べろ出しチョンマ  斎藤隆介


  「長松は「ウメ!こわくねえぞ!アンちゃんを見ろ!」と叫んで、眉毛をかたっと下げて べろをぺろっと出しました。 見ていた村人たちは、泣きながら笑い、笑いながら泣きました。 長松は、べろを出したまま槍で突かれて死にました。」

 この場面は 江戸時代、圧政の中で農民の立場にたつ名主一家(佐倉惣五郎を題材にして書いたといわれるが)、 家族にまでおよぶ磔の極限状況下で「怖いよう」とおののく妹に「いつものようにべろっと舌を、おどけて 出して笑わせ、ともに笑いながら槍?に刺される最後をむかえます。その場面です。 農民の窮状を江戸でお上に直訴した名主(長松チョンマの父)が捉えられ過酷な境遇の中おかれます。 お上は残された子供たちもひっとらえます。 3歳の妹ウメを年端もいかない兄ちゃんのチョンマが優しくいたわりそだてていたのを、ひっとらえ、 農民への見せしめのため磔の公開処刑する場面です。親を求めぐずり泣く妹をわらわせていた兄妹をです。

 この童話に接した今のお母さん、お父さん、お爺ちゃん、おばあちゃんも、きっと泣き・笑いの思い出があるに違いありません。 年寄りには「再び生きる力というか、生きる意味を」与えていたのです。3世代にわたって作者とその作品の「優しさ」が、 生きる勇気と感性をひきだしてきたのではないか。 この作者を 私が誇りに思うのは四街道に長くおられたことの親近もさることながら、この作品でもわかるように庶民的、民衆的においを持つ日本を代表する稀有な 童話作家だと思うからです。 翻って今日、今日本の為政者の傲慢さ、うそ、不正がとどまりません。 競争社会でエゴ充満する日本の政治社会の中で、とんでもないアクションに出ていることです。シールズです。 「私たちの未来を勝手に決めないでくれ」といって国会周辺を埋め尽くしました。 奥田さんというシ-ルズのリーダーで国会証人を務めた青年はホームレス救済の自立した学生でした。 国会周辺を埋め尽くしましたもう一つの流れは「若いママさんの会」女性たちでした。命を懸けて産み育ててきた子 供が戦争で、殺し、殺されるのはごめんだ。と。殆どのひとは初めてデモに参加してきたといいます。動員されて参加したひとではまったくありませんでした。(安部チルドレンの国会議員がデモしているものは、戦争に行きたがらないだけではないかと発言し物議をよびました。) 人間的な「優しさ」が」笑いと,行動する勇気を生んだといえます。

 私は心底から笑いができるように、日常の中にある「優しさ」を大切にしたいものです(自戒)。 べろ出しチョンマは大人と年寄りの本でした。 いま習活活動中ですが、本や書類の整理を始めている最中にこの本に再び出会いました、






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