急にひんやりとした湿度を感じる。


遠雷が聞こえた。


スコールがやって来そうだ。



ここ数日、午後に一時間ほどの雨が降る。


季節は少しずつ夏に向かっているようだ。



元気ですか。


キューバでは色々教えていただきありがとうございました。


こちらはボリビアにいます。


思ったより治安も良く、御飯も美味しく、順調に旅を続けています。


それでは、元気で、良い旅を続けてください。



南に飛んだ旅人は、すでに赤道を越えた。


彼らの季節は北半球とは対照的に冬に向かってゆく。


ポツポツと大粒の雨が落ちて来る。



カフェに入りエスプレッソを注文する。


切り取られた風景のような窓枠の向こう側。


人々が足早に通り過ぎてゆく。


傘を差している者はいない。


すぐに止むことを知ってだろうか。



トタン屋根を叩く雨音がBGMをかき消す。


やがて人通りが途切れる。



窓の外の激しい雨を見ている。


旅の途中のポッカリと開いた時間。


思考が停止する。


現実が遠ざかる。


少し眠ったようだ。



時々、現実が遠ざかる。


窓の外の雨を見ていた。


遠くで燃える火事を見ていた。


モニターの中の戦場を見ていた。


しっかりと現実を捕まえるため雨の中を歩き出す。











    2004年4月26日 サンクリストバル・デ・ラスカサス