で、でかい。


あまりの大きさに笑ってしまった。


動物病院に壁画を描いたと聞いていたので


待合室に描かれた、窓二枚くらいの大きさのものを想像していた。




札幌にある高橋動物病院を訪ねた。


屋上に案内された。


振り返ると、ドーンと飛び込んできた。


かおパンらしいなあ。


それにしても、でかい。


どこまで下がってもファインダーに収まらない。






(右側には犬が描かれています。是非、実物を見て下さい。)




KAOKAOPANDAさんと出会ったのは「金子鉄朗 所蔵品展」でのこと。


差し出された名刺に、イラストが描かれていた。


あ、あの絵だ。


見た時、すぐ分かった。




江ノ電の駅には、各駅周辺をモチーフにした絵が飾られている。


開通100周年記念としてKAOKAOPANDAさんに依頼されたものだ。


奔放に爆発している作品は、一度見たら忘れることはない。




「俺、この絵、知ってるよ。江ノ電で見た」


「えーっ!ホントですか!」


ということで友達になった。




4月、札幌への出張があった。


同じ日にKAOKAOPANDAさんも札幌に飛ぶことを知った。


夜12時過ぎに仕事が終わり、朝まで一緒に飲んだ。


会うのが3回目だったので、お互い札幌にいるのが不思議だった。


翌日からKAOKAOPANDAさんは壁画を描き始めた。




彼女の絵が凄いと思うのは初期衝動を持ち続けている点である。


描きたくて描きたくて。


楽しくて楽しくて。


子供が描いた絵のような、そんな気持ちがストレートに溢れている。




そういった初期衝動は一般的には失われてゆくものである。


経験を重ね、テクニックが向上すると共に失われてゆく。


特に、それを仕事にして、他者の意向を取り入れた場合は顕著である。




経験が怖れを呼び、慣れが惰性を呼ぶ。


頭で考える領域が、ブレーキを掛ける。




KAOKAOPANDAさんの個展を見に行って分かったことがある。


体を使っているということである。


彼女は絵を描くのと同じくらい、海と波乗りを愛している。




自然の恵み。


命の尊さ。


生きる喜び。




彼女は絵のモチーフを、波乗りを通じて感じ取っている。


体を動かしながら海から感じ取っている。


それが初期衝動を失わない秘密なのかもしれない。




個人的に一番好きな作品のタイトルは「心も体も」だ。


これほど彼女の絵を現している言葉は無いかもしれない。


体を使っているから温度がある。




湧き上がり、ほとばしり出す何か。


これからも自由にでっかく爆発する絵を見せて欲しい。


心で感じて、体を動かして。











          2003年9月13日 札幌