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ロンジット鉱&HD

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1995年12月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.128-129 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……

 この、宇宙開拓史の味付けとして『ロンジット鉱』なる物がある。作品中にも度々登場する、この鉱石は、大変高価な代物で、握りこぶしぐらいの大きさがあれば、一生贅沢に暮らしていけるほどの価値がある…と云うことになっている。

 しかしこの『ロンジット鉱』は貴金属ではない。恒星間を航行するために必要な『H・Dユニット』のジェネレーター(主反応炉)及び、反物質燃料庫をコーティングするのに用いられる。

 反物質と云う物は、完全な真空中で扱わなければならない。少しでも物質と触れると反応(簡単に言えば、大爆発する)を起こしてしまうからなのだが……安定した無重力状態の場所ならいざ知らず。(ママ)重力や、慣性の働く宇宙船内では、その取り扱いが、非常に難しくなる。そこで必要になるのが、重力などの干渉を受けさせないように、反物質をユニット内で安定させるフィールド発生装置の類だ。このフィールドを反物質発生装置、燃料庫、ジェネレーターなど、およそ反物質が触れる可能性があるところに隈なく、均一に張りめぐらせる必要がある。それを可能にしたのが『ロンジット鉱』による、機関内のコーティングなのだ。

 『ロンジット鉱』には、この種のフィールドをどこか一点に働かせるだけで、コーティングされた箇所全面に伝達する特性があるのだ。結果として反物質を安定した状態で、取り扱う事が可能になったのだ。

 そしてこの反物質反応の生み出す巨大なエネルギーによって可能になった技術が『H・D』(ハイパードライブ)超空間航法なのだ。『H・D』は超空間への突入に加速を必要とせず、瞬時に大質量の宇宙船を超空間へと放り込む。

 理屈としては、超空間と云う『近道』を抜けて数十光年を跳躍する航法で、跳躍中の船内は、外界と同じ時間が経過する。(「宇宙戦艦ヤマト」や、「スター・トレック」のワープ航法と同じようなモノかな?)むろん一回での跳躍距離は、年々伸びていることは言うまでもない。

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ESP

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年1月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.128-129 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……

 さて、今回はESPについて。超能力と一言で言ってしまえばそれまでだが、厳密に言うと、二種類に大別されていて。(ママ)ESP(超知覚感知能力)とPK(念動力)がある。

 ESPはテレパシーや透視(クレヤポンス。ピープ)催眠暗示、幻覚、マインド・コントロールなどの知覚能力系で、少し変わったところでは、エレクトリック・スキャン(電子使い)や超記憶能力などがある。

 PKは、いわゆる「念力」とか「念動力」(サイコキネシス)などと云われている物で、思ったとおりに物を動かしたり、エネルギーを操ったりする力のこと。

 超心理学(そういうジャンルの学問は未だ確立されていないが)や、ハードSFでは、別の能力として扱われるそーなのだが、「超人ロック」の世界では、両方ひっくるめてESP(イー・エス・ピー)つーことで統一している。

 なぜかと云うと…例えばテレポーテーション(瞬間移動)の場合、跳躍する先の空間と、自分のいる空間を入れ替える訳なのだが、その跳躍する先がどうなっているか分からないで飛ぶと、壁にめり込んでしまったり、溶鉱炉の中や、反応炉の中に出てしまうことだってありうる。

 だから、瞬間的に透視能力を働かせてからテレポートしなくてはいけない訳なのだ。つまり、明確な分類はできない…というより、超人ロックに登場するような大技を使うエスパーは皆ESPとPKどちらの資質をも持ち合わせているので統一してしまったのだ。

 それに言葉の響きとしても「イーエスピー」「エスパー」といったほうがスマートな感じがするし最近ではPKというと「ペナルティー・キック」の事だと思われてしまう危険性もある。そんなわけで「超人ロック」ではPKを含んだ形でESPが「超能力」を示す言葉となっている。

 この「超人ロック」の設定では、一部の例外をのぞいて人類全てがESP因子を持っていて、それが表面的に能力として現れ、コントロールできるのがエスパーと呼ばれている。そしてエスパーが普通の人の思考をテレパシーで読みとれるのは、このESP因子が全ての人々に有るからなのだ。

 しかし、中にはESPを無効にしてしまう『抗ESP』という特殊なタイプのエスパーもいる。

 このテのエスパーの場合、能力的には大したことが無かったり、あるいは、本人にエスパーとしての自覚が無かったりすることが多い。抗ESP能力は、エスパーに対しては絶対的な力を発揮する。

 エスパーごと中和・分解する「魔女の世紀」のジェシカ、「闇の王」のフレックなどが代表的な例。少し変わったところでは、ESPを吸収し続ける「超人の死」のナミーがいる。「ミラー・リング」のバーコフ君も自覚は無いが抗ESPなのだ。

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サイコスピア

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年2月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.128-129 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

