QJYつうしん50号 休日は山にいます 平成8年12月5日
発行 QJY通信社一年を振り返って これからも山歩きを・地図の読み方
一年を振り返って
と言ってもまだ12月はじめ。
だけど山歩きをしていると冷たい風が吹き始めるともう冬ごもりの季節になる。そういう消極的な気持ちはさらさら無いが、どうしても仕事の面でも多忙な季節で休日も家から出なくなる。
苦しかったことも
春夏秋とフルシーズン遊びまわったのは確か。ちょっと名誉のために言っておくが、私は少々資格マニアでもあり、休日に遊んでばかりいる訳では無い。
試験を前に勉強をしないといけない訳で、心情的には辛い日々を過ごす。例えば、会社で私しか持っていない資格「衛生管理者」では皆の健康を預かる。当然コンピュータ会社だから情報処理関係はいろいろ。
最近では大雪の降った日曜日には工事関係の国家試験を受けた。寒くて実技試験では手が動かない、しかしそんな事は些細なこと、雪のために遅刻した人や受験を断念した人があったとしたら、さぞ無念であったろうと思う。
受験準備でやるだけやっても、肝心の試験を受けられないのは気の毒だ。
我が家には受験生の息子がいるが、親としてはつまらぬ風邪などひかぬよう注意するだけ、あとは本人の努力しだいだ。
年に一度でも試験の前は苦しい。
だから山に出掛けると心から休めるのだ。
仕事? これは取り上げるまでもなく、当たり前のこと。これに苦しんではダメ。
特に昨年、部署が変って電気設備工事に関わるようになった。
昨今新聞を賑わしている厚生省の収賄事件は本当に腹が立つ。民間会社にいる自分でさえ業者の接待は嫌いだからいつも逃げている。
最近逆に協力会社の面々を招待して宴を開いた。
いつも、条件の悪い仕事をこなして下さる業者の人達に、感謝の意を示したかった。
決して下請け業者とは言わないことにしている。協力会社と呼ぶ。
で、こっちが接待したものだから相手の上司の人達の驚くこと。大慌てで寸志を届けに来る人、菓子折りを持ってくる人、何をやっても元請け業者はふんぞり返る立場のようだ。
私はもともと技術屋稼業だからそのようなしきたり的な慣習は大嫌い、今の気持ちを素直に表わして感謝すべきはする、クレームをつけるところはつける、これからもそうする。
山歩きがもたらすもの
春先のスミレしか咲いていない頃から、紅葉の時期まで広島では山歩きがおおいに楽しめる。そのほとんどをQJY通信で紹介しているのだから、皆さんも参考にして出掛けてみて欲しいが、いつも言うように、折角なら何かを得る山歩きにして「来て良かった。」の一言をつぶやいて欲しいもの。
リュックの中には図鑑の一冊は入れて歩いて欲しい。そしてフィールドノート、得たものは記録する。それが貴方の知識になる。
知識なんてオーバーな、と遠慮しては駄目。何事も奥が深いことを悟らなければ。
頭は使うためにある。使っていないと使わなくてもよいことになる。
心は動かすためにある。動かさないと動かなくてもよいことになる。
体もそう、手足のひとつひとつがそう。
目的は自身の向上にある。向上しようという意識を無くせばあとは下るのみ。おーい、下るのは早いぞー。
楽しかったことは
何度山に出掛けても「新鮮」だ、ということ。
いつも妻と山歩きをしている訳では無い。お互い多忙なこともあるから、一人で出掛けたり、近所の人達に声を掛けて山に出掛ける。名目は「QJYつうしん」の取材、これをやる様になってから、メモをひんぱんに取るし出合った人達と良く話もするようになった。得られる知識の量は自分の積極性にかかってくる。
それにしても私の周りには個性的な人が多くて、知識の吸収には事欠かない。
人とのふれあい、これこそ自然とのふれあい 。だから楽しい。
地図に親しんでみよう
最近地図の使い方について聞かれたことがあり、ちょっとおさらいしてみよう。
基本的には地図が無くとも困るような山は無い。しかし、ここで書くような基本は知っているべき。まず、代表的な二万五千分の一の地図を買ってこよう。
広島で地図の専門店と言えば、本通り山口銀行前の「中国書店」。
適当な区域の地図を手に入れる(一部たしか¥270)、その地図は4センチが1キロであることを知っていて欲しい。
右に記号の説明があり、地図に記載された記号の意味は必ずわかる。
地球の東西南北はこの地図のたてよこと同じだが、磁石の針のさす方向は地図上の北とは少しずれている。下のほうに磁針方位は西偏約6°50′、と書いてある(地図により違う、日本では4〜10°)と、磁石は西に6°50′傾いていることを示す。50′は50分のことで60分が1度だから、分度器では6.8°位であることを理解しておく必要がある。
だから買ってきた地図に左に6.8°傾いた線をいれておくと山頂から見える山を磁石をたよりに同定することが出来る。これを山座同定と言い、山登りの好きな人にはこれが大変得意な人もいる。
だから、地図に線を引いてみよう。6.8°は分度器でもいいが、正確には数学で学んだタンジェントを利用する。
@tan6°50′=0.120=3/25
Atan6°40′=0.117
つまり地図の右下から上に25.0センチあがり、左に3.0センチの地点に線をひくと、@の傾きになるのだ。
次にこの最初にひいた線に従って4センチごとに方眼をひけば、目指す山との距離を簡単に知ることも出来る。これは、ぱっと見た山との距離を自然に身につけるためのトレーニング。
遠い山は十万分の一や二十万分の一の地図のほうが判りやすい。
その他、等高線や各種の記号を知り地図を読むことが出来るようになると、地図だけで仮想の山歩きも出来るようになるぞ。
ただし、地図を読むことは遭難の解決にはならない。遭難はオーバーだけど、上りで山頂に着かないことより、道に迷うのは山から下るときの方が多い。それは、勘違いによるもの。要は慎重に行動せよ、ということ。
それに、間違えてしまったらもう地図はあまり役に立たない。道の確認で使う時の地図は正しい道を進んでいる確認のために使う。
又、地面に直接磁石を置くと針の指す方向がずれることもあるので注意。