象の耳は蝶々
インド人の右手は象の鼻
光に包まれた庭でページが捲れる
突然の音
緑に包まれた庭で本を閉じる
5メートルもの枯れた椰子の葉が重力に従う
アッチュー
アッポー
シャージー
ビンディー
みんな同じ命
同じ地球の命
甘い香り
山の向こうのお茶畑
海の向こうの沈丁花
町中のコーヒーの花
風が運ぶ甘い香り
白く遠く
揺れるバナナの葉
入り口のブーゲンビリア
足元のカルダモン
屋上のブラック・ペパー
通学路の子供たち
電線を伝う蟻
椰子に絡まるバニラ
マンゴー
ジャック・フルーツ
ナツメグ
シナモン
コリアンダー
悲しそうに犬が鳴く夜
苦しそうに鳥が啼く夜
牛も
山羊も
ハチドリも
あの頃の俺も
誰もが闇に思いを忍ばせる
きっと部屋の外は星空
満天に輝く思いの結晶
零れて輝く今
あの頃
絡まる緑
鬱蒼とした秩序を光の束が刺し貫く
溶けあって
漂って
リスは鼠
七面鳥はトカゲ
バナナは芋
象は牛
人は猿
業は業
みんな同じひとつの命
ゼロに戻ってゆく
出発はゼロから
この瞬間
2007年2月7日 クミリ