あわてて車に乗り込む。目的地に急いで向かう。
前座席には若いインディアンの夫婦。
後部座席はぎゅうぎゅう詰め。
しばらくしてインディアン夫婦の息子が乗っていないことに気づく。
「俺が必ず連れてゆくので、先に行ってて下さい」

車を降り、来た道を戻る。
ほこりっぽい道をしばらく行くと、少年が歩いてくるのが見えてくる。
すこし不安そうだが、まっすぐ前を見て、しっかり歩いてくる。

「大丈夫か?」
「・・・・・・・」
一緒に歩く。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
目的地に向かって歩く。
「背おおきいな」
「クラスでいちばんおおきいんだ」

ある村にさしかかる。
この村を通らないと目的地には行けない。
暗い雰囲気の村で人々はじっとこちらの様子をうかがっている。
「きみの種族とこの村とは、むかし争ったことがあるんだ。
でも気にしないで。視線はあわせないように」

こちらをじっと見ていたある男が、いきなり納屋に向かって走り始めた。