QJYつうしん105号

        休日は山にいます     1998/7/5

中国地方を代表する山 エゾアジサイの咲く 鳥取県西伯郡大山町 大山(1711m)

 

植物観察会

  鮎の塩焼き、冷シャブ、天ぷら、大山おこわ、小鉢×2、そば、アイスクリームetc  え?何の話かって。昨夜の休暇村・鏡が成の夕食。

  メニュー名は鳥取三昧で1万円コースのはず。何度も言うが二泊六食\15,000は安いよね。

もっとも、コレステロール過剰気味の私にはもっと押さえてくれても構わないのだが。

烏ヶ山、蒜山と二日間晴天が続いたので、ちょっと今朝は雨模様だ。

お陰で予定されていた「早朝観察会」が中止されてしまった。これは休暇村周辺の湿地をめぐる植物観察会で、フロント係のお姉様方が案内して下さるもの。日曜日のみか毎日かは知らない。

結局、雨はあがり、皆さん勝手に歩いていた。「お姉ちゃんの根性ナシ!」

この時期の湿原を彩るのは何と言っても新聞にも出たノハナショウブだ。平地ではとっくに終わっている花だが、ここでは今が見頃と言う訳。

その他、トモエソウ、チダケサシ、サワヒヨドリ、オオバギボウシが木道の回廊を飾り付ける。

出来て間も無いここの湿原が今後どのような変貌をとげるか、注目してみたい。

夏山登山道

休暇村の人が登山口まで送ってくれることになっているが、マイカーで来ているのでその必要は無い。

夏山登山道は混雑する「下山駐車場」に車を置いて登りはじめる。何しろ「下山」だから登山するのはおかしいが、一番分かり易い登山道だ。

利用料金410円。

ここからは昔、10月の紅葉シーズンに登った事がある。手早く山頂の空気を吸いたければ、この夏山登山道だろう。下山時に大山寺まわりで下りるコースも選べる。山頂までは2.8キロ。

決して楽では無いが、誰でも登れるコースでもある。

大山寺方面に50m行くときれいなトイレもある。そこは夏山登山道の登り口でもある。歩きはじめるとナツツバキの白い花が路上にこぼれていた。


10時からの登山はちょっとウカツだった。鏡が成の湿原歩きが楽しかったためだが、やはりここの登山は9時からにすべきだ。家族連れなどほとんどの登山客は既に登っている。

「小鳥の路」との交差点でエチケットの登山届けを出しておこう。

一合目・ブナ

一合目からブナがあるのも大山らしい。

ミズナラやウリハダカエデ、クロモジ、オオカメノキ、エゾユズリハなど。葉の細い、大山に多いヒメアオキに花が付いていた。

二合目・エゾアジサイ

雨の心配は無いが、濃いガスがかかって、山頂の見晴らしは絶望的。しかしその分しっとりとした濃い紫のエゾアジサイが気品高く咲く。

標高はここで1000mある。

スノキの実を口に入れ、見上げるとナナカマド。サワフタギ、マンサクの木。アクシバやツルアリドオシも咲いている。

三合目・オオカニコウモリ

イワカガミの葉も確認。大山の登山道は花仲間の間では五合目から、と言われる。しかしガスの中のブナやミズナラは落ち着いたたたずまいで申し分ない。これを見に来たのだから。

四合目・タニウツギ

ハリギリ、ナナカマド。足元にはマイヅルソウだ。ちょっぴり苦しいのもこの辺り。温度が低いので助かる。花を終えたタニウツギが「もう誰も見てくれないの。」と淋しく立つ。この地方で早乙女花と呼ばれる、田植えの指標樹だ。

落ち着いたブナ林の中、暑くなくて良かった。オオカメノキに色付き始めた実が。

五合目・ナンゴククガイソウ

ここでもうクガイソウが現れるとは思わなかった。花の大山と呼ばれるだけあって、オオカニコウモリやダイモンジソウも見つかる。相変わらずエゾアジサイの濃い紫色は艶やかだ。この花は標高が増すににつれて色も濃くなると言われている。

この少し上にあるのが「←元谷経由 大山寺へ」の看板、ちょっと行程は長くなるが、復路はここが変化があっていいかも知れない。

咲き始めたノリウツギやそろそろ終わりの普通のウツギ、標高1300mの地点ではヤマボウシの花が咲く。展望の良い場所でも今日はちょっと無理。クガイソウやつぼみのクサボタンが見え始めた。

六合目・ホタルブクロ

避難小屋の前は大賑わいだ。ベンチは大勢の登山者で埋まり、山の話題で花が咲く。コンクリート製のこの小屋は小さいものの、天候の急変に備えた重要な施設だ。ここでしばらく休んで登頂を諦め下山した人も多いはず。

背後にはホタルブクロが咲き、シモツケの赤い玉が可愛らしい。標高1400mではナンゴククガイソウがずっと咲き、夏山大山の明るいお花畑を見せてくれる。

ウラジロハナヒリノキは終わり、エゾノヨロイグサは豪勢な花で虫達にレストランを提供している。

これでガスが引いたら言う事は無いのだが。

七合目・シモツケ

昨日蒜山で会った三人がもう下りてきた。またの再会を約束して別れる。

階段の石組みをワイヤーメッシュで固定した崩落の保護は大山ならではの取り組み。

ここで「一木一石運動」を思い出し、ポケットに石塊をひとつ入れる。シモツケやエゾアジサイは確かに標高が上がるほどにきれいになっていく。

八合目・ダイセンキャラボク

意外なダイモンジソウからお花畑が始まった。

イヨフウロは赤い血脈の大きな花、カラマツソウの愛らしい花、「これからは私の季節。」とシモツケソウのつぼみ。ニシキウツギやノリウツギも多い。

急峻な大山登山もここまで来れば、ほぼ平坦な道となり、お花畑の景色に見惚れる余裕も生まれる。何と言っても木道があることで歩きやすくなる。

樹木と周辺のお花畑の保護のために木道が作られているのだ。

ここから目を引くのはダイセンキャラボクだ。

九合目・ダイセンオトギリ

木道の通行中に九合目表示があり、見落とすことがある。見落としてもすでにこの表示の役目は終わったも同然。あとはなだらかな坂の上に頂上が待っているのだから。

サラシナショウマが太い穂を付け、相変わらずのナンゴククガイソウ、ヤマブキショウマ、ところどころにイヨフウロと嬉しくてたまらない。

3時間かかってやっと昼食にありつけそうだ。

朝食はバイキングでしっかり食べたので問題無い。今日は早弁をしなくても13時まで持った。

山頂のステージ

頂上はステージ風に段が組んであってゆっくり座って山頂の景色を楽しめるようになっている。

今日はちょっとガスがひどいが。

大山の最高峰は1729mの剣ヶ峰である。だがここへの尾根路は崩壊が進み安全面から歩行を控える事となっている。

従って、山頂を1711mの弥山とすることにした。夏山登山道は頂上小屋のある弥山で山頂表示をして、登山者が無理をして剣ヶ峰に移動しないよう配慮している。

汗ばんだシャツが乾くと寒くなってきた。

[編集後記]

下山途中、六合目の避難小屋前で一組のカップルが休んでいた。若い男性の背にはビール2箱、18キロだ。頂上小屋に届けるバイトだと言う。

「デート代を稼いでいます。」と明るく話す。「デート代などかからないじゃ無いか。」とは余計なこと。