QJYつうしん24号

     休日は山にいます

 

最近「鳥」が少ない訳を究JYする

 

 宮島のサクラが見事なそうな。

 例年ウソが花芽を食い荒らすのに今年はその被害がほとんど無いとのこと。えーうそー、ところでウソとは何か。

 ウソ:アトリ科の漂鳥、夏は高山で繁殖し、冬は山麓に移り住む。大きさはスズメ大。

 ウメ、サクラのつぼみを啄ばむので春を象徴する鳥でもあるが本来は亜高山帯で繁殖する鳥。だからいつも里では見かけない鳥。


 うそどりがついばみ落とす桜の芽

   あまた散らばれり根元の雪に   赤彦

 ちなみにスズメも何となく少ない。

うちの庭のクロガネモチなど冬の間にヒヨドリが来ていつもなら今ごろは赤い実の一欠けらも残っていない。ところが今年はどうだ、ヒヨドリの姿は見たことは見たが毎日見ていた昨年までと違い十日に一度も見ない。当然赤い実はほとんど残ったまま。

 これは山陰側でもそうだ。

  山に木の実が多い・説

 私も最近まではこう思っていた。つまり間違いなく昨秋から山では実のなる木は豊作状態。

 里まで出掛けなくとも奥山に十分食べ物がある、と。

 今年はネズミからクマに至るまで食べ物に困らなかった動物が増えすぎる現象がどんな自然界のアンバランスを生むのか。

この冬の山歩きでは春先でもソヨゴの赤い実は目に付いた。山でさえ木の実が残っている。その時いつもならシジュウカラやメジロはもっとたくさん見たのに、この冬は……。

 ぜんぜん姿が見えない訳でもないが絶対数は少ない。

 うちの庭に関して言えば「鳥が来ない」、ペットボトルで作ったバードフィーダー(給餌器)も中身のヒマワリの種が全然減らない。

 しかしちょっとおかしな話も聞く。

 三瓶山などで調査をしても鳥の絶対数が少ないと言うのだ。

 もちろん山に木の実が多いのは一昨年の猛暑の後で樹木が危機感を感じて昨年は実をつけたらしい。

北方で異変があった・説

 多くの鳥は季節の移ろいに従って移動する。冬に日本にやってくる鳥は夏の間は涼しいシベリヤで過ごす。

 ひょっとしたらロシアで大変なことが……。

 それにしても鳥達の生態系を狂わせるほどの異変とは何だろう。普通には分からないから「異変」である。

 またロシアが何かを隠していたりして。

 そうでないにしてもシベリアで病気でもはやって鳥の数が減ったのか。

 南方で異変があった・説

 今年はなんとなくツバメも少ない。これに関しては単に遅れているだけかもしれない。しかし、北方、南方ともに異変があったとは想い難い。


やっぱり一昨年の猛暑だ・説

 自然界の異変にそれほど複雑な要素が入り混じるとは思えない。私たちが覚えている天候異変、それも日本全体の、といえばどうしても一昨年の猛暑を思い出す。

 この時の猛暑は様々な影響をその後に及ぼした。樹木が大慌てで花を付け、実を実らせたのもそのせいだと言われる。

 我が家の庭のアオキも灼熱の太陽光で焼け焦げ黒く変色した葉が目立った。日陰で育つ樹木には暑さがこたえたらしい。

 そこで、やや穿った見方をすれば、「猛暑で虫が減ったため、花芽がたくさん残ったので結果的に昨年は実が多くついた、とも言えるのではないか。


 木の実が多いのは、猛暑の危機感で花をつけたのと、天敵害虫の極端な減少による相乗効果では。

 さて、昆虫が減るとなぜ鳥が減るのか。

 その訳は、昆虫は鳥のエサだから。

 木の実を食べる鳥も子作りのためには動物性タンパク質を必要とする。大事な秋に虫がいなくては十分な栄養を得ることが出来なかった。短いライフサイクルの小鳥にとって、大きな影響を受ける一大事だった。

 海鳥は減っていないという報告があり、広島でも魚を主食とするアオサギやカモメ類はたくさん見る。

 はっきりしているのは、猛暑の年の昆虫は、中でも蛾の類が極端に減った。蛾は小鳥の代表的な繁殖用餌。

 その食物連鎖で鳥の数が減ったのでは…。

 だとすると鳥の数がもとに戻るのは数年〜十数年を要する。これは恐い。

 雑感−寒い冬でしたね

 いつまでたっても炬燵が部屋の中央、TVの前にでんと置かれたまま。暑さ寒さも彼岸まで、と言うが、5月の連休を過ぎないと本当の春を感じないのかも知れない。

 それはあたかも県北の山歩きが例年そうであるように、4月中の山道が雪で通行不可、のようなもの。大山環状道路や散策路の横手道が連休にならないと通れないのと同じことで、今年は約2週間時節が遅れているのか。

 2週間と言うと、節分、啓蟄などの24節気の区切りが一つ分だ。

 古来から日本ではこの暦で農業の準備を進めてきた。もちろん暦は標準の話で、実際は今年のように「遅い年」もあれば「早い年」もあるので暦を利用するのは現実的で無い。

 雪形農法

 信州では近くの山の春の残雪が解けて、ある特定の形になると田植えをする、と言う習慣がある。もちろん場所によって違いがあるが、これを雪形といって、多くは雪解けで露出した黒い土の模様を観察し、何かの形になるのを待つ。

 雪形農法(と名づけて良いのかどうか)は気温の積み重ねとして季節の変化を正確に表す寒い地方ならではの農法。



早乙女花

中国地方では季節の移ろいは「花」の開花で確実に分かる。植物の植え付けだから植物の変化を観察する方が確かなのだろう。

早乙女花あるいは方言で「そーとめばな」と呼ばれる。 特に田植えの準備に花の開花を利用するから、田植えをする若い女性−早乙女花と呼ばれる。

 早乙女花は決まった花とは限らない。 代表的には中国山地沿いのタニウツギが有名。

 田植え以外にも秋の実りを早く知りたいため、昔から山野の花の咲き具合が参考にされた。統計的予測である。地方によっていろいろなことわざがあり、家々にもそれが伝承されてきた。


 本誌第19号から連載している「植物のことわざ」では平木輝夫氏が親御さんから伝えられた様々な植物のことわざを紹介している。

  平木輝夫氏のノートより

 トットに籾まき、カッコに粟まき    

           ホトトギスに田を植えよ  

 ウツギの花盛りは田打ち

 ウツギが咲くとマメ蒔き時