旅の空からの伝言
2005年9月18日 ハノイより
オンボロガタピシバスが一夜の揺りかご。
ホイアンからフエを刻んで北に730キロ。
14時間のバス移動。
月明かりに浮かび上がった海が右手に見えていた。
ハノイにいます。
青いパパイヤの香りの街。
マンゴーでも買ってくるか。
ランブータンが高いなあ。
マンゴスチンはあまり見ない。
シクロのおっちゃんとアイム・ファインのハイタッチ。
黄金色に輝いて刈り取り真っ最中だった田圃は、青々として風に揺れています。
ずいぶんと北に上がってきた感じがします。
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9月12日、笠置 華一郎氏が亡くなりました。
反体制を貫いた世界革命浪人。
メキシコ、チアパス州、サンクリストバル・デ・ラスカサス。
ゲストハウス「カサカサ」の主。
笠置さんの宿には1ヶ月間お世話になりました(この旅最長)
一緒に飲み打ち語る毎日。
生きる自由を体現していた。
御冥福をお祈りします。
合掌。
■あらゆる世界が ありうる世界を:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/a-world-0155-01-hana.htm
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■やじまくんへのレスポンスより
まずは個展の開催おめでとう!
矢島くんの書き込みを読んでネット屋を出ようとするとどしゃ降り。
最近のハノイは1日に30回ほど雨が降る。
満月の夜も雨の夜。
雨宿りをしながら宿に戻った。
晴れていたら子供たちが夜の街に繰りだして満月の灯りで遅くまで遊ぶらしい。
写真と酒とジャズとおしゃべり。
26日の月は今宵もきっと幸せな時間が流れていることだろう。
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■かこさんへのレスポンスより
つい先ほどネット屋での風景。
「キャン・アイ・ユース・ディス・ディスク?」とフロッピーを出すと
まずはチェックをさせてくれとのこと。
店員がウイルス・チェックのソフトを立ち上げようとしていると
何処か良くない所を触ってしまったのか一瞬全ての電気が消えた。
メールを打っていた3人の客はデータを失い凍りついていた。
3人の東洋人(たぶん2人は日本人)
店員は謝りもせず3人はパソコンの前で固まっているだけ。
日本人らしいなあと思いました。
「こらー!何すんだ!金払わんぞ!」くらい言っても良いのに。
最近は「ええ!日本人なんですか!」と頻繁に言われます。
距離も感覚も風貌もずいぶんと遠くまで来たなあと思います。
倉敷にお世話になってからもうそんなに経つのですね。
プリクラからはみ出す勢いでまたいつかお邪魔させていただきます。
言葉として出してゆくこと、とてもむずかしく思う時があります。
思って手放して進んでいます。
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2005年9月20日 ハノイより
ねえ、どうしてぼくたちはいつもいつも走りつづけるんだろう?
君を残して旅に出て何日か過ぎて
今日ははしゃぎすぎで疲れて昼寝をしたから
眠れなくなって宿を出て星なんか眺めてる
東京は雨
沖縄は夜
快晴のリオデジャネイロ
ヘルシンキの白夜
なんだかもう君に会いたくなった
(新井 悠ノ介「夏の終わり」より)
「覚えていますか。ハノイ在住の新井です」
突然のメールとその内容。
ちょっとした嬉しい驚き。
以前、友人を介して一晩だけ東京で飲み明かした詩人は現在ハノイに住んでいた。
寺子屋のような小さな教室(兼自宅)でベトナムの子供達に日本語を教えているとのこと。
会うのは二度目。
チャリンコでやってくる彼を安宿の前に座って待つ。
ともあれ今夜はたくさんビールを飲む夜。
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■新井 悠ノ介さんへのレスポンスより
ハノイではどうもありがとう!
お陰様でとても楽しい夜だったよ。
その後もベトナムからはたくさんの貴重な経験をさせてもらっている。
大切なことは静かに時にズカズカとやってくる。
深い闇を見つめていると光がすごく眩しい。
ありがたいことだね。
本当のことは経験を通じてしか学べないんじゃないかとも思う。
「ベトナムを嫌いにならないでくださいね〜」
ふらふらと夜に消えていった新井君とまた何処かで話の続きをしたいと思ってます。
次は何処で飲めるのか楽しみにしています。
良い日々の旅を!