 「超人ロック」独自のESPといえばこれ…

 「サイコ・スピア」両手を掲げて、槍状(剣に見える事もある)にエネルギーを集めた物を作り出し、敵にぶつける能力だ。「光の剣」とも言われるが、この呼び方は「惑星ラフノール」での呼び方で、超人ロックの世界では「サイコ・スピア」と言うのが正式な呼び方なのである。

 先月号の「ずーぱーまん倶楽部」[*] の質問にもあったが、エネルギーの収束体(サイコキネシスを使って、物凄い密度でエネルギーを集めた物)なので、必要に応じてプラズマ状にもする事ができる。ただ、プラズマ化しているという事は、エネルギーが不安定で反応を起こしている状態なので、精神状態が高ぶっていたりしてエネルギー収束に集中出来ていない時に起こりやすいと言える。高度に収束し密度を上げたサイコ・スピアは安定した光を放っているのだ。この「サイコ・スピア」は高密度のエネルギー収束体だという所がミソ。目標物を破壊するのにESPをそのままぶつけるのでは非常に効率が悪い。ESPというのは精神エネルギーなのだから、いくら強力なエスパーでも無尽蔵に使える訳では無いのだ。サイコキネシスで何処かからか他のエネルギーを引っ張ってきて、放出する方が負担は少なくて済む。そしてさらに凝縮してピンポイントにぶつけるのが効果的な方法なのである。

 変な表現だが、ちょっとイメージしてみてほしい…体重50キロの人に足を踏まれたとしよう。裸足で踏まれるのと、ピンヒールを履いた足で踏まれるのでは、ピンヒールで踏まれる方がはるかにダメージが大きいっしょ。つまり、同じ量のエネルギーを使いに(ママ)しても、凝縮した方が効率が良くなる(破壊力が増す。この場合は貫通力か)相手に対して投げ付ける時も、腕力だけではなく、超能力で加速を付けているし、目標に当たった瞬間(あるいは刺さった瞬間)に、収束を解く事によってエネルギーを拡散させ、強力な爆発力を引き出す事も出来るのだ。次に形。

 なぜ「スピア」(槍)の様になるのか? これはエネルギーを収束する時のイメージによって形が決定される。

 形をイメージした方が集中しやすいからだ。別に「槍」に限らず「球」でも何でも良いのだが、戦いの最中に変な物や、凝った物をイメージしても仕方がない。ウケを狙っている余裕が有るとは思えない。やはり単純に「敵を貫く物」という事で「槍」系のイメージになるのであろう。エネルギーを集めるのも惑星上等のエネルギーが豊富に有る所ならば比較的容易にエネルギーを引っ張って来ることが出来るのだが、宇宙空間等では、かなりの広範囲(あるいは遠くの方)からエネルギーを持って来なければならないので能力的に高度なものが要求される。

※宇宙空間では、近くに恒星でもない限り比較的集め易い「熱エネルギー」が少ないので、代替えエネルギーを集めるのが難しい。他の代替えエネルギーとしては電気、フォトン(光子)等が使われる事が多いようだ。ちなみに、この能力を初めて使ったのは「炎の虎」で登場した女海賊「アマゾナ」さんであります。ロックが「サイコ・スピア」を使い出すのは『魔女の世紀』からです。

*『Megu』誌の超人ロック読者投稿コーナー――上村注

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マトリクス

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年3月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.128-129 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

 超人ロックの世界において「変身能力」と呼ばれているものはESPで自分以外の人物のDNA(ディオキシリボ核酸。遺伝子のこと。細胞の中に含まれる、その人物の設計図)のパターンを読みとり、そのDNAを元に自分の細胞を組み替える能力のことである。

 しかも対象となる人物のコピーする時点までの記憶や、後天的(生まれて、育つ過程で覚えた)能力、特技までも、写し取ることが出来る。

 この能力を使うことで、生物的に全く同じ人物へと変換(変身)できる訳なのだ。何しろ、全くの同一人物なのだから、生化学封鎖(声紋、指紋網膜パターン、DNA指紋法などの個体識別検査にパスしないと施設には入れない検査システム)などは、全く問題にならない。

 思考パターンなどは、コピーした人物の正確や思考で多少は変化してしまうが、日常会話程度なら問題なくこなせてしまう筈である。

 ただし、これがエスパーのマトリックスをコピーするとなると多少状況が変わってくる。精神力(意志の力)や経験などが重要なファクターとなってくるエスパーとしての強さ、ESPのキャパシティー(容量)などはコピーしきれないからだ。

 例えば『A』と言うエスパーがロックのマトリックスをコピーしたとしよう。『A』はロックの姿とESPのバリエーションが使えるようにはなるが、テレポートの跳躍距離や、サイコ・スピアの破壊力、作り出せる回数などは、もともとの『A』というエスパーの能力(容量)によって制限されてしまう。したがって、超人ロックのマトリックスをコピーしても、ロックの姿と、能力の種類は同じになるが、同等の強さを身につけられる訳ではないのだ。

