QJYつうしん84号 平成9年12月25日

休日は山にいます

発行 QJY通信社

一年を振り返って 山歩きと花の写真の休日でした

一度の人生を悔い無く

遊んでばかりいるように見せて、しっかり勉強を。と、言いたいが、やっぱりしっかり遊んだ一年だった。だから悔いの無い一年でもある。

年末は境港市の仕事があった。特急やくもで米子の駅に降り立つと、上りのやくもが発車のベルとともに出ていく。

ホームで泣き崩れる若い女性がいた。大粒の涙を見るとかわいそう、まるで映画でも撮っているのかとさえ思った。

何があったか知らないが。思うのは一言、

「悔いの無いように人生を送って欲しい。」

特に男女のことは。

決断の弱さが悔いを残す。当然、無理を通せば自分を取り巻く人達を傷つける。所詮、人は独りでは生きていけない、かと言って誰も自分と同じ人生を送ってはくれない。

「大人であって欲しい。」「負けないで欲しい。」、無言のエールを通り過ぎる人達が贈っていただろう。彼女にとって、過ぎ去った人は、立ち去った人は…、時の流れにすべては引き戻せないから。

友達は大勢いたほうがいい。エールは無言では届かないから。友達なら何か言ってくれるから。

一年の山歩き

仕事の都合で土日の山歩きよりウイークデーでの「休日は山にいます」の一年だった。

フィールドノートを見ると、一年間で登った山は30座以上、同じくらいの数山頂まで行かないで花のみの撮影で高原などを歩いている。

不思議なくらい好天に恵まれた。

最高峰「富士山」を初め、県外の山もあった。いずれも印象に残る。

山歩きで知り合った人達も多い。幸い中国地

方全般を回る仕事があり、翌日を休みとして貪欲に山歩きをした。その分、妻と別行動の一年だったようだ。

で、良かった場所は?

だいたい同じ場所を季節を変えて行ってみたいのだが、まだまだ初めての場所が数多くある。だから楽しいのかも知れない。県北の、人と出会わないような静かな山などは絶対おすすめ。

写真が目的だから花が主体となるが、実や枯れた状態を見て翌年の花の時期を見定める必要がある。そして出かけて、ちゃんと花に出合うと本当に嬉しいものだ。

今年は山口県の山に多く登った。いずれもハイキング程度の低い山、山口の山は広島県境部を除いて、皆そうだ。

多くを語らずとも、誰でも行ける気軽な山が多いことを分かって欲しい。つまり、皆さんにQJYつうしんのとおり出かけてみて欲しいと言う事。

花の写真は驚異的に増えた。

もちろん新聞連載のために「尻に火が付いた。」のが原因。

スタート時は150点くらいしか作品が無かったのだが一年で400点くらいになった。

残念ながらノルマ達成のため、作品としての充実感は少ない。

そんなこと言ってられない状況で、三人娘を撮り続けた。今や「ライフワーク」となった。

今後は納得のいく作品にひとつづつ置き換えていくつもり。

講演会

夕刊の連載は延長を依頼されて3月までとなった。400種の写真からおよそ360枚を掲載することとなるから、その気になれば撮れるものか、ということ。

いまだにモノクロだったことを皆さんに申し訳なく思う。ほとんどがカラースライドだからいつでも映写できるよう整理するつもり。取りあえず、1月29日はその最初の講演会だ。

膝が痛いよー。

もともとスポーツマンでも無いのに。マラソンが好きで良く走ったものだ。今冬もフルマラソンを予定していたが、どうも膝の調子が良くない。

ゴルフで捻るのが災いしたか、関節炎を起こしたように左膝に激痛が走る。多くを語りたくないが、痛いものは痛い。

お陰でゴルフの回数が減った。

山を歩くスポーツとして、決して嫌いでは無いが、休日まで会社の付き合いはごめんだ。

で、歩く事は自然観察の基本。今年も9月から3ヶ月100万歩を達成した。これは健保組合のイベントで、毎年行われる。

が、いつか膝の痛みで山歩きが出来なくなるのかと思えばちょっと寂しい。

街路樹を究JYする

広島の街路樹はいくつかの種に分かれる。シナサワグルミ、ナンキンハゼ、センダン、クスノキ、アメリカスズカケノキなど。

昔はもっとポプラやイチョウがあったように思うが。

ポプラと言えばこれがヤナギの仲間だということを知ってる?

葉柄が縦に平べったい、そう、ヤマナラシと同じだ。この仲間がポプラ。ポピュラーと語源は同じ、ラテン語ポプラス(人民)が木陰に集う、ことからついた名前。このヤマナラシ属の総称がポプラ。

芸北町役場に植えられているのがそうだ。

次にプラタナスについて。

「友と語らん、鈴懸けの道…」。もともと鈴懸けと言って山伏が肩からぶら下げていたものに実が似ているから。アメリカスズカケノキとかモミジバスズカケノキを良く見るようになった。樹皮にも特徴があるが、実の数に違いがある。モミジバ…はふつう2個、アメリカ…は1個ぶらさがる。

そして楓と書いてフウ。カエデ科ではなく、マンサク科の紅葉がきれいな樹木だ。モミジバフウを良く見る。これは葉の裂け方が5〜7で、フウは3であることで区別する。

近場の樹木の観察

今年は木の実の多い年だった。

12月に入っても赤い実のなる木が目立つ。ナナミノキ、ソヨゴ、シロダモ、クロガネモチなど。黒い実のクスノキは大阪でも良く目に付いた。

市内では比治山や元宇品などへ行けば、鳥の観察とともに樹木の種類を相当覚える事が出来る。

宇品の灯台の駐車場には今年もエノキ、ムクノキ、シンジュが実を付け、海岸に出るとマサキやトベラも多い。セトノジギクの可憐な花に心安らぐこと請け合い。

宮島も樹木の観察には良い場所だ。初冬でも木の実の観察は十分楽しめる。

サカキカズラやカギカズラ、ハスノハカズラなどここでしか見られないものも。

今年はイヌガシ、ミミズバイが良く実を付けた。カナメモチ、シロダモ、クスノキもいい。街路樹のアオギリが不思議な実を見せてくれた。観光の島は観察会にも絶好だ。

皆さん、良いお歳を。


{編集後記}

クリスマスの夜、大阪の忘年会に呼ばれた。

神戸に住んでいる女性が「二次会は神戸で。」と譲らない。出かけてびっくり、今年で3回目となる「神戸ルミナリエ」だ。元町から三宮までの広い道を素晴らしい電飾のアーチや夢の城。

呆然と口を開けたまま歩く人、ひと、ヒト。最終日の今夜は当然大混雑。

自分の名を書いたレンガを探し回る同僚、震災の時を思い出し、黙って立ち尽くす同僚。

広島から2時間かからない、来年是非どうぞ。