終日降った雨を、のんびりとやり過ごした。


雨上がりの今日は快晴だ。


海岸線を走ろう。




昆布森海岸。


厚岸湾。


あやめヶ原。


ビワセ展望台。


霧多布岬。


なぎさドライブウェイ。




アップダウンを繰り返すヘアピンカーブ。


もう20分以上、対向車は無い。


森を抜けるたび、ちいさな漁村が現れる。


手拭いを頭に被ったおばさんたちが昆布を干す。


昆布がキラキラと太陽を反射する。




浦雲泊(ポントマリ) 船がかりの出来る小さな入り江


冬窓床(ブイマ) 海の中に立つ岩


初無敵(ソンテキ) 沼のような静かな浦


賎夫向(ケネフネップ) はげ山で石落ちるところ




所々に集落を説明した看板が立っている。


アイヌの文献を紐解いて成り立ちや歴史が書かれている。




裏山に炭鉱があり石炭を海上から搬出していた場所。


砂浜が広がり昆布の好漁場であったが


海岸の浸食が激しく、今は一戸もない場所。


以前は夫婦岩と呼ばれていたが、今はひとつの岩しかない場所。


和人が明治30年代に住み着いて栄えていたが


昭和16年9月の豪雨で裏山が崩れ埋流した場所。




誰もいない海にたたずむ。


人間の営み。


時間の流れ。


地球の鼓動が、全ての命を覆ってゆく。




昨日訪れた野付半島は、ずいぶんとその風景を変えていた。


森に対する海水の浸食が進んでいたのだ。


変わってしまった風景に、数年前に訪れた時の感動は無かった。




なんて美しいんだ。


ずっと変わらずいて欲しい。


自然に対して湧き上がる無邪気に純粋な気持ちの中に


人間のエゴは含まれていないだろうか。




自分の都合の良いように環境を変化させてゆく。


それが人間という種の特徴だ。


人間が変えてしまう部分も含めて自然なのだ。


変わらずいて欲しいと感動した秘境へと続く道には


人間に踏み潰された多くの命の亡骸があった。




全て命は変化してゆく。


変わらない自然は無い。




空には秋の雲が広がる。


夏を追って南下したが、此処にあるのは秋だ。


北海道の学校は、数日前に2学期が始まった。


空気は透明度を増し、空は高くなってゆく。


光の粒子がダンスを続ける。





































       2003年8月30日 昆布森海岸