 これを勘違いしたのが『ライザ』に登場する『レオパード』くん。

 彼は超人ロック史上初のマトリックス変換能力を持つ強力なエスパーだが…ニアに化けてロックの不意をつき、マトリックスをまんまとコピーして、麻薬シンジケートの用心棒になるまでは良かったが、結局はアジトに乗り込んできた本家ロック(これまたライザに変身している)との正面対決では、あっさりとやられてしまう。これが強さまではコピーできない良い例といえるだろう。『ライザ』以前では、死ぬときに相手の顔をコピーする(部分的マトリックス変換)『光の剣』のロニ一族がいるが、能力としてはまだまだ未熟で、完全コピーが出来ないため、長時間の変身に耐えられないのだ。

 生体移植などについて回る問題点「拒絶反応」がその理由。だからコピー出来るのは死ぬ間際に限られてしまうのである。

 もう一つ、比較的簡単な「変身能力」も有るので紹介しておこう。

 立体映像を身体の表面に展開するという、ちょっとインチキ臭い方法だが…人の目をごまかすには十分効果が有る。『インフィニット計画』のイリーナは代謝機能のコントロールで子供になることが出来るが、その子供の姿の時に使っていた姿はこの方法で「変身」しているのだ。

 さて、マトリックス変換に話を戻そう。一度コピーしたマトリックスは、コピーした本人のDNAに保管することが出来る。ロックのクローン(書を守る者によって作られた二百人のクローンは調整を受けているので例外とする)テオ、ソイ、ロザンナ、アデルなどは、ロックに関係の深い人物のマトリックスを使った姿をしている。テオはラン(ミラーリング他)ソイはラグ(星と少年、他)ロザンナはクミ・ニールセン(愚か者の船、他)アデルはフランシス(スターゲイザー他)

※ただし、ロックがクローン・サンプルを取られた時期から逆算するとソイとロザンナはレマからマトリックスを貰ったようだ。

 また、男性人格と女性人格に分かれているのはラグとレマが識別しやすい(育てやすい)ように決めたものと思われる。

 この「変身能力」が使えるようになってから、「どれが本物のロックなんだ?」というややこしいエピソードが展開される事になってしまったのは言う迄も無い……

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対ESP兵器その1

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年4月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

対ESP兵器というのは、エスパーに対して有効なダメージを与える、あるいは超能力を使えなくさせる機会等のことを指す。

 基本的にこれらは『ESPセンサー』(超能力を使う時にエスパーから出されるESP波の波長を検出する装置)と連動しており、普通の人間には殆ど効果はない。

 初めて実用化されたのは『ESPバリアー』と呼ばれる物で、色々な方式の物がある。「炎の虎」あたりでは、設定がはっきりしていなかった為に「ESPで作り出すバリアー」と「対ESPのためのバリアー」が用語としてゴチャマゼに使われていたが、この場合、機械的に作り出された対ESP用の物を「ESPバリアー」と言うのが正しい。

 「ESPバリアー」の種類としては、放出されたESPエネルギーを様々なエネルギー・パターンを用いて相殺するタイプと、ESPを使おうとするエスパーに対して物理的干渉を与え、超能力を使えなくするタイプ(ロード・レオンが最初にハマったヤツ。重力場と高圧電流を使った物)とがある。

 しかし、これら「ESPバリアー」は、欠点がわりと多い。

 有効レンジが比較的狭い範囲に限定される上、有効なエネルギーを捻出する為に、かなり巨大な反応炉が必要になるなど、効果のわりには設備が、かなり大がかりな物になってしまう為に、余り普及しなかった。

 次に登場したのが『ESPジャマー』。プロトタイプ(試作品)は「ミラー・リング」の頃から存在するが、広く普及したのは「星と少年」」(ママ)辺りから。(と言っても、軍や、犯罪者など、その筋にだが…)

 そして、数々のバージョン・アップとモデル・チェンジを繰り返しながら延々と使用され「対ESP兵器」のスタンダードとなる。

 これは「脳」の中に存在する「ESP因子」に対して直接強力な刺激を疑似ESP波等を使って送り込むという代物である。

 理屈としては…そう、電子レンジを思い浮かべてみてほしい。耐熱ガラスや、陶器などは問題なく使える。

 これが普通の人の脳だとすると、ESP因子を多く(強く?)持つエスパーの脳は、金箔など(これがESP因子だと思ってほしい)を飾りに使った食器の様な物。このテの食器を電子レンジに入れて作動させると、パチパチと火花が飛び散るのを見たことがあると思うのだが。(※注、実験しないように!レンジが壊れることがあります!)この様な反応が、「ESPジャマー」を受けたエスパーの脳の中で起こり激痛を生み出しているのだ。

