今年になって10年ぶりにバンドを再開した。

     10年前と同じメンバーで。


     ギター×2、ベース、ドラム、ボーカル。

     ローリング・ストーンズと同じメンバー構成だ。

     演っているのは、10年前と相も変わらずのロック。



     大学生であった当時は、いつも、ひとりぼっちのような気持ちでいた。

     5人で同じ音を出していても、いつも孤独だった。

     狭いスタジオでバカでかい音を出していると

     自分が分厚い壁に取り囲まれているような気分になった。

     叫び続けたらあの壁をぶち壊せるかもしれない。

     そんなふうに思っていたのかもしれない。

     そして、 いつまでも、転がり続ける石でいようと思っていた。



     今は、スタジオで音を出すのが、単純に楽しい。

     そして、何より、この5人で集まれることが、うれしい。

     本当の意味で5人で同じ音を出している。

     音の純度も高くなってきたように感じる。

     孤独を感じるようなことはもうない。

     壁は自分自身が作り出していた。

     孤独なのは自分だけじゃないのだ。



     ”転がり続ける石でありたい”という思いだけは今も変わらない。

     そして同時に、”大地にしっかりと根をおろした、

     どんなことがあってもゆらぐことのない存在でありたい”とも思う。



     明日は今年になって7回目のスタジオだ。

     20世紀、この5人が集まるのは最後になるだろう。

     そして、この先も、相変わらずのロックを演ってる5人であるだろう。



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     AND TO BE A ROCK NOT TO ROLL

                                
                                     2000年12月9日