「作品にコメントを付けて欲しい」

          個展が始まって2日目に会場である
          BEN'S CAFEのスタッフからリクエストがあった。

          どこで撮ったかを知りたがる人がかなりいるらしい。

          コメントを付けることは、個展を始める前に何度も考えた。
          そして、結局、写真だけを展示することにした。

          写真と向き合った時に何を撮ったかとか
          どこで撮ったかということより大切なことがあるのではないか。

          先入観なしに、写真と純粋に対峙して欲しい。

          説明してしまうことで見る側のイマジネーションや
          インスピレーションの領域を狭めてしまうのではないか。

          そんなことがコメントを付けなかった理由である。

          情報が溢れすぎて与えられることが当たり前に
          なってしまっている時代への反発もあった。

          作品と対話する。
          自分自身にわき上がってきたものを大切にする。
          その上で初めて作品の背景に興味が移るのだと思う。

          説明を欲する気持ちもよく分かる。
          実際、思ってた以上にその声は多かった。
          どんな方法でどこまで説明するか。
          今後の課題である。


          「これって北欧の森のなか?」
          「トトロがいそうだね」
          「カナダの辺りかなあ」

          この写真は新宿御苑で撮った。
          おおきな木の根もとがこのようになっている。
          詳しくは分からないが
          気根のようなものが、地面から出ているのだと思う