季節は晩夏。

薄暗い自分の寝室にいる。

額に入ったある写真家の作品を、一枚一枚見ていく。

彼のさわやかな普段の作風と全然違い、古い能面や鎧や着物が、おどろおどろしく撮られている。

それらの写真には、なにか、とてつもなく恐ろしく強い怨念のようなものが込められている。
見ているだけで、気持ちが悪く、不安な気持ちになる。

怨念の込められた写真を自分が寝る布団のまわりにぐるっと立てかけていく。

気分が悪く、恐ろしい。

ふと窓があるのに気づき、開けてみる。

そこには、ひろびろとした山間の風景がひろがっている。

夏なのに空から谷へと雪がひらりひらりと落ちている。

すっと気分がよくなる。