自分の古いアルバムを引っぱり出し、祖母の写っている写真を探す。
3枚、見つかった。
剥がして、枕元に持ってゆく。
おばあちゃんは布団から上半身を起こして見た。
鼻に老眼鏡をのせた祖母の肩に、カーディガンをかける。
「ああ。懐かしいなあ」
自分が七五三の時の写真。
祖母の家の裏の通りで、みんなで撮った。
おばあちゃん、今の母くらいの年齢だ。
良く似ている。
近所の人達も一緒に写っている。
みんな、狭い路地に、肩を寄せ合うように、生活していた。
銭湯で背中を流し合っていた。
他人の子供も、自分の子供と同じように可愛がり、叱ってくれた、
そんな、明るく人の良い、この人達が大好きだった。
前の家に住んでいたキヨちゃんは、数年前に亡くなっている。
お正月に、おばあちゃんの家で、みんなで撮った写真。
毎年、一月二日に、おばあちゃんの家に行っていた。
お年玉が楽しみだった。
おばあちゃんが用意してくれた、御馳走を食べた。
妹とお餅の数を競って食べた。
「じゃあ、一杯だけ」
父が進める、おとそをおいしそうに
飲んでいたおばあちゃん。
飲むと、いつもより陽気になった。
この写真でも口もとに、手を当てて笑っている。
運動会の写真。
おばあちゃんと二人で肩を組んで写っている。
二人だけで写ってる写真は珍しい。
太陽が眩しくて、二人とも目を細めている。
「2の4 かねこ てつろう」
胸には布に書いた名札が、縫いつけられている。
「あの頃が良かったねえ」
おばあちゃんの昔話を聞いた。