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HPを立ち上げて約8ヶ月。
ネットだからこそ可能な交友関係が、ずいぶんと広がった。
しかし、それに比例し自分の体重も、ずいぶんと増えた。
ほぼ毎日、ビールや泡盛やテキーラを飲みながら
パソコンの前に約2時間。
週に3度、3000メートルずつ泳いでいたのが
全く出来なくなってしまったのだから無理もない。
体調を崩して激減した体重が元に戻ってる間は良かったのだが
そろそろ、やばい。
去年だけで、体重は5キロ増えた。
体力が落ちてきているのも明白だ。
また泳ぐ習慣を再開しようと思う。
一年ぶりにプールへ出掛けた。
泳ぐ場所は新宿区立の室内プール。
ちゅらさんを見た後、すぐに出掛けて、出勤前に軽く泳ぐ。
約1時間、ゆっくりとしたストロークで1000メートルを目安に泳ぐ。
やはり泳ぐのは気持ちいい。
筋肉がほぐれてゆく。
区の施設の為、1時間に10分間の休憩時間が強制的にある。
落ちた体力には、このくらいの休憩はちょうどいい。
「ピーッ」
係員の笛が鳴り、プールから上がり
水の滴るゴーグルを剥ぎ取り、呼吸を整える。
プールサイドの椅子に腰掛け休む。
子供達は、まだまだ泳ぎたそうだ。
いつまでもプールに入っていて係員に注意されている子供もいる。
彼らを見ていると、子供の頃の自分を思い出す。
プールでも海でも水を見ると、走り出してしまう。
水に向かって一直線に、走り出してしまう。
プールサイドを歩くなんて、とうてい出来ない。
自然に身体が動き出し、走ってしまうのだ。
沸き上がってくる力を抑えられない。
あの力はどこからやってきていたのだろう。
一日中、遊びまわっていた。
疲れることも無かった。
それが当たり前だった。
今、思うと信じられない事だ。
小学校のプールが夏休み中は解放され、よく泳ぎに行った。
帰りに学校の前の駄菓子屋でアイスを買う。
棒にホームランと書いてあれば、もう一本。
角張った、溶けやすいアイスを食べながら帰る。
焼けたアスファルトに、風景が白くぼやける道を歩く。
石を蹴りながら。
塀の上を歩きながら。
寄り道をして。
あの頃は道を歩くのさえ、一種の遊びだった。
家に帰ると冷蔵庫にスイカが待っている。
スイカを丸ごと全部食べるのが夢だった。
捕まえてきたカブトムシに、おすそ分けしながらスイカを食べた。
夏の一日は、いつまでも明るい。
新宿区のプールでは、休憩時間の5分が経過すると
ラジオ体操が流れる。
係員をはじめ、全員が立ち上がってラジオ体操を行う。
プール・サイドで、ひとり椅子に座ったまま、それを眺める。
子供の頃から、集団活動が苦手だった。
子供の頃から、みんなと同じことをやるのがイヤだった。
子供の頃から、みんなが同じことをやってると気持ち悪かった。
ひとりプール・サイドで、そんなことを思う。
夏休み中、近くの公園では毎朝、ラジオ体操があった。
気が向いた時だけ行く。
「あたらしい朝が来た、希望の朝だ」
体操が始まる前の歌を、大声で歌うのが好きだった。
首に下げた、カードに判を押してもらう。
いっぱいになると何か、もらえたんだっけ?
公園には、おしろい花が、たくさん咲いていた。
こぼれそうに、ちょこんとのっている花の種を、集めて持ち帰った。
黒くて丸い種は、結局ポケットに入ったままだった。
ラジオ体操からの帰り道、猛烈にお腹がすいてくる。
「今日のみそ汁の具は何だろう」
「朝ご飯を食べたら、何して遊ぼうかなあ・・・」
遊ぶことは、いくらでもあった。
少年の日の夏は、永遠よりも果てしない。
「ピーッ」
休憩時間終了の笛が鳴る。
きれいなミンミンゼミの声も聞こえる。
あの日の自分である少年が、真っ先にプールに飛び込んだ。
2001年 盛夏
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