このささやかなガイドが『超人ロック』購入の際の手引きになることを願っている。本稿の作成に当たっては例によって超人ロックMLとWWWの各ページの情報を活用した。なお、文中の略号は「単行本の変遷」に使われているものと同じである。
最大の問題は、旧作にはほぼ二つの版が存在することである。すなわちオリジナルであるHC版と、それに加筆を加えた版である。後者はさらにSC版とBB版が存在する(この二つは基本的に同じだが、一部違っているという話もある)。加筆版はオリジナル版に比べて(加筆している分)話がわかりやすいこともある。その一方で、(ラスト付近の加筆が多いため)そのエピソードに対するイメージがオリジナル版を読んだときと、がらりと違ってしまうこともある。例えば「シャトレーズ」、「プリンス・オブ・ファントム」など。また執筆年代の古いエピソードに対してなされた加筆は、絵柄が当時のものとずれていて、ひょっとしたら不自然に感じるかもしれない。どちらを選ぶかは『超人ロック』を揃える上での最大の決断だが、よりよい選択というものは存在しない。予算が許せばどちらも揃えたいものである(無理にとは言わないが)。
ただしHCは後ろの巻になればなるほど、版を重ねないうちに絶版となってしまい、それらには滅多にお目にかかれない(個人的な感覚では第24巻以後から希少になり、30巻台となると運頼り)。どうしても手に入れようとするとセットで入手するハメになるかも知れない。しかもHCでのみ読める作品――現在では「バーミリオン・デザート」のみだが――は、後ろの方(第27巻)に収録されている。
困ったことに、三者どれを選んでも、一者だけでは旧作全てを揃えることはできないという別の問題がある。どうしても別のシリーズの一部分だけを併せて買わなくてはならない。また一部の作品はSGのみに収録されている。詳細は[表1]を参照。
最後にそれぞれの長所・短所について[表2]にまとめておく。
エピソード | HC | SC | BB | SG | MC |
---|---|---|---|---|---|
「REPLAY」 | ○ | ○ | |||
「バーミリオン・デザート」 | ○ | ||||
「妖精の森」 | ○ | ○ | |||
「愛しのグィネヴィア」 | ○ | ○ | |||
「DREAM MASTER」 「歌姫」 |
○ | ||||
残り | オリジナル | 加筆 | 加筆 |
長所(特徴) | 短所 | |
---|---|---|
HC | オリジナル版。 カバー表紙と本体の表紙のイラストが別。 若かりし日の作者の後尊影を拝める。 (ほぼ)執筆順。 |
絶版。 セコハンが嫌な人には選択肢にならない。 |
SC | 愛蔵版サイズ。 SGのダイジェスト・ストーリーが収められている。 作品内時間順。 |
表紙が手抜き。 年表が古い。 そろそろ手に入りにくくなりつつある(?)。 |
BB | 旧作以外の作品や『超人ロック』以外の作品も収められている。 SGのダイジェスト・ストーリーが収められている。 解説・後書がある。 作品内時間順。 |
サイズが小さい。 他のシリーズと(中途半端に)ダブるエピソードが多い。 サイズの都合上、エピソードが無理矢理2冊に分けられていることがある。 |
それぞれの長所・短所は[表4]の通り。
エピソード | BC | SD | MC | BB |
---|---|---|---|---|
「聖者の涙」 | ○ | ○ | ||
「ブレイン・シュリンカー」 「不死者たち」 | ○ | ○ | ||
残り | ○ |
長所(特徴) | 短所 | |
---|---|---|
BC, SD | サイズが大きい。 カラー口絵がある。 |
入手しにくい(絶版)。 |
BB | [表1]と同じ。 |
初代作品ではほぼ迷うことなくSGを集めればよい。ただし「コズミック・ゲーム」だけはBBに収められている。というのはこのエピソードこそ、現在の『超人ロック』の世界観に直接つながる初めての作品だからかもしれない。従って選択肢は[表5]のようになる。なおSCやBBには一部の初代作品のダイジェストが収められている。これについても他サイトを参照のこと。
エピソード | SG | BB | 「コズミック・ゲーム」 | ○ | ○ | 残り | ○ |
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