「あなたにとって働く喜びって何ですか」


          ある問いかけに、自分なりの答えを出してみた。


          それは、生きる喜び。


          「働く喜びは生きる喜び」

          10年ほど働いて、今は、このように思っている。


          社会に出たばかりの頃なら、やみくもに、まっすぐに

          「夢の実現」とか答えたかもしれない。


          社会に出て2年程経ち

          自分の夢だった仕事に就くことができ

          成果を出そうと365日、24時間くらいの
 
          テンションで働き続けて身体を壊した。


          37・5度前後の熱が一年以上下がらず

          体重は45キロまで落ちた。

          ドクドクドクドク心臓の鼓動は

          常に驚くほどの速さだった。


          それでも、毎日20時間くらい働いていた。

          確かに、やりたい仕事をやれていたのだが

          正直、辛かった。


          その時、ふと思った。


          例えば報酬が無かったとしたら

          自分は今の仕事を続けているだろうか。


          答えはNO。

          自分の出した答えに驚いた。


          そうか。

          自分が夢だと思ってたことは、所詮、この程度なんだ。

          本当の夢なら、お金なんか貰わなくても、続けられるんじゃないのか。

          本当の夢なら、睡眠時間なんかなくても、続けられるんじゃないのか。

          本当の夢なら、どんなに辛くても、続けられるんじゃないのか。


          御飯を食べる。

          ビールを飲む。

          友人と会う。

          旅に出る。

          HPを作る。


          報酬なんか貰わなくても

          お金を支払ったとしても

          自ら進んでやることは、たくさんある。


          まず、そんなことを大切にしよう。


          振り返ってみると

          食べることも、睡眠をとることも

          満足に出来なかった数年間だった。

          友人よりも仕事絡みの人間関係を優先していた。


          まず、生きて今ここに存在していることを大切にしよう。

          その為に働こう。

          今、自分が生きている延長線上に仕事はあるのだ。

          自分にとって「働く喜びは生きる喜び」なのだ。




          先日、岡本太郎の著書「今日の芸術」を購入した。

          45年以上も前に出版されたベストセラーだそうだ。


          「生きる喜び」

          ページを開くと、いきなり、そんな文字が現れた。

          岡本太郎さん曰わく「芸術は生きる喜び」なのだそうだ。


          「全ての人が瞬間瞬間に生きがい・自信を持たなければならない。

          その喜びが芸術であり、表現されたものが芸術作品である。」

          と言うわけである。


          逆に言うと、生きる喜びを表現した物こそが芸術なのだろう。


          「芸術はうまくあってはならない。

          きれいであってはならない。

          ここちよくあってはならない。」

          とも書かれていた。


          もっと自由でいいんだ。

          自分自身であることが大切なんだ。

          そんな気持ちが込められているように思った。


          形式や他人の評価よりも

          自分自身の内側から湧き出てきた何かを

          表現することこそ大切で、それこそが芸術なのだ。

          湧き上がり、ほとばしり出す何か。

          だからこそ「芸術は爆発」なのだろう。


          ある人にとっては言葉は言葉でしかない。

          ある人にとっては音楽は音楽でしかない。

          ある人にとっては絵画は絵画でしかない。


          しかし、それは表現した人にとっては、その人そのものなのだ。


          祝福を持って自分自身であり続けようと思う。




                                          2001年7月2日