真夜中に起きて、時々星が流れる満天の星空のもと頂上をめざす。


気温は4度。吐く息は白い。

ヘッドランプで照らさないと足もとさえ見えない闇は

現実感をあいまいにする。

振り返った視線の先には、かすかな街明かり。

登山者のヘッドランプが闇のなかに列をつくる。


進むということは、右足を前に出した次に左足を前に出すことなのだな。

登るということは、前に出した足のひざをのばすことなのだな。

その際、ももの筋肉をけっこう使うな。

ひとかけらのチョコレイトさえエネルギーになるのだな。


一歩進むのさえつらいけど、引き返すこともできないくらいに

登ったころ、頂上に着いた。