ある本で読んだ話。


30センチ四方の小さな箱。

砂を入れ、一粒のライ麦を育てる。

3ヶ月後。

一本のライ麦が育つ。

ひょろひょろのライ麦が育つ。

ライ麦の細かい毛根まで、根を全て測定して長さを足す。

その長さは11200キロメートル。

なんと11200キロメートル。

東京・大阪間を10往復以上。


ひょろひょろの一本のライ麦。

その見えない地中。

ひとつの命を支える為に張りめぐらされた根。

ひとつの命を支える為の営み。



今日の自分を振り返ってみる。



太陽を浴び。


空気を吸い。


風が雲が成層圏が保つ大気の中で。


ビールを飲み。


水を飲み。


米を喰い。


鶏肉を喰い。


モヤシを喰い。


パクチーを喰い。


挨拶を交わし。


自転車を借り。


道を聞き。


呼び止められ。


過去の時間や。


未来の時間を。


希望や。


勇気や。


判断や。


宗教や。


経済や。


想いや。



果てしなく張りめぐらせた。


果てしなく支えられた。


そうやって今日を生きたのだ


そうやって明日も生きるのだ。