 「ESPバリアー」に比べて効率が良く、容易にパワー・アップやニュー・バージョンが開発しやすい「ESPジャマー」だが、ウィーク・ポイントが無い訳ではない。

 それが「モジュレーション・ジャマー」「ランダム・モジュレーション・ジャマー」の開発につながる訳だが、続きは次号で。

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対ESP兵器その2

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年5月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……

前回は「ESPバリアー」と「ESPバリアー」について色々書いたが、今回は「ESPバリアー」の強力発展版である「モジュレーション・ジャマー」「ランダム・モジュレーション・ジャマー」あたりから説明していこう。

 まず、「モジュレーション・ジャマー」だが、辞書を引くと―― モジュレーション[modulation](1)調整、加減。(2)音、声、リズムの変化、転調。(3)通信電波の変調。とある。つまり、ESP因子に働きかける範囲が変化し、JAM(妨害し、苦痛を与える効果)をかけるというものである。

 従来のジャマーの欠点は、一定範囲のESP因子特性に作用する物なので、そこから外れたレンジ(範囲)からのESPを使えるエスパーには壊す等して、回避されてしまう。

 ロックがジャマーを破壊出来るのはこのような事が出来るからなのだ。つまり、従来のジャマーが聞かないエスパーが出てきたので、より広い範囲でESP因子に対応し、しかもその波長が変化して集中できなくさせる工夫をしたのである。

 例えば、眠るときに、隣の人が*いびき*をかき出したとしよう。最初はうるさくて眠れないが「グー、グー、グー…」と、いうように同じ音、同じリズムで続いていると時間が経つにつれて慣れてしまい、いつの間にか眠りについてしまう事がある。

 これが、従来のジャマーだとするとモジュレーション・ジャマーでは、「グー、グー…ウゴ〜ゴゴゴ…ヒュ〜ゥゥゥ…オゴッピュルルル…」と、*いびき*の音色、リズムが広範囲に変化してなかなか寝つかれない。更に「ランダム・モジュレーション・ジャマー」になると、これに歯ぎしり、寝言が加わったぐらいにスゴイものだと思ってほしい。

 作品中で描かれる場合、ESPジャマーは同心円(中心点一つで描かれる円)で表され、モジュレーション・ジャマーは同心円が2つ(8の字状に描く場合もある)ランダム・モジュレーション・ジャマーは同心円3つで表される。

 先月号[*]でも書いたが、一般の人にはほとんど何も感じない特性なので、 当然この様に見えるわけではなく、あくまでも漫画としての表現法として同心円を用いているだけなのであしからず。

 ジャマー本体もツィーター(スピーカーで、音を発生させる部分の種類の一つ。3ウェイ・スピーカーというような3種類のスピーカー・ユニットが入ったタイプでは、一番高音を受け持つユニット。大体は金属で出来た物が多い)のような発生ユニットが1個、2個、3個と増えているが、年代が進むとまた一つに戻り、同心円も一つに戻った。この様になってくる頃には、色々な方式をひっくるめて「ESPジャマー」と呼ばれるようになるのだが、これは技術が進歩したために、より強力かつ複雑な方式がパッケージ出来るようになったからである。

 言ってみれば、複雑な音色やリズムもうるさいが、なにより、いびきのボリュームが大きい方が、より有効だからで、前回例えに使った「電子レンジ」に置き換えると…「電気代が節約され、羽とテーブルが回転してムラ無く熱が通り、オーブン機能も兼ね備えていて、ご飯も炊ける」と言ったところか…。

 念のために言っておくが、同心円が1つになったのは、決して「聖プロ」のアシスタントが同心円を描くのが嫌になったからではない。

 この「ジャマー系」対ESP兵器は、宇宙歴0300年代後半に登場して以来、ロックをはじめエスパー達にとって脅威になり続けている。

 次に紹介する「針」(プルーブ)は兵器というより「エスパー拘束装置」と言った方が適切かもしれない。なぜなら、この「針」エスパーに対して攻撃をする物ではなく、捕らえたエスパーの脳に埋め込み超能力を封じるための物だからだ。

 作りはいたって簡単で、ESPセンサー、高性能バッテリー、放電端子が針型のケースに納まっている。もっとも「針」と言っても現在ある「縫い針」の20分の1くらいの細さに仕上がっている。これを、手術、もしくは注射で頭の中に打ち込むのである。脳の中に入った針は埋め込まれたエスパーが超能力を使おうとしてESP波を発生させると、すかさず放電を開始し、脳内に激痛を起こさせる。この放電が長時間続くと脳細胞と神経が焼けただれ、頭の中がズタズタになってしまう。

 「針」は、ESPジャマーと同じ頃に開発され、多少の改良を経てかなり普及したようだが(帝国軍も使っていた)所詮は捕らえた意識不明のエスパーにしか使えなかったために、前線では、あまり使い物にはならず(特殊装備には入っていたようだが)主に刑務所などにエスパーを投獄する際に使われていたようだ。