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2005年10月1日 サパより
ハノイにて申請した中国ヴィザの受け取り証の氏名欄には「鉄朗 日本」と書かれていました。
ちょっと感動。
こういった場合どこの国でも100%アルファベットだったのに。
さすが漢字の国。
中国との国境まで38キロ。
サパに来て1週間が過ぎようとしています。
此処はハノイから北西へ250キロ、標高1600mの地点。
ベトナムがフランス領だった時代に避暑地として開かれた場所です。
黒モン族、赤ザオ族、花モン族。
周辺には少数民族の美しい村が点在しています。
美しい山々の急斜面一杯に棚田が作られています。
「どん!どん!」
聞こえてくるのは脱穀をしている音です。
1メートル四方くらいの大きな枡の内側に稲を打ちつけて脱穀します。
どこから聞こえてくるのだろう。
遥か遠くの斜面で作業が行われている場合は音が遅れて聞こえます。
稲から外した籾は足で踏んで外します。
それを高い場所から下に落として米と籾殻に分けます。
軽い籾殻は風が何処かへ運んでゆくのです。
深い谷を流れる水の音。
何処からか聞こえる子供達の遊ぶ声。
山のてっぺんにかかる雲。
昨日は黒モン族の女の子ジェイ、イエッ、クッと10キロ程散歩をしました。
売り物のミサンガを手に巻いてくれたり、花を摘んでプレゼントしてくれたり。
恥ずかしがっていた写真もたくさん撮らせてくれました。
12歳くらい(子供を産める体)になると結婚する黒モン族。
9歳のクッ、イエッは充分にお年頃。
黒モン族の男の子とすれ違う時の反応が面白い。
裸足で歩いていたのに、手に持っていたサンダルをいきなり履く。
雨も降っていないのに傘をさして隠れる。
真っ赤になって口数が減る。
黒モン族以外の男の子には全く反応しないのも興味深かった。
最後はスプライトとお菓子で乾杯。
炭酸が沁みるらしく涙目になっていました。
明日、中国に入る予定です。
英語の通じない分、筆談で乗り切ります。
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■KOMINEさんへのレスポンスより
「ベトナムの農村の少女の瞳が・・・」
剛さんが良く話していたのはサパのことだったんですね。
金子さんだったり、てっちゃんだったり、鉄朗さんだったり。
いつも呼び方の違う浮世離れした剛さんは何でもオッケーですよ。
今度は何て呼ばれる(書き込まれる)のか楽しみにしています。
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■Yu-kiくんへのレスポンスより
書き込みありがとう!
なんだか今初めてゆーきとホントに話をしたような気がする。
出会えるのはほんの一瞬。
もっと違う時間を持てたかもしれなかったとも思う。
サイトを見てくれて書き込んでくれてホントにありがとう!
また旅の空で会えると良いな。
自己確認、自己満足、自己顕示。
表現に見え隠れする、そんな「自分が」を捨て去った場所へ俺は行きたい。
何かを表現しようとしなくても、すっと真ん中に通る光を伝えられるようになりたんだ。
風が吹くように。
花が咲くように。
星が瞬くように。
そんなふうに旅も出来たら良いな。
そのために世界を鏡に自分を見てみる。
生きていること自体が表現で、生き方が発光するくらいに生きる。
このHPはまだまだ通過点です。
何かをしようとする気持ちは美しい。
どうもありがとう!
良い旅を!
