目を閉じる。
目を開ける。
俺の人生がどこかに行ってしまった。
それは明らかに
俺の人生ではなかった。
見たことのない風景。
ぐにゃぐにゃの木。
いい匂いがしている。
白いチョウチョが飛んでいる。
体は軽い。
憂いも苦しみも消えてしまった。
俺の人生がどこかに行ってしまった。
もう一度目を閉じる。
もう一度目を開ける。
この慣れ親しんだ
俺の人生が戻ってきた。
あの人生はいったい何だったんだろう。
今にして思うとあれもまた
俺の人生だったのかもしれない。