 しかし、一旦この「針」を埋め込まれると、ロックでさえ超能力が殆ど使えなくなってしまうという代物なのである。

 (もっともロックは自力で「針」を取り出すコツを覚えたようで『プリムラ』では、帝国軍に打ち込まれた「針」をいともたやすく取り出している。やはり単純な物であっても、「釣り針」のように「かえし」をつけるとか、ストッパーが出て抜けなくなるとかの工夫が必要だったのではないだろうか)

 サイコ・スタッフ(Staff->杖のこと。ピック<つるはし>と言う事もある)は、帝国軍によって開発された「対ESP兵器」である。

 今までの対ESP兵器が基本的に何かしらの動力源が必要だったのに対し、このサイコ・スタッフは相手のESP波そのものを攻撃エネルギーとして逆利用する物である。

 (ただし、ESPセンサー用と吸収装置を準備・アイドリング状態にするためにバッテリーが必要なので、完全に無動力と言う訳ではない。)

 通常3本以上で、相手を囲むように配置して使用する。サイコ・スタッフに囲まれたエリアの中では、攻撃はもちろん防御、治療に使おうとしたESP波でさえ全てエネルギー転換され、エスパーに跳ね返ってくるのである。ESP波が物理現象を起こす前に吸収してしまうため、テレポートなどで逃げる事も出来ないのである。

 元は、エスパー部隊に対して開発された物で、複数のエスパーに対して有効であり、一度インプットされたESP波のエスパーに攻撃を跳ね返すため、能力が有れば有るほど、強ければ強いほど大きなダメージを受ける事になってしまう。

 このサイコ・スタッフから逃れるには、ESPを使わずに逃げるか、一個一個破壊するしかないのだが、こういう物を使われる状況では、必ず武装した敵が居る訳で、ほとんど不可能に近いだろう。もっともロックほど強力なエスパーならば、サイコ・スタッフがエネルギー転換しきれない程のパワー(過負荷)で破壊することも出来るが、並のエスパーならばお手上げ状態になってしまう。

 しかし、一見完璧な「対ESP兵器」のようなサイコ・スタッフだが、やはり欠点はある。まず、複数の装置を相手の回りに展開する手間がかかる。有効範囲が限られる。強力なエスパーになればなるほど過負荷を避けるため、多くの装置を必要とする他、通常の攻撃に脆いなど、即時対応性に欠けることである。

*対ESP兵器その1を参照――上村注
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対ESP兵器その3

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年6月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……

 今回最初に解説するのは、「サイコ・パペット」だ。これは前回紹介した「サイコ・スタッフ」から発展したもので、対象とするエスパーのESP波を吸収し、攻撃のためのエネルギーに転換する兵器である。

 原理的には「サイコ・スタッフ」とほとんど同じだが、「パペット」の特徴は対象とするエスパーのESP攻撃をコピーし、増幅して「投げ返す」ところにある。

 例えば「サイコ・スピア」で攻撃を受けると、「サイコ・スピア」で反撃するといった具合に「お返し」をするのである。この「お返し」をするというところが「帝国」時代のテクノロジーの発想の変わったところというか、強引なところというか…。

 一度吸収したESP波を再構築して投げ返すから、メカの受ける負荷は相当なものになる。『魔術師の鏡』で登場した時点では、相当大きなシロモノで「対ESP巨大ロボット」といった方がハマッていた。対ロック戦でいちおうの成果を収めるも、案の定負荷がたたって壊れてしまっていた。(帝国のテクノロジーは強引にこのテの物を作ってしまうので、何となく旧ソ連の兵器開発に似ている気がする)

 その後改良が加えられ、どんどん小型化していき『シャトレーズ』では人と同じくらいに。『聖者の涙』では30センチくらいと、かなり長い時間をかけて、名が示すとおりに「パペット」=(人形)サイズになった。「帝国」の衰退により技術的進歩が停滞し、新連邦時代になって小型化、高効率化が図られたようである。

 だが効率が悪いとはいえ、稼働している台数分エスパーがいるのと同じ計算になるため、対エスパー戦闘においては絶大なる効果を発揮する。

 また、「サイコ・スタッフ」の欠点である通常攻撃にも比較的強く、自力で動き回れるため、有効範囲を移動させたり、敵からの個別攻撃を回避する能力も備えている。

 かくして、「帝国」時代のテクノロジーで作られた「対ESP兵器」の中では、かなり息の長いモノになった。(ただし、普及率などにおいてはESPジャマー程ではなかったようだが…)

 続いては「帝国」のテクノロジーが生み出した、究極的対ESP兵器「E・バスター」について。

 帝国時代末期に開発された「E・バスター」は『黄金の牙』に初登場する。その姿は超大型ビーム砲に恒星間エンジンがついただけのような筒型をしている。

 一見対艦隊兵器に見えるが、その内部に増殖、巨大化させられた「発狂したエスパーの脳」が納められているサイボーグ艦なのである。

 この「E・バスター」は、大口径、高出力のビーム砲をブッ放しながら接近してくる。ビームの射程距離は通常の数倍もあり、まごまごしていると、まずこのビーム砲の餌食になってしまう。