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2005年10月7日 大理より
寝静まった真夜中に鍵をしていた部屋のドアが突然開き、
宿の従業員が入ってきて、黙ってテレビを運び出した。
「すいません」も「失礼します」の言葉も無し。
開いた口がふさがらなかった。
これは人から聞いた中国での話。
そんなこともあるんだなあと思っていた中国入国初日。
熟睡していた午前2時。
真夜中のノック。
「誰?」と何度聞いても返事は無い。
うるさいノックが続きドアを開けると、宿の主が入ってきて、黙って掛け布団を持っていった。
持ち去ろうとする枕は阻止。
当然のように「すいません」も「失礼します」の言葉も無し。
なんなんだ、おまえ。
中国に入って変わったこと。
トイレのドア(大便)が無い(今の所60%の確率)
手を洗う水道が無い(ことが多い)
自分が出した物を流さない。
そこらじゅうが糞尿臭い(人糞生存要と壁に書かれていた)
痰を吐きまくる(タクシーの中でも)
戦中を引きずっている(ように感じる)
おつりを投げて返すこと多々有り。
英語が全く通じない。
おばちゃんが公園で体操、ランニング。
シート、ベッドが硬い。
禁煙の車内で煙草を吸う。
作業員達(道路工事)がブリーフ1枚。
横はいり。
声がやたらでかい(深夜でも)
足音がやたらうるさい(深夜でも)
挨拶はまず返ってこない。
表情が少ない(しかめっつら)
たくさん注文して食べ残す。
常識無いのかよと思いながら、自分の感じる常識とは何だろうと自問する。
自分の常識なんて怪しい物だとは思っているのだけど・・・
歴史。
民族。
気候。
習慣。
風土。
国策。
近くて遠い国、中国にいます。
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■真実さんへのレスポンスより
ベトナムの人々も親切で優しい人々なのだけど
お金が絡む場面になると、なんだか変なスイッチが入ってしまう。
不思議なくらい金銭面でのトラブルばかりが続いた。
「大きいお金で払って良いよ、スモールマネーにエクスチェンジしてあげる」
そう言うから100000ドンで払うと、それをそのまま自分の財布に入れてしまって、
お釣りも出さずにしらばっくれたおばさんもいた。
はじめは冗談だと思っていたが本気だった。
常識の違いというより、あれらはほとんど犯罪行為だ。
やれやれと思いながら、椅子を叩きつけて、また怒鳴りつけるしかなかったよ。
中国に入ってからは金銭のトラブルが全く無くなった。
(&バイクとそのクラクション激減。自転車多し)
ただ中国でも「???」と思うことは多い。
自分(多くの日本人)がマナー、エチケットとして認識している点がでたらめ。
マナーやエチケットは自分が嫌な事は、他人に対してしないということなのだろうから
中国人は自分がそうされても平気なのかな。
突き詰めると歴史や民族や風土が見えてくる。
その先に日本や自分自身を見ることにもなる。
旅はホントに貴重な経験をさせてくれる。
ベトナムはおばあちゃんが素敵な国だね!
カンボジアは子供たちが最高!
インドはじーさん!
せっかくカンボジアで真実に再会したのにたいした話も出来ずに残念だった。
それくらい体調が最悪だったんだ。
結局、アンコールワットでのツーショットも撮れなかったなあ。
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■miniminiさんへのレスポンスより
悠好!
上海での仕事は順調なのかな。
伏見のことだから上手くやっていることと思う。
それにしても中国は大変な国だな。
まあ、こういう良い意味でも悪い意味でも力強い民族が生き残ってゆくのだろう。
そこで働いている伏見は凄いよ。
とても俺には出来ない。
俺は今、雲南省の大理にいる。
中国人観光客も多い。
今日は雨だ。
この辺りと上海とはきっと全然違うんだろうな。
伏見の見た中国も色々と聞かせて欲しいよ。
それでは、また、いつか!
再見!
A.K.A チンツー・ティエラより
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■sakuraさんへのレスポンスより
ホントひさしぶりだなあ!
夢に出てきた俺は相変わらずだっただろう。
そちらは元気にしていますか。
新婚生活はラブラブに順調ですか。
中国は面白いね。
コノヤロウと思いつつも同時に自分の狭量さも見えてきたり。
マイナス感情もトラブルも自分の枠を広げるチャンスだ。
渦中にある時は、それどころじゃないのだけど。
先日は中国人を泣かした。
嗅覚が一番先に環境に適応すると聞いたことがあるが、俺はまだ慣れない。
でもちょっと小学校のことを思い出したりした。
俺が低学年の頃はまだ水洗じゃなくて臭かったんだ。
今いる宿はトイレにドアがあるのだけど、それなのに締めずにしている奴がいた。
ふんばってる奴と目が合うのは、なんとも気まずい思いがする。
それに、自分で出した物は自分で流して欲しい。
臭いと共に凄いてんこ盛り。
たくさん食べる民族というのをまざまざと見せ付けられた。
とにかくドアは閉めて下さい!
そして自分で流して下さい!
金木犀プリーズ!
チンツー・ティエラより人民へのお願い!
