普段は当たり前に思ってる事柄でも

     改めて提示されるとハッする時がある。


     「We should be defferent.」

     あるホームページで出会った言葉にハッとした。

     貴重な再認識。



     先日プロフェッショナルな写真家の展示会に行った。

     タイトルは「天使の島、キューバ」

     キューバを愛したヘミング・ウェイが、この国を、こう呼んだのだ。


     美しいキューバの風景が美しい色でプリントされて並んでいた。

     自分が実際に見たり、写真を撮ったことのある風景や建物もたくさんあった。


     興味深かったのは、それぞれが、ある種の違和感を持って感じられた点だ。

     自分が見たキューバじゃない。

     自分だったら、もっと寄って、こう撮るのになどと思った。


     一通り見せてもらった後、お茶を飲みながら、その写真家とお話をさせていただいた。

     彼は昨年の8月に2週間ほど、初めてキューバに行って来たそうだ。

     今回はその時のショットの展示。


     いろいろな話をする中で

     「本当はキューバには、すごい人種差別があるんだよね」

     と語った彼の言葉が印象に残った。


     一般にキューバは人種差別のない国として知られている。

     世界一混血が進んでいて、さまざまな肌の色の人が一緒に暮らしているのだ。


     彼が、すごい人種差別があると感じたのは、こんな、やり取りに依るらしい。

     「フェルナンデスと言う名前が多いのですね?」

     彼はキューバで、その名前と出会うことが多くて、なにげなく聞いたのだ。

     「最近はブラックでもフェルナンデスがいてね」

     それを受けた、あるキューバ人がそんな事を言ったのだそうだ。


     もし、自分がその場にいたら、どのように感じるだろう?

     その場の雰囲気、言い方などは分からないが

     きっと、その事に依って、人種差別があるとは思わないだろう。

     同じ出来事に直面しても、個人によって感じ方は違う。

     受け取り方が正反対だったりすることもあるのだ。



     今年一月、ハバナ旧市街をぷらぷら歩いていると、2階のベランダから手招きされた。

     家に入っていくと、ラムや調理の途中のチキンなどをご馳走してくれた。

     とてもフレンドリーにもてなしてくれた。

     そのマノロ一家は、濃いブラックからホワイト寄りの人

     イタリア人っぽい顔つきからアジアっぽい顔つきまで

     いろいろな肌の色をした人々が、ファミリーを形成していた。


     キューバには人種差別が全くないとは思わない。しかし、ほとんどないように思う。


     ひとは自分が感じたいように事柄を感じるのだ。

     ひとは自分が見たいように風景を見るのだ。


     「We should be defferent.」





                                         2001年5月20日