 さらに、ESPによる刺激(攻撃はもちろん、透視能力による接触はおろか、エスパーが近くにいるだけでも刺激となる)を受けると、過剰なまでの自己防衛本能を発揮。有効範囲内にいる全てのエスパーを狂気に巻き込み、強烈なESP波の流れによって標的となるエスパーの脳を破壊してしまう。

 対ESP兵器として、ほとんど完璧といえる「E・バスター」だが、生産コスト、技術的問題もさることながら、中枢部分といえる「エスパーの脳」(作品中に登場する「E・バスター」はすべて、エスパーであるウーノット大佐の脳をクローニングし、増殖させたものである)の入手、あるいは、適性などの諸問題から数隻が建造されるにとどまった。

 これが量産されていたら、さしもの超人ロックでも手の打ちようがない。『書を守る者』で「E・バスター」にあい対したときにも、たまたまオーリック家のデーターからウーノット大佐の存在を知り、それを糸口に狂気から解放することで助かったに過ぎない。これがどこの誰とも知れない「エスパーの脳」だったら、一巻の終わりだったに違いない。「E・バスター」は現時点で、不敗の「対ESP兵器」なのである。

 不敗といえばもう一つ『聖者の涙』でアフラが使用した「スーツ」なるものがある。

 これは「対ESP兵器」というより、「対ESP防御装置」といった方が正解かもしれない。

 なぜなら「スーツ」自体の武器は、高圧電流を流す鞭のような触手(マニピュレーター)がついているにすぎず、決定的な殺傷能力はないに等しい。「スーツ」の最大の特徴は、相手のESP攻撃をそのまま反射できることにある。

 「サイコ・スタッフ」や「サイコ・パペット」では、一旦吸収したESP波を転換してから放出しているために、おのずと許容量の限界があったのだが、この「スーツ」の場合、理論上は限界がないのである。

 何しろ、鏡のように攻撃を反射するだけなのだから、相手の攻撃力や敵意が強ければ強いほど有効になってくる。(殺人狂のエスパー、エルナには特に有効だったようだ)

 ただし、ロックはこの「スーツ」とはいまだ戦っていない。おそらく『聖者の涙』以降の年代のエピソードで、この理論を応用したものと出くわすことになるだろうが、どんな戦い方をするか見物である。

 今のところ、これといった欠点は見つからない「スーツ」だが、ESPを反転させるシールドをどのくらいの時間発生させ続けられるか?通常兵器に対しての耐久性はどれ位あるか? などが今後問題になってくるであろう。

 最後は、これらの「対ESP兵器」をしめくくる生物兵器「P96」に登場してもらおう。「P96は」『ジュナンの子』においてアコ・メディオスが開発した特殊なウィルスで、爆発的な繁殖力を持ち、空気感染していく。普通の人間にはまったく無害だが、ESP波に接触することで、強烈な毒性を発揮する。最近話題の「狂牛病」みたいなモノで「狂エスパー病」といった病状を引き起こすのだ。この「P96」毒素は即効性が強く、エスパーが感染した場合10数分で脳が犯されるため、まず治療はできずに死に至る。

 さて、色々なタイプの「対ESP兵器」を紹介してきたが、物理的に理不尽なことこの上ない「超能力」を相手にするだけに、なかなか決定打が出てこないようだ。しかしロックをはじめ、エスパーたちには充分に脅威となっているのである。

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ミサイル

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年7月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

作品内で「D弾」「G弾」などと呼ばれているのがミサイルの種類の名称(略称か?)です。このDとかGとかがどんな種類の弾頭を使っているのかを現します。

●D弾=Deuteron(重陽子弾)
 重水素を使った反応弾。簡単に言ってしまえば水爆のようなもの。

 某『謎の○盤UFO』のインターセプターもこれ(だと思う…)を装備して、UFOを迎撃していた。

 全作品を通じて最も多用されている弾頭で、通常は艦対艦攻撃用に使われる。当然バリバリに放射能が出るため、惑星などに落ちるとその破壊力も含め、放射能汚染などの大惨事を引き起こすことになる。

●G弾=Graviton(重力子弾)
 重力子=素粒子を詰め込んだ弾頭で、目標に命中->爆発->爆心点に重力崩壊現象を起こす->周囲の物質を巻き込むように引き寄せて破壊する。

 まわりを引き寄せるといっても、ブラック・ホールのような大質量を持つわけではないので、D弾のエネルギー拡散とは反対に、収縮方向にエネルギーが働くと思ってもらえればよい。

