磁石も見つからなければ、地図もないのに


とにかく船出をしなければならなかったのです。



アラスカの自然を撮り続けた星野道夫は


日本を離れる時の、がむしゃらな若い頃を、そのように回想した。




36年ほど生きてきた自分は


経験や知識という、磁石や地図は持っている。(つもりだ)


しかし、そういったものを手にするほど勇気や瞬発力は落ちてゆく。



きっと、今、旅立たなければ、自分に言い訳をしながら生きてゆくだろう。


人を見て良いなあと思いながら生きてゆくだろう。


やれば出来ると思いながら、永遠にその時は訪れない。




漕ぎ出すんだ。





                     2003年6月21日 東京