ボクは助けられて〔人間は捕獲というが〕
いわきの新舞子に連れてこられた。


 その時のボクはおっかないイヌになっていて、てこずらせたらしい。でも11月13日には息子さんとその娘さん2人が会いにきてくれた。やっぱり僕は千代田家のかぞくだったんだ。
12月17日にさらに12月23日、明けて2月、3月とぼくにあいにきてくれた。

〈Sさん〉 コロは私の保護第1号でした。
     お腹がすいていてこわごわ近づいていてきた。
     警備がいないときだった。そこをみはからって、それって夢中で捕獲。
     いやレスキューでした。
〈コロ〉 ビックリシタなー。不意打ちでつかむんだもの。
     入っていけない地域なのにどうしてはいれたの?
〈Sさん〉そう、この地域は入ってはいけないところでした。
     帰宅困難地域です。でも千葉や東京、北海道の愛護協会のレスキューボランタリ-
     の方々が中に入ってエサをあげていた。
     近くにいる私は何かをしなければとおもった。
〈コロ〉 家の人は反対しなかったの?
     父親は神様がやるようなことに手を出すのはどうか、といって反対した。
     でもね、家の敷地を犬のシェルター用に整地くれたのは父でした。
〈コロ〉 こわおもてだったボクも貴女やお父さんのやさしさに触れて、人間って
     かならずしもわるい人ばかりでないとおもえてきた。人間が原発を作り、
     事故を起こして僕らを追い出したから、不信でこわおもてでした。
     会いに来てくれた信ちゃんたち。もう尻尾ふりっぱなし。
     あなたの苦労は大変だった。
〈Sさん〉1番悩んだのは仕事をやめるとき。
     特急常陸の客室乗務員をやめることだった。
〈コロ〉  仕事をやめ収入はなくなり、ボクらには出費はでるし・・・。
〈Sさん〉お金は大変、まず寄生虫やウイルス検査や避妊などで医療費5万円ぐらい。
     募金や物販でやってきたけど 支援がすくなくなりました。
     保護団体の方は当時の50分の1ぐらいに減りました。
     今も警戒地域のやせこけた犬たちに給餌箱をおいてくる。
     町の保健所の職員もやってくれます。
〈コロ〉 あなたのおかげでたすかった。数千匹を越える僕のなかまは、
     今もさまよっているか死んでいるか、悔しいよ。
     ボスなにか言って!
〈信ちゃん〉悪かった。
     家族も部落の仲間も原発事故で双葉から追い出され、
     転転と居をかえて君と一緒できる条件はなかった。
     部落もふるさともなくなってしまった。
     上羽鳥地域は空気も水も景色もよかった。今から思うと天国だった。
     魚は新鮮、野菜はいつもみずみずしい。裏山ではきのことり。
     鯉を飼っていた池で魚釣り、部落の仲間と盆踊り、普段行き来して、
     お茶っこと自然にこえかけて支えあった。
     ・・・それが・・・悔しい・・・。
〈コロ〉 ボクもえさをはこんでたすけあったよ。テレビで見たでしょう?餌はこぶ犬。
     仲間と会えなくなった。どうしてるかなー。
〈信ちゃん〉そう、つらいのはそれだよ。僕も同じ。
     なじんだ仲間とはバラバラ。
     仮設住宅の仲間を見舞いに行くのも30時間もかかる。
     次々病気でなくなっている。
     私の連れ合いも避難して心労でなくなってしまった。
     天国から地獄におちたおもいだよ。悔しい。

     コロ、いいかい。
     犬〔動物〕として君には原発でひどい災いを与えた人間社会
     を見つめつづけてほしい。君のまなざしに答えるのは人間しかない。
     僕は人間、孫もいるし、よくしてくれる千葉や四街道や親族、
     そして日本のみんなが2度と私らがうけた災難をさせてはならないから。
     君は証人になってね。

     
     
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