仙台松竹SHOCHIKU

[松竹のホームページ]


松竹ビル

住所:仙台市青葉区一番町2-6-1,5F
電話:022-222-5252
客席数:229
音響:DOLBY SpectralRecording


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サンモール一番町の青葉通りと南町通りの間,丸善の向かいにある松竹ビル. このビルの5階に二つの映画館がありました.「仙台松竹」と「仙台ピカデリー」. 無くなってしまった今でも,二つのうちのどちらがどちらの劇場だったのか, 私には分かりません.

「松竹劇場」は昭和25年オープン.仙台市内では最も歴史のある映画館でした. 松竹会館を建て直したのが昭和42年.立て替え当時はひとつの大きな劇場だった そうです.その後平成元年に.それまでは600席あった松竹劇場を2分し,229席 と165席の2つの劇場となりました.元々の松竹劇場のスクリーン部分はそのまま に前後に2分したので,映写室が内側に入りこんだ形になっています.

そういう歴史を踏まえて,ここでは入って右側,元からのスクリーンの方を「松竹劇 場」と呼ぶことにします.本当は「ピカデリー」らしいのですが確認したことが 無いのでここではこれで通します.

元は600人収容する劇場だったわけですから,スクリーンは大きめ,天井も高い つくりになっていました.「仙台東宝劇場」の客席数よりも多かったわけです.

しかし,前述のとおり,映写室が内側に入り込んでいます.そのため,スクリー ン正面の席の列が少なくなっており,左右の奥の席では壁のために多少の圧迫感 を感じなくもありませんでした.

音響はドルビーSR.残念ながら最後までデジタルにはなりませんでした.しかし, ここの低音は綺麗に響きました.デジタルだから音がいいとは限らないってことで すね.しかし,たまにノイズが乗った状態で上映されたりすることもあり,常に いい環境だったとはいえません.

そもそも,劇場の形が形ですので,左右の奥に座ってしまった場合,音場的には 問題がありました.

松竹劇場のチケット売場は一階にあり,ここでチケットを買ってから5階に来ま す.大抵はエレベータで上に行きますが,このエレベータがかなり旧式. 押したボタンが光りません.初めて乗った時は何度もボタンを押した記憶があり ます.

カウンターは2館共通.たまに上映作品を入れ換えていることがあり,こっちか と思うと違ったり,ということがありました.

実は私,ここで違う方の劇場に入ってしまったことがあります. しかも,違う作品をそのまま終わるまで見続けた.

まだ「ピカデリー」にしか来たことがなかった頃に試写会に当たりました.初め て出した試写会の応募で当たってしまった.作品は「アポロ13」.階段の列に並 ばされていたのでトイレに行きたくなり,招待券である葉書を係の人に渡して, まっすぐトイレに向かいました.この時,私が向かったのはカウンタの向こう側 に見えているトイレ.そう,そこは「ピカデリー」の領域です.しかし,当時の 私はそんな区別は知りません.トイレはそこにしか無いものだと思っていたので すから.

別に駆け込むように向かった訳ではありません.普通に向かいました.係の人は 止めるわけでもなく,私も何の疑いもなく,そして,用を足して,これまた何の 疑いもなく「ピカデリー」の方に入ってしまったのです.

ちょうど,こちらもインターバルで扉が開いていたのです.目の前の扉が空いて いたので吸い込まれるように入ってしまいました.初めてというのは恐ろしいも のです.何の違和感も感じませんでした.「ふーん,試写会ってすいてるなあ」, 程度しか思わなかったのです.

さて,間違いに気づいたのは本編が始まってから.「あれ?『アポロ13』じゃな い!」.「若草物語」でした.気づいたはいいが,今更出てってもどっちにしろ 中途半端だし・・・まあいいや,葉書代50円で普通の映画が見れるなら,それは それで得かもしれない,ということで,そのまま最後まで鑑賞してしまいました.

なんでこんな事が起きたのか,いま思い返しても係の人が誰も気づかないっての が不思議です.スポンサーの人もいたわけですよ. まあ,今となっては貴重な経験をさせて頂いたと思ってます.

劇場の話に戻りましょう. 入ってまっすぐがトイレ,左にいって付き当たりは自動販売機コーナー. 不自然に行きとまりなのは,ひとつの劇場だった時の名残.

椅子は背もたれが高く,普通の人ならば頭が邪魔になることはありません. 床はほぼフラットでしたがスクリーンが高めですので大丈夫です. カップホルダなどは付いていません.

さて,この松竹劇場が閉館した,直接的な分かりやすい理由はシネコンの出現で した.立地条件は悪くなく,むしろ良いはずです.一番町という繁華街.すぐ近 くには片平キャンパスがあります.しかし,何故か仙台の映画人口は少なく,混 雑するのは毎月1日の映画の日だけ.この日は1000円で映画が見れます.

石巻に「ワーナーマイカル」,大河原に「フォルテ東宝」とシネコンができまし た.そして,ついに松竹系のシネコン「MOVIX」が利府町とそして仙台駅から地 下鉄で2駅の長町に出来たのです.こうなると街中にあるということが車持ちの 人々にとっては不便になります.かたや大駐車場完備のショッピングモールに併 設.こちらは狭い路地の奥の高い駐車場.

新しく,綺麗で,設備も良いシネコン.ボロくすすけた町中の映画館. しかも,シネコンではレイトショーは安く見れる.いっぽうこちらは最終回は9 時前に終了.

閉じる一年くらい前に,一応アンケートでお客の声を拾ってはいました. しかし,同じ松竹系列でそれほど離れていない場所に,インカムの悪い劇場を残し ておくのは出来なかったのでしょう.

元々,松竹の経営状態は良いとは言えません.本社ビルも売却しました.銀座・ 渋谷といった地区の劇場も閉めました.MOVIXが増えているのも業務効率化とい うのがあるのでしょう.仙台の松竹ビルも空きになった棚子.加えてビルの老朽 化.ちょうどいろいろな要因が重なったのです. シネコンの登場はひとつのきっかけに過ぎません.

松竹劇場の閉館から既に一年.今,松竹ビルはどうなっているのでしょうか?

最終更新:2002/11/06

画像は1998年末から1999年にかけてのものです.


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