QJYつうしん25号
休日は山にいます
出張もまた楽し 萩市(山口)・立久恵峡(島根)
4月10日(水)
萩に出張となった日は、予定より早く出てこの滅多に来れない町を楽しむ事とした。
昔なら1泊の遠隔地であったが、今は4時間弱でバスの旅が可能だ。バス会社は満員になってもいくらでも膨らむバスを走らせてくれる。(だって、防長バス)。
広島バスセンタ 07:30 → 萩バスセンタ 11:17
萩バスセンタ
16:20 → 広島バスセンタ 20:09
帰るのがちょっと遅くなるが、日帰りの安価な旅が出来る。もうちょっと時間を有効に、という人は(つまり今回の私の場合)、新幹線で小郡まで行きそこからどんどん膨らむバスに乗り萩に向かうと効率が良い。
連絡さえよければ2時間だ。
菜の花の春
萩市の入り口はかつての「萩往還」の起点でもある。松陰が別れを惜しんだ峠道は有料道路となって萩の玄関口となっている。
その有料道路を抜けてバスは萩市に入った。そこで目に入ったのは明るい黄色、春の花の代表格、菜の花畑だった。ウィークデーのバスはがらがらの乗客数、それでも自然と「おー」と声が上がったくらい素晴らしい。
そこでバスセンターに着くなり、観光萩市のパンフレットを入手する。
こんな案内があった。
萩・花ごよみ ’96(2月〜5月)
梅まつり 2月18日(日)
萩往還梅林園、有料道路サービス棟
椿まつり 2月24日(土)〜3月24日(日)
笠山椿群生林
菜の花まつり3月31日(日)
有料道路サービス棟
桜まつり 4月7日(日)
萩城址(指月公園)
牡丹まつり 5月3日(祝)〜5日(祝)
萩城址(指月公園)
夏みかんまつり5月12日(日)/
19日(日)
市内各所
と、こんな具合にイベントが盛りだくさん。
市役所前の散歩道
仕事の予定まであと1時間あるのでバスセンターの西側を歩く事にした。目的地は明倫館。これが現役の小学校かとあきれるほどレトロな大正ロマンの建築物。
ここからさらに歩くと名札のついた樹木が並んでいた。萩で見られる主だった樹木を一本ずつ展示するかのように植えて有る。萩の名物と言えば「コウライタチバナ」、国の天然記念物だ。笠山にあるが今日はそこまで遊んでいられない。
あった、あった、初めて見る木はやや小さく、残念ながら実をつけるほどの大きさでは無い。
珍しいものでは、イイギリ科のクスドイゲ、太い針が幹にあって意味不明の名。
バラ科のバクチノキ、樹皮が潔く剥げ落ちるのでバクチに負けた後、着衣を脱ぎ捨てる姿を想像させるから(誰が想像する?)、と書いてあった。
シナノキ科のヘラノキ、ボダイジュの仲間で葉の一部のホウがへらの形である。
など、もうちょっと詳しく知りたい植物が目についた。するとそこには図書館が。あまりに都合よく調べ物をする事ができるので楽しくなってしまう。
萩は日本海側の寒地植物と九州の暖地植物が交差する豊かな植生の交差点である。
みなさんも是非、訪れてみて下さい。
萩市観光課 0838-25-3131
4月12日(金)
私が13年間出雲に住んでいて得たものは、おいしい魚と美しい自然。
寒い冬も三瓶山で1日スキースクールを受けた日から「雪が降らないかなあ」の毎日になった。そう、ものは考え様、なのだ。冬が嫌いだったら、山陰の冬は悲しいほど厳しい。
冬が楽しみだったら、間違いなく1年が忙しい。
そして春が来て季節はずれの雪を被った梅の林を通り過ぎ、赤い涎掛けをしたたくさんの地蔵様に氷のつららが垂れ下がる。朝日を浴びて輝くつららにカメラを向けていたら、そこの和尚さんが「玄米飯を食べていきなさい。」と寺の中に呼んでくれた。
寺の名は霊光寺。出雲市の住家から15分の場所に有った、県立自然公園の立久恵峡は山陰の耶馬溪と呼ばれる。
サケが帰ってくるという神戸川(かんどがわ)のゆったりとした流れと水墨画を見るような奇岩の岩山。
立久恵峡は四季を通じて心を安らげてくれる散歩道だった。
寄り道の30分
今回の出雲への出張は車で出掛ける事にした。54号線を島根県内に入り頓原の青雲トンネルを抜けて三瓶山方面に曲がる。途中で右折すれば佐田町を通って出雲市へ至る。出雲への近道であり、走りやすい道だ。
立久恵峡は道路が一方通行となる。上下の線がすれ違うことなく、一本ずつ離れているのだ。岩山がそそり立つ川沿いの狭い道は昔から交通の難所であったのであろう。
仕事の寄り道であるから余り時間が取れない。最も北側の駐車場に車を停める。旅館「八光園」の傍を抜けて吊り橋「不老橋」を渡る。
5年たって
ここに来るのは5年ぶり。橋を渡ってその5年の永さに残念ながら落胆する事があった。
大きなアブラギリの木が切られていたのだ。
花の時期には白い大柄な花をゆらゆらと風に揺らしていた大木が。木の種類が分からなくて、花を写真に撮り、図書館に通ったものだった。
ユキワリイチゲの咲く小道
花の時期は少々遅かった。この日は小雨まじりで開花する気がまるでなかったのかうす紫のそのはなびら(がくが変化したもの)は閉じて下を向いていた。
食菜にするミツバそっくりな葉で花は春一番の雪割り草。霊光寺の参道にある。同じ所に夏はユキノシタの愛らしい花が咲く。
さらに散歩道を歩くと、タチツボスミレ、バイカイカリソウ、ミヤマカタバミ、ツルカノコソウなどが春を告げている。
少し早いがイチリンソウもあと少しだ。地味なところではカテンソウ、ムラサキケマン、ヤマアイ、アオテンナンショウのユニークな花も。
木ではアオキが実を付けている。ヤブツバキの赤い花も。
平木輝夫氏のノートより
クリの花が咲くと梅雨に入る
栗の豊年、稲豊年
その1 山口県の巻
県木…アカマツ(マツ科)
県内森林面積の3分の1がアカマツ。
県花…ナツミカン(ミカン科)
萩の白壁の町並みの中に良く似合う。今回の 案内にある「夏みかんまつり」は花の季節。
県鳥…ナベヅル(ツル科)
熊毛町に数十羽飛来する。近くには呼鶴温泉 などそれらしい地名。