QJYつうしん 休日は山にいます 99年11月6日/10日
QJY138
紅葉の季節はやっぱりここ 三段峡 二つのルートを歩いてくらべる 戸河内町
@11/6(土) 三段峡駅からのバス
この時期、週末の三段峡は大変な混雑である。
いつもどおりJR三段峡駅前の駐車場に一日400円の駐車料を支払い、車を置く。ここから歩いて三段峡を散策し、帰りには「出合い」からここまで戻るバスに乗るようにしたい。
そう思ってバスの時刻を確かめようと、停まっていた三段峡交通のマイクロバスのところに向かった。そこにいたのは同社の社長、「今日は帰りの2時のバスは全員乗せてあげるのに何時間かかるかわからないよ。これからバスを出すから帰りを「出合い」からここまで歩きんさい。今日は読売松山の団体だけでも手一杯なんだから。」
なるほど、それなら先に「出合い」まで向かおう。700円のバスは20分で出合いに到着、葭が原(よしがはら)と呼ばれるこのポイントは茶店もあり休憩地点だ。
猿飛〜二段滝
あたりを見ると、ダンコウバイやマンサクの黄葉が素晴らしい。コアジサイ、ヤブムラサキなどが彩りを添える。むろん茶店の周囲で派手に紅葉しているのは植栽のカエデだろう。
ここから紅葉の山道を船着場まで歩く。
様々な樹木が足を止めさせる。サワグルミやウリノキ、ハスノハイチゴも多いぞ。
水にはカワガラスが遊び、落ち葉が水面を飾る。常緑のユズリハやアセビもきれいだ。
ホツツジは赤く染まっている。カメラを持った人が抜群に多い。天気もいいし最高だろう。
ちょっと珍しいオヒョウが何本か立っていた。イヌブナ、ケヤキ、イタヤカエデは三段峡の定番か。
猿飛の船着場も多くの人が順番を待つ。水深7mの底までしっかり見えて、水がとてもきれいだ。ヤマメ、イワナ、フナ、マスと船頭さんの説明も加わる。往復400円のツアーはものの10分もかからず二段滝に到着。どう見ても一段しか無いのは、近年の災害による地形の変化だ。
二段滝
水量豊富な二段滝をあとにして、次は三段滝だ。タカノツメの黄色が目立つ。ムラサキシキブは実を付け、オオクロモジも黄葉している。常緑はヒサカキ、そして山道に「山のサンゴ」クマノミズキの赤い花柄が落ちている。
コバンノキ、ミヤマハハソ、クロタキカズラが趣を添える。すれ違う人達が明るい挨拶を交わしてくれる。花はヤマシロギクくらいしか見つからない。
三段滝〜葭が原
三段滝への山道は近道があって、人通りも少なく快適だ。三段峡で人通りを考慮しなければならないのはちょっと情けないが、地元には年に一度の「稼ぎ時」なのだから共に喜んであげよう。
ハウチワカエデやコハウチワカエデ、ウリハダカエデは一本の樹木の上部の葉が見事に赤い。イタヤカエデは明るい黄色。
さあ明るい河原に出て昼食としよう。
山道はひっきりなしにハイカーが通る。団体のバス旅行らしき人達も多いぞ。
map
流れる水はすくって飲みたいくらいきれいだが、ここの上流は樽床ダムでその上は芸北町の生活廃水だ。飲用で無いことは常識的に判断しなければならない。
ケヤキの葉がはらはらと落ちる河原には他にもお弁当を広げる人達が大勢いた。
三段滝へは細い道ではすれ違いが大変だ。それにしても多くの人達、これでは紅葉を見に来たのか人を見に来たのかわからない。
終点の三段滝では明るい陽射しを浴びて、奥の借景の山麓が錦に輝いていた。
これから奥の「餅ノ木」への道は良く不通となるのだが、最近は通れるらしい。またいずれ。
サワグルミ。イヌブナの大木の山道を折り返し、茶店まで戻ると、トイレに女性の大変な列。男性用まで女性の列が作られているため小さくなって使用しなければならない。
葭が原〜三段峡駅
