お気に入りアニソンベスト3
「ベスト3」と言いつつ、全て1位タイ。
評価基準
共通
- 本編が名作であること
アニソン=アニメの主題歌。だからいくら歌がよくても、本編がスカではダメ。ただし、ある程度「見れる」水準で可。名作なら言うことなし。
主題歌
- 本編と脈絡を保っていること
アニソン=アニメの主題歌。だからいくら歌がよくても、本編を何らかの意味で想起させないようではダメ。理想は、作品の内容につかず離れずということ。タイトルは必ずしも歌詩に入っている必要はない。
- 歌いやすいこと。
あまりに難しい曲、日本語としてイントネーションに難がある曲、あまり意味もなく英語が入っている曲はダメ。ただし女声は可。単に音程が高いだけなら自分が歌うときはキーを低くずらせるので。
BGM、サウンドトラック
- ある程度単独で(本編を知らなくても)聴ける曲が入っていること。
- 本編とマッチしていること。
- 本編中で聴いて耳に残ること。
主題歌Op.
よく見るとイントロにピアノを使っている曲が多い。僕の好みみたい。
- "HELLO, VIFAM" (『銀河漂流バイファム』)
作詩: J.Tsujino
作曲: D.Mann
歌: TAO
アレンジはTVサイズのが気に入っている。RV発進の会話とともに全編英語で放映時にはテロップなし。それでも歌詩が分からなくてもメロディーともども問答無用にかっこいいし、分かればなおかっこいい曲になる。
サビに"VIFAM"と入っているけど、入れなくても十分「バイファム」している歌詩。脚韻を踏んでいるのもポイント。
- 「テレポテーション〜恋の未確認〜」(『エスパー魔美』)
作詩: 奥慶一
作曲: 松本一起
歌: 橋本潮
藤子不二雄作品の相場からは大きく逸脱した歌詩。でも中学生が主人公のこの作品は、他の「パーマン」、「ハットリくん」あたりとは路線が違うから、この曲{で|が}いい。英語もこの場合は許せる(中学生っぽいから)。高畑君っていい奴だよね。さすがに藤子不二雄本人の作詩ではないけど、アニメ本編自体は、彼の持つ別の側面をよく表していると思う。
テレポテーションは魔美が最初に身につけた能力。あと他にテレキネシスと……他にあったっけ??
- 「勉強の歌」(『おちゃめなふたご』)
作詩: 森高千里
作曲: 斎藤英夫
歌: 森高千里
「やられた!」というのが率直な感想。名作劇場風(日本アニメーション制作のやつね)学園もののOp.にここまで直球ど真ん中な歌詩を持ってくるとは。説教くさいはずの歌詩なのに、ちっともそれを感じさせないところがすごい。「私」が、自分は勉強してなかったけど、あなたたちはまだ遅くないというような内容だからだろうか。勉強してない自分もそれなりに肯定しているし。
あやしいバックコーラス(?)はTVサイズでは全く入っていないのがまた巧い。
イギリスが舞台の話に「英語だけでも」はないだろうとか、歴史をやると文化人なのは歴史学専攻の僕には許せないものがあるとかはあるけど、とりあえず勉強はしなきゃあね。
主題歌Ed.
- 「コスモスに君と」(『伝説巨神イデオン』)
作詩: 井萩麟
作曲: すぎやまこういち
歌: 戸田恵子
富野節全開の歌詩はかなりキている。歌うはヒロイン(?)のカララ・アジバを演じる戸田恵子。カララの境遇かつソロ・シップの運命を集約したような歌。
2番の歌詩がお気に入り。にしてもあまりに富野由悠季(当時は喜幸)だ。でもたいていのオタクは誘蛾灯のようにそれに惹かれる。かくいう僕も初めて聴いたときから苦笑しつつも、一度でとりこになってしまった。
作中でキッチ・キッチンが死んだ場面などにも使われたが、これも歌詩とあいまって印象的だった。
歌詩のみならず、すぎやまこういちの作曲による魅力も大きい。
- 「ブルーレイン」(『機甲創世記モスピーダ』)
作詩: 売野雅勇
作曲: タケカワユキヒデ
歌: アンディ、松木美音
およそアニソンらしからぬ曲。アンディはOp.を歌っている人。松木美音はイエロー・ベルモンドの女装時の声。劇中でも使われていた。
「モスピーダ」はメカニックとともに、音楽重視の点でも(人気や評価の差はともかく)「マクロス」に真っ向張り合っていたが、音楽の方向性はだいぶ異なっていた。飯島真理の声・歌は僕にはつきあいきれなかった。しかしアニソンってつくづく何でもありだ。
売野雅勇は80年代中盤大活躍した。あんまりアニソンぽくない歌詩を書く人。「モスピーダ」はその走り。
- 「この愛を未来へ」(『ママは小学4年生』)
作詩: 岩谷時子
作曲: 樋口康雄
歌: 益田宏美
これまたストレートな歌詩。作品のつくりが丁寧で誠実なので、少々面はゆいこの詩に負けることもない。素直な気持ちで聴きたい。その際Ed.の絵を思い浮かべるとなおよい。
