ベトナム出発前夜。

パッキングをしながら、ある番組に見入ってしまった。

きんさん・ぎんさんのスペシャル番組だ。


人々の心に残る、100歳を越える双子の姉妹。

ふたりの元気でユーモラスな笑顔には

多くの人々が元気付けられた。

「金もうけのためにやるのはやじゃ。福祉に生かすのなら」

得た収入の多くは福祉基金に寄付された。

ふたりは、人との出会いや繋がりも大切にしてきた。


きんさんを追うように108歳で亡くなった、ぎんさんが

今年の夏、初盆を向かえた。

多くの人々が、きんさん・ぎんさんの自宅やお墓を訪れた。


その中に、元暴走族の青年がいた。

ある日、暴走族が集まっている場所に

歩行練習中のきんさんが、ひとり通りかかった。

特別、怖がるでもなく、よたよたと近寄って行った、きんさん。

「命に気いつけて運転しいや」

一言告げて立ち去ったそうだ。

それ以来、その場にいた青年は、暴走族をやめて

堅気の仕事に就いたそうだ。

きんさんが亡くなってからも、訪ねてきて、位牌に手を合わせる。


他にも、傷害を持った画家、双子の姉を亡くした女性など

たくさんの方々とのエピソードが紹介された。

多くの人々が、きんさん・ぎんさんとの出会いを大切にしている。

ひとつの出会いを宝物のように大切にしている。



宝物のような出会い。

いったい、そんな出会いが一生の間、どれだけあるのだろう。