきたのでこれでもう超満員である(笑)。前回の生駒ではチャリティ興行で事実上無料であるにもかかわらず13人留まりだった観客が、今回は駅からのアクセスが良いとはいえ入場料3000円も取られるにも増えているというのはすごいことだ。
しかしもっと凄いことは、この人数で掛け値なしに超満員であるということである。これはつまり、満員の最小観客数記録ではないのか? SPWFが7人とか、この5日後の国際プロレスプロモーションが19人とかあるのだが、それで満員ということはおそらくなかったはずだから、YMBは最小の会場で最小の満員を記録したと言えるのではないか?誰かギネスブックに申請してあげてくれい。
ミイラン2号 vs X (2分58秒 無効試合)伝聞によれば、Xはザ・マイティというレスラー。グレート・カゼギがレフェリーを努めていたらしい。
○ミイラン vs ムガムガ× (4分25秒 体固め)ミイランはイスを持って入場してこれで殴りつける。ソロートクローのチョークで絞め上げるという乱暴狼藉ぶり。最後はスリッパをムガムガの顔に押しつけ、それでフォールという手酷い勝ち方。
ムガムガが攻めるシーンも見られたが... 最後はスリッパを顔に押し付けられ無念の敗北負けたムガムガはレフェリーにつっかかるが、逆にレフェリーのエルボースマッシュに圧倒され、最後には諭されて退場。
レフェリーに諭されつつ外に出されるムガムガ。生活感あふれる会場の片隅にも注意されたい。×グレード・カセギ VS GNG ○ (4分18秒 KO)カード表でGNGとなっていたのは「ゴミ人間」とコールされた。黒いビニール袋に全身包まれている。奈良市のゴミ袋は白系なので違和感があるが。あのコスチュームでは前が見えないのではないか(^^; ゴミを巻き散らしながら入場。
カセギは外見上のチャームポイントであるプックリした美腹が引っ込んでしまっていた(;_;)ゴミ人間はパンチ主体の攻撃でカセギを攻め立てる。カセギは打撃への対処ができてないのかパンチをもらいまくりダウンする。
ゴミ人間はダウンを奪うとグルグル回ってアピールする。が、目が回るらしくて回り終わると毎回クラクラ状態となる(^^;
カセギは5、6回のダウンを喫し、最後には立てずKO負けを喫した。
ゴミ人間がハイアンの登場を思わせるインパクトを残した一方で、カシンなみの惨敗を喫してしまったカセギ。リベンジはあるのか?
〜休憩〜
マット調整のためということであったが、そんなことやってたっけ?
★ストリートファイトマッチ ○ダークウルフ VS アウストラロピテクス× (11分33秒 ソロートクロー気味のチョークから体固め)アウストラロピテクスは顔こそ原人だがTシャツにジーンズ姿。ダークウルフもストリートファイト形式にあわせたTシャツのジーンズ。
どこか憂いを帯びた原人の表情ウルフは一度ひっこんで、ロールパンの袋をもって戻って来た。パンをピテクスのアシ元に投げ付けピテクスがそれにとびついたところでイスで殴りかかる。
ピテクスの反撃はもっぱら殴りかかる系のラフ攻撃。絞め技も見せ、チョークでカウントをとられると放す。ルールは把握しているようだ。
ウルフはピテクスを外へ連れだす。路上ファイトだ!ウルフは「ジャスコだ!」と叫ぶが、近くには「スーパーいそかわ」があるぐらいで、ジャスコは一駅隣まで行かないとないのだ。しかたがないので電柱、民家の石垣、商店街(商店街というほどの店はないのだが(笑))の看板などにぶつけるウルフ。平和な住宅地に乱闘の惨劇が発生する。
そしてまたマットに戻るが、ここではピテクスの原人DDTなども炸裂してウルフはちょっと苦戦か。しかしまたパンを用いて、さらにグッズ売り場にあった1000円の商品をつかんで攻撃する。観客は千円コールをとばして声援。しかもその場でその商品を売ろうとするウルフ(^^;しかも買う観客がいた(^^;(^^;さらにもう一つ、800円の値札の商品も使って凶器攻撃。これは誰も買わなかった(^^;
一つ目の凶器は千円で売れたが、調子に乗って二つ目、は誰も買わず(苦笑)ウルフは他に首4の字固め、「これはストリートファイトだろ!」とアピールしつつのチョーククロー攻撃など。で、チョーク攻撃中に、なんとピテクスの顔がマスクが脱げるような感じで取れ掛け、あたかもピテクスが現代人に戻り掛けているかのようになってしまった。ウルフはそこから押さえ込んでカウント3。
ダークウルフはマイクを取って挨拶。「ここでやってもどうせ満員にならないだろうと思ったんですが...」(満席である)「次の興行の目処とかたってないんですが...年末とか...大阪でやろうと思ってます。今日よりは安く出来るんで。今回はスポンサーへの払いとかあって...」おいおいスポンサーに金払うってあべこべじゃないか?(^^;
それはともかくとして、ライブ感覚あふれる斬新な会場といい、惜し気も無く投入された新怪人といい、楽しめる興行であった。楽しんでいていいのかという気にならなくもなかったが(^^;;;