右手に川を見ながら一本道を三段峡駅まで歩く。大きな石が川の中央を塞ぐように転がっている。この光景だけでも特筆ものである。
流れに沿って
ムラサキシキブ、ムラサキマユミの実が見られた。意外やミスミソウやイチヤクソウの葉も確認できた。今までこの道は今回の逆ルートを歩いていたのだが、良く考えるとこの方が下り坂で早く歩ける。
トンネルをくぐり、南峰橋、蛇杉橋を渡り快適な山道を歩く。振りかえると日を浴びて紅葉が一段と映える。チドリノキ、イヌガヤ、ヤマアジサイなど新緑の頃の元気者が今はおとなしくしている。
小さな滝も多く、そんな場所にはイワタバコ、ダイモンジソウなどがある。足元にはキッコウハグマの咲いたあと。
黒淵ではつり橋を渡り、ボートに乗ってみる。片道300円でちょっぴり楽をする。渓谷は今朝の中国新聞朝刊に出ていた紅葉の写真の場所だ。
さらにトンネルをくぐり、野趣あふれる三段峡のハイキングは終了した。
A11/10(水)餅ノ木ルートから三段滝
この日は平日の休暇となり、何人かに声を掛けちょっと珍しいルートを使って三段峡を歩く事とした。本当は十方山に登ることで島根の人まで呼んだのだが、あいにく戸河内からの道が災害復旧のため使用できず、深入山の小板から餅ノ木への知られざる紅葉ルートを開拓しようと思ったのだ。
途中の紅葉は本日の見事に晴れあがった空をバックに過去にもあまり無いような素晴らしさで、いったい誰が今年の紅葉はダメって言ったんだろうと思うくらい。
餅ノ木〜三つ滝散策コース往復
餅ノ木に車を置いて、観察会でも歩いた柴木川沿いの三つ滝コースを歩く。
アミガサタケの仲間のキノコが一本出ていた。
ダンコウバイやハウチワカエデ、タカノツメが黄葉を競い、コマユミやコハウチワカエデが赤いアクセントで染める。
こうして歩いているだけで、人生最良の日を実感する。
風も無く、日溜りが暖かい。
平日なのにやはり多くの人とすれ違う。写真を撮っている人が多いのだ。赤い実のオトコヨウゾメと青い実のサワフタギが美しい。名も無い小さな滝と紅葉、山道を埋め尽くす落ち葉と木の実。
植物の種類は先日の三段峡と変わらないが、快晴の空の下ではこうも紅葉がきれいなのか。
ここは初めて通るコースだ。思ったより整備されていてきれいな山道を、まずは昼食の河原を探す。日溜りの明るい場所では昼寝したいくらい。
ヤマナシが転がっている。
昼食場所
のんびりして、また歩き出す。
三段滝まではずっとこんな感じ。
人が少ないせいかダイモンジソウなどが盗られなかったのだろう。ヤマシロギクとアキノタムラソウがかろうじて花として見られた。その他は実になっている花、名前をあげてみると。
ヤマジノホトトギス、キバナアキギリ、キッコウハグマ、キクバヤマボクチ、コアジサイなど。
落ちている実はウラジロノキ、ホオノキ。
三段滝
ミヤマシグレの紅葉も悪くない。常緑の輝いている葉はヤマグルマだ、こんぺいとうの実をつけている。あちこちに見つかる。
最後はヤマナシの実のたくさん落ちている、三段滝の上に登りたくさんの観光客を逆に眺めて引き返した。
駐車場代もかからず、人も少ない良い場所だ。
【編集後記】
東京で丸いおにぎりを見たことがある。広島では俵形のものを良く見るが、全国的には三角だと思っていた。
おにぎりにも地方地方で特色があるのだろう。
もっとも東京では「おむすび」と呼ぶそうだから、これを研究すると奥深いものになるかもしれない。
広島では「むすびのむさし」が有名だ。社長の浮田恵美子さんはご主人に作っていたおにぎりが好評で、ついにそれが本職となった人。米ははぜ干ししたコシヒカリしか使わないと言う。水は湧き水、海苔は佐賀産のもの。こだわりの人である。
「地エビの天ぷらうどん」と「おにぎり」が今日の昼飯だった。