6月15日。未明。


何かを引き裂くような大きな音で目覚めた。

一瞬、銃声だと思った。

ゴロゴロと粘る音が続いて、すぐに雷だと思い直した。


昨日、日本のサッカーチームがワールドカップの予選リーグを突破した。

サポーターは熱を帯びた群衆となり、街は異様な空気に包まれた。

そんな空気が銃声と勘違いさせたのだろう。


静かな雨が降っていた。

雷は、もう鳴らなかった。

雨は永遠に止まないように感じられた。



また眠りに落ちた。

おばあちゃんの夢を見た。



綺麗な清々しい顔をしていた。

自分で普段着に着替えた。

(あ、おばあちゃん元気になったんだ)

台所で洗い物をした。

家の一番奥の部屋に布団を敷いて横になった。

(枕元に座った)

「もう、いいんだよ。みんな、自分の場所に戻って、いいんだよ」

そう言って、眠りに就いた。



目が覚めて病院に行く支度をした。

電話が鳴った。



「おばあちゃん、亡くなっちゃった・・・」