kizawa ko-ki 「COSMIC BIRTH -type takumi- 1998」「COSMIC BIRTH -type tetsuro- 1998」
数年前、妹に子供が誕生した。
何か贈り物をしたい。
記念になって後々まで残る物。
木澤くんに、椅子の制作をお願いした。
彼は流木とコンクリートを使った立体作家で、主に椅子を作っている。
彼の椅子はハンズ大賞で浅井順平賞も受賞している。
千倉にある海岸美術館(浅井氏の作品を展示)には、彼の椅子が12脚、展示されている。
自然の造形を生かした、彼の椅子は、どれも世界に一脚しかない。
それぞれの椅子が、独特の個性を持っていて、生きているように見える。
共通しているのは、愛嬌があって、カッコ良くて、どしっと頑丈。
子供用ということで、低めに高さだけ指定して、基本的にお任せでオーダーした。
キチンと細かい部分まで指定した方が良い物を創る作家もいる。
好きに自由に作ってもらった方が良い物を創る作家もいる。
木澤くんは後者だと思うが、それ以前に彼の仕事を信頼している。
「二脚出来たんだけど、どっちにするか見に来てもらえます?」
どちらも良かった。
ひとつは、穏やかな軽さを帯びた、おおらかなフォルム。
ひとつは、空を飛ぶ羽のような自由なイメージ。
キャラクターは全然違うが、どちらも凄く良い。
選べない。
「これ同じ木から出来たんですよ」
ひとつの流木の固まりを、ふたつに切断して
それぞれを、椅子の背もたれにしたのだそうだ。
「へー同じ木でも、こんなにも違うんだ。
でも、それだったら、離ればなれにしたくないなあ」
ひとつに選べないせいもあるが、結局、二脚とも譲ってもらうことにした。
木澤くんの提案で、座る部分の裏側に、記念のプレートを埋め込むことにした。
「拓海 TAKUMI 1998・3・2」
それから、妹に協力してもらい、石膏で型を作った、拓海の握り拳もプレートに付けた。
多少迷ったが、おおらかな方が良いだろうと思い
丸いフォルムを持った椅子にプレートを埋め込んでプレゼントした。
木澤くんのお陰で、世界にふたつと無い、なかなかの贈り物だ出来たと思っている。
ありがとう!
また「仕事BAR」でご馳走してね。