ドアの外で鈴の音が聞こえたような気がする。

すこし、ドアを開けてみる。

全身黒い服を着た、若い女の人が無表情のまま立っている。

手に持った鈴をかすかに鳴らしている。

全く見覚えのない人だ。

「どなたですか」

何も答えず、すうっーと部屋の中に入ってこようとする。

「あなたの来るところじゃありません」

彼女の行く手をさえぎる。

ちいさく笑い帰っていく。