奥歯に詰めていた金属が外れた。

食後に楊枝を使っていた時だ。


この場所は、構造上、食べ物が詰まりやすい為

虫歯になりやすく、詰め物も外れやすい。

だいたい2年ごとに外れる。


食事をしていた店の数軒先の歯医者に

そのまま向かい、急患として看てもらう。


口をおおきく開ける。

まず、新しく詰める型を作る前に

虫歯になった箇所を削る。


この時が一番の恐怖だ。

正直、怖い。


「ドリルに舌が触れたら、どうなりますか」

あまりの恐怖のため、以前、質問をした事がある。


「いやー歯が削れるくらいですからねえ。

当然、血まみれです。ぐしゃぐしゃです」


分かってはいたが・・・・・恐ろしい。


歯を削るたびに、この言葉がよみがえる。


血まみれ。ぐしゃぐしゃ。


意識すればするほど

舌がドリルに近づいてゆくような気がする。

どうしよう。

ぐしゃぐしゃ。


でも、歯の治療中に

舌がドリルに巻き込まれた人の話なんて

聞いたことがない。

気にしないようにしよう。


しかし、気にしないようにすればするほど

舌がドリルに近づいてゆく。

やばい第1号になってしまう。

血まみれ第一号。


ほんの数ミリ動いたら・・・


こちこちに体中に力が入って

治療が終わった頃は

すごい疲労感が残る。

ふぅーっ。


歯医者は恐ろしい。