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2005年10月9日 大理より
感じる自分は止めることが出来ないのか。
ベトナムではお釣りが返ってくるまで気が抜けなくて
食事のたび、物を買うたび、支払いが大変でした。
お金のことを度々意識している自分を嫌だなあとも思っていました。
そういう状態にある時(ネガティヴな面ばかり感じる時)気をつけたいのは、
もっと大切なこと、美しいことを見落とさないようにすることだと思っています。
中国でのあれやこれやには随分と慣れました。
(臭い以外)
ちょっと前の日本もこんなふうだったのだろうとも思います。
自分と姿かたちが似ている民族だから、よけいムカつくというのもあるのかもしれません。
そんな時、なにげなく饅頭屋から聞こえてきた女性の鼻歌は、限りなく美しかった。
全ての過ちを瞬間で許してしまえるような。
全てのマイナスを瞬間でプラスに変えてしまうような。
自分自身のチャンネルが変わったようにも感じました。
これこそが表現というものでしょう。
大理には冷たい雨が降り、ずいぶんと冷え込みました。
ボリビアで買ったフリースとチリで買った毛糸の股引を着込みました。
そして、耳元を蚊がぶーん。
晴れ間が覗いたら喜州というペー族の村まで行ってみようと思っています。
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■キホさんへのレスポンスより
テクニックは贅肉だと言った人がいました。
ふうっとこぼれ落ちた裸の歌。
上手いとか優れているとか有名だとか。
そんなことは割りとどうでも良くて、自分の場合、心が動くのは、
零れ落ちたものがいかにそのひと自身であるどうかということです。
ひとりの相手に対して自らの思いを伝えるためだけに存在する歌というのも
鼻歌とはまた別の意味で強いと思います。
マーケットや第三者を意識していない点がポイントです。
歌は人の感情にダイレクトに訴えかけますね。
この旅で出会えたいくつかの歌も宝物です。
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■キホさんへのレスポンスより
時間、空間を超えた人類何十万年の旅。
ありがとうございます。
御言葉、身に余ります。
俺の旅がホントにそんなふうだったら良いですね。
万事順調というわけにはいきませんが、
3歩進んで2歩さがるくらいのペースでこれまでは進んでこれたのではないでしょうか。
人間の存在は1500万年前に登場したイネ科の植物と大きな関わりがある。
そんなことを何かの本で読んだことがあります。
人類はイネ科の植物(米、小麦、トウモロコシ等)に依存することにより、
今まで生き延びてくることが出来たのであり、それらの存在がなければ、
人間、文明、テクノロジー、ニューヨーク、東京、科学、宗教、芸術、
全て存在しなかったのではないか。
そんなことを考えてみると、全てはお互いに繋がりあっていること、
人間は地球上に存在する3000万種のうちのひとつであることを思い知ると同時に
もしかしたらほんのちょっとしたことで私たちの文化や習慣や生活の在り様は
全く違うものになっていたかもしれないなどと思ったりもします。
旅を通しても、各国の多様さに触れ、同じようなことを思います。
生命が歩んできた奇跡の旅の延長線上にある今という時空間。
美しい未来を思い描きながら精一杯生きたいと思います。
まだまだ旅の途中です。
キホさんも良い旅を!
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■sakuraさんへのレスポンスより
ニーハオ!
女性のトイレはどうなんだろうと思っていたけど、やはりドアは無いのか。
臭いのか。
しかも脱いで待つ!
これで足踏みなんかされたら、出かけたものも止まっちゃうかも。
凄すぎるなあ、中国。
電撃的に結婚したと思ったら、既にバツイチとは。
結婚を始めて、それを終わらす。
相当なパワーが必要だったんじゃないかな。
休むのも飛び立つのも本来は自由。
このサイトから自由を感じてもらえたら嬉しい。
どうか豊かな休息であるように。
そして、また、行っちゃってくれ。
懲りないのは才能だ!
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■Masaくんへのレスポンスより
ひさしぶり!
ジンバブエからの書き込みありがとう!
アフリカ縦断の終点、南アフリカが目前だね。
ヨハネスバーグからブエノスアイレスに飛ぶのかな。
夏。
パタゴニアにブラジルのカーニバル。
南米は良い時期だよ。
中国はホント近くて遠い国。
常識が全然違う。
戦後急激に日本が遠くに行ったのかもしれないとも思う。
南米にいる時は日本を旅することに憧れていた。
京都、沖縄、金沢、東京。
半分エトランゼの目で日本を見たらどんなにか面白いだろうと。
今は逆に日本から離れたい気持ちが強い。
アジアを旅して日本に近づくにつれて芽生えてきた感情。
さて次は何処へ行こうかな。
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