●A弾=Anti material(反物質弾)
 ロンジット鉱のところで[*]述べたように、反物質は物質と接触すると大爆発を引き起こす性質を持つ。この反物質を弾頭に積(ママ)めたのがA弾。 破壊力はバツグンだが、反物質を安定させる為にロンジット鉱を使うので、コストがバカ高くなってしまうのが難点。

 以上のD、G、A弾が作品中で多用されている弾頭である。勿論これらが装填されるミサイル自体も時代により進歩している。

 では、残りのスペースで、特殊弾頭をいくつか紹介しておこう。

●N弾=Neutron(中性子弾)
 爆発によりばらまかれた中性子が、生物の細胞(DNA)を変質・破壊し、ジワジワと殺していく。

 当然、対惑星攻撃用として作られたが、あまりにも非人道的なので、使用されることは少ないが、帝国時代末期にロボット艦『ジェノサイド』に搭載され、いくつかの惑星を死滅させている。

●P弾=Paraballistic(超弾道弾)
 弾頭自体はD、G、A弾だが、小型のハイパー・ドライブ・ユニットを搭載しており、ショート・レンジのハイパー・ドライブで防御ラインの向こう側に出現、目標を破壊する。やはり、値段は高い。

●ジオイド弾(惑星破壊弾)
 亜空間フィールドにより惑星内部に出現し、ジオイド層(誰も見たことがないが地面の下にはそういう層があるらしい)を破壊する。亜空間フィールドは、ハイパー・ドライブとは違い、テレポートに近い性質があるため、地殻内に出現できるのだ。

 もっとも、テレポートのように空間を入れ替えるのではなく、無理やり物質内に現れるため、それだけでも相当な爆発を引き起こしてしまう。

(M弾、X弾が抜けています――上村注)
*『Megu』1995年12月号「試験に出る超人ロック」――上村注

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再生

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年9月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

 「再生」といわれている能力は、細胞の新陳代謝機能や、成長プロセスに対して働きかける、身体の内部に向けての繊細な超能力のこと。

 これと似た要領で行われる能力には「マトリクス変換(変身)」、「若返り」やケガなどを治す「治癒」、また成長速度を変えて、大人になったり子供になるのも、この能力の応用といえる。「再生」の場合、かなり高度なレベルで「若返り」がおこなわれていると考えられる。

 なぜならロックでも普段は遺伝子〜細胞レベルでこれらの能力を使っており、このレベルは他のエスパーでもおこなえるが、「再生」をおこなうときは分子レベルにまで働きかけ、細胞の本格的な再構成をおこなっているのだ。

 人間が生涯で作り出せる細胞の数には限りがあるといわれている。なぜそのような制限ができるのかは、まだ科学的に解明されてはいないが、ミトコンドリアを取り込んだ多細胞動物が誕生したときあたりに謎があると考えられている。遺伝子・細胞レベルの「若返り」では、ある程度の延命(寿命を延ばす)はできるが、せいぜい2〜3倍くらいまでで、人体が持つ細胞の生産量を使い切ってしまう。

「再生」の場合、遺伝子・細胞を構成する分子の組み替えをおこない、全く新しい身体に作り替える、より高度な能力なのだ。

 では、なぜ他のエスパーは「再生」ができないのか? ロックと同じ力を持つロックのクローンでさえ「再生」ができないのは、コツにある。理屈では「こうすればよい」とわかっていてもコツがつかめなければ同じことができない。

 あいまいなようだが、コツというものは口で伝えたりできない。例えば、野球でホームランバッターにホームランの打ち方を聞いただけではホームランが打てないように、「再生」はそう簡単にマネできないのだ。

 たとえロックのクローンや、マトリクスをコピーしたエスパーであっても、意志を持った瞬間から環境やボキャブラリーに差が出てくる。当然、感覚や微妙なニュアンスなども違ってきてしまうので、「再生」のコツは理解できても、実際に同じことはできない。したがって今のところ「再生」はロックのオリジナル能力といってよい。

 またそれまでの記憶だが「再生」時には、超能力で圧縮保存されている。記憶は赤ちゃん姿のときから、徐々に解凍されるが、危機的な状況におちいった場合は、超能力とともに一気に覚醒させることもできる。

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言語

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年11月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), p.124 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

…だいぶ前になるが、聖プロでも言語の話題が出た。そのときの結論としては、「基本的に公用語として普及しているのは英語であろう」というもの。

 ただし、他の言語が失われてしまったわけではなく、日常会話では、その土地や(フランス語圏ならばフランス語)家系などによって、いろいろな言語が普通に使われている。

 以前飲み屋でこんな光景を目撃したことがある。外国人が何人かで談笑していた。だが、何かその会話に違和感を感じ、よくよく聞いてみると英語、独語、仏語、ポルトガル語(これは自信がないが、多分そうだったと思う)の、なんと4か国語で平然と会話をしていたのだ。

 恐るべしインテリ外人! などとも思ったが、多民族国家に住んでいる人たちにしてみれば、案外当然のことなのかもしれない。

 近い将来、言語教育ももっと進歩して、ごく当然のように様々な言語が操れるようになると思われる。したがって未来を舞台としている『超人ロック』では、いろいろな言語が飛びかっている(だろう……)と思ってほしい。

 その中で、何故英語がメインの公用語かというと、銀河連邦の前身である太陽系連合の「軍部」の言語フォーマットが英語だったこと(医学用語が独語なのと同じような感覚だと思ってください)と、コンピューターのOSフォーマットなどが英語だったからと考えられる(この分野はアメリカの得意とするところだから……)。

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新銀河連邦時代の地球

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年11月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……
『クランベールの月』の時代(申しわけない。まだ年代は宇宙歴1000年ぐらいということしか決めていない)でも地球は健在。

 凡(ママ)銀河戦争勃発時には、連邦の中枢ということもあり、反抗勢力の侵入を恐れた人々が、地球外へ脱出を画(ママ)ったり、内紛が起こったりで、人口は激減。10億人を下回り、地上は荒れ放題といった状態だった。

 旧連邦時代のコンピューター・ネットワークは消滅。また、主要惑星がジオイド弾によって破壊され、戦乱による混乱が続いたため、一時は人々の記憶からも、記録からも「地球」という惑星の存在そのものが希薄になっていた期間がかなり長く、伝説の星として語られていた時期もある。

 SOE(ソング・オブ・アース」)「大地の歌」が発足された0677年においても、実質的な復興がなされていたわけではなく(『ソング・オブ・アース』で戦斗艦マウスが発見されるシーンを見てもらえばわかると思う)、地下組織の拠点として、また、「いちおう、人類発祥の地でもあるし……」という理由で、象徴的な意味で多くの星の中心に座していたというのがほんとうのところだろう。 新・連邦発足前後から、本格的復興がなされ、現在でいうところのモデル都市のように(この場合モデル惑星だが)理想的自然環境と都市機能を持つ惑星になっている。

 もっとも資源はとうの昔に枯渇したので、産業はあまり盛んではなく、主に銀河連邦の中心的行政機能と、各種ソフトウェアの開発等が行われている。『クランベールの月』でのタカニ隊長たちの会話は、彼らが惑星開発の最前線、つまり辺境星域を中心に生活しているため、遠い首都星である『地球』について「話には聞いたことがあるが、行ったことはない」という意味で交わされた会話なのだ。

 例えば、アメリカに住んでいる人のすべてがワシントンDCに行ったことがあるわけではない。しかし、そこが首都であるということや、どんなところはだいたい解っていると思う。そう解釈してもらえばわかりやすいだろう。

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リバイバル

大山英亮「試験に出る超人ロック」『月刊MEGU』1996年4月号, 青磁ビブロス(現ビブロス), pp.124-125 より抜粋
(大山英亮氏は聖プロのマネージャー)

……
やはりと云うか、何と云うか…初期作品『ニンバスと負の世界』『この宇宙に愛を』『ジュナンの子』これらの作品及び周辺の出来事を参考として扱う事になりました。

 なぜなら、やはり三十年前に書かれた作品と、今まで、その間の宇宙歴を埋めてきた新しい作品群とをドッキングさせるのは、余りにも多(ママ)無理が多すぎるから…というのが一番の理由。

 これは今は無き某『OUT』で『ソード・オブ・ネメシス』を掲載する時に、ある程度は予定していて少しづつ作り始めていた設定なのだ。簡単に説明すると『ソード・オブ・ネメシス』と云う作品は、(『ニンバスと負の世界』+『この宇宙に愛を』のリメイク+α)と云う事で企画されていた作品。

 この時点でリメイクの対象となった作品とはパラレルな物になってしまうわけで、どちらかに統一するとなると、やはり新しく書かれた作品を優先した方が、絵柄、設定・考証などから見ても無理がない。

 更に『ブレイン・シュリンカー』『不死者たち』とコミック・バーガーに描かれた年代不詳の作品を、宇宙年表の何処に入れるか?と云う問題もあり、宇宙歴1000年以降の総見直しと相成った訳なのです。

 だからといって、『超人ロック』の原点であるの原点である初期作品を無かったことにする訳ではなく、別次元で扱うという事になりました。

 また、暫定的(*)と書いたのは、作品自体の明確な関連性が出ていないため、この先描かれるエピソードによっては事件と事件の間隔や、時代が前後してしまう可能性があるからで、なにしろ『ブレイン…』でのロックのパートナー「ハント」君は「不死身」だし、機会さえあればこの先もロックと連(ママ)んだエピソードも描かれるはずだし、『ソード…』の前後の話や、設定なども(リメイクとはいえ)多少変わってくるはずなので(例えばISCの発足等)この辺はエピソードや新しい設定が出来るまでの目安と思っていてください。

*引用しなかった部分に見える――上村注

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