伴奏が感動的。一聴してあまりにクラシックがかっているのがわかる。実際「がかっている」どころではなく、モーツァルトの「ピアノソナタ第15番 ハ長調 KV.545」の第1楽章をそのまま使っている。もちろん歌の旋律は全く別だ。これはかなり珍しい試みと言える。この歌詩にはこういう伴奏以外はちょっと考えられない。ベストマッチ。
ピアノの演奏は伴奏であることを意識しているためか、左手が普通より強いように思う。ピアノソナタの第1主題序奏部がそのままイントロ。そのあとの経過句が多少長さを変えてBまで続く。その間トライアングル、コントラバス、ヴァイオリン、イングリッシュホルン(?)、トロンボーン(?)、タンバリン(?、打楽器系)、フルートと徐々に楽器が増えて盛り上がっていく構成。Cから管弦楽主体に(ピアノも聞こえる)。間奏も弦と金管の合奏で第2主題をアレンジしている。要所要所で入るフルートが個人的にお気に入り。2番の最初のうっとりしてため息をつくようなところが特に好き。
伴奏だけでも曲になっている、アニソンにおけるクラシックの希有な使用例。
……と書いた後で気づいたこと。この作詩、作曲、歌手の組み合わせではクラシックからの引用をかなりたくさんやっているらしい。ちょっと興ざめ。
サウンドトラック
あまり多く所有しているわけではないので、井の中の蛙かもしれない。なぜか全部ビクター。別に回し者ではない。
- 『亜空大作戦スラングル』(VICL-60413)
作曲: 山本正之、槌田靖識
編曲: 槌田靖識
演奏: ザ・スラングル・バンド
なんでこんなアニメに…、と思わず呟いてしまう。「東京の秋」、「東洋人に帰れ」といったタイトルからしてそうだが、曲がムードたっぷりでやたらにクサい。山本正之特有のバタくささなのかもしれない。しかも「亜空大作戦」と関係あるのかわからない。ということはやや評価基準からはずれるのだが、山本正之は同じ時期の同じ国際映画社のJ9シリーズの音楽も担当しているので、そっちとかぶっているのかもしれない。とはいえ(さっぱり覚えていない)作品の内容はそんなにかぶっていないと思うから、やはり評価基準にそわないが、まあ面白いので特別に入れる(いい加減)。
曲はgt+ブラスのうるさ系と、ストリング+pのしんみり系に大別される。子どもに聴かせるにはもったいないが、大人が聴くと鼻につくかもしれないあたりが中途半端(誉め言葉になってない……)。効果音に近いような曲は1曲もない。ギターがやたらにうるさい「バトルシープ」のとくにギターソロ部は聴く価値あり。LP時代だったゆえ全曲で36分しかないのが惜しい。
歌詩、曲ともにインパクトありすぎのOp.も聴くべき(歌うのはどうかと思うが)。この曲もサビのギターが目玉と勝手に思っている。というか本放映時はそこが好きだった(小学1年のくせに生意気)。
CD1: 11トラック、36:16; CD2: ドラマ編(TVの名場面集)+後期主題歌フルサイズ
- 『DTエイトロン』(VICL-60260)
作曲: 難波弘之、他
編曲: 難波弘之、他
演奏: 下田武男(ds)、米川秀之(gt)、林秀之(syn)、他
打ちこみとギター主体。クリアな乾いた音が、「DTエイトロン」の終末間際の荒れてぎらついた世界にマッチしている。"YOU AND THEM"がその代表。ライフサイドの午後5時といったところ。監督であるアミノテツローの希望により場面にあわせた「不気味な曲」、「悲しい曲」ではなく、独立して楽しめるような曲ばかり。したがって3-5分ある長い曲がほとんど(もちろんメドレーでなく; それどころか2トラックで1曲のものも存在する)。またアルバム全体のまとまりというか構成というかを重視しているのもポイントが高い。
毎回ラストに必ずかかっていた"ONE OF THE FEW"と次回予告の"MOTHER"がおすすめ。後者はKAINEのハミングが美しい。
Op.はメジャーになる前のDRAGON ASH。アカペラの挿入歌はイントネーションがつらいのが惜しい。ただし笑えるような結構聴けるような何とも言えない曲だった。Ed.は本編とは関係ないが、曲自体はかなり名曲。
最後にライナーノートなどに載っていないボーナストラック(?)が入っている。
20+1トラック、66:44
- 『今、そこにいる僕』(VICL-60492)
作曲・編曲: 岩崎琢
演奏: 篠崎正嗣(strings)、伊丹雅博(gt)、木津芳夫(ft)、岩崎琢(p)、萩原克実(syn)
1曲目"STANDING IN THE SUNSET GLOW"が出色のでき。哀愁と情熱に満ちた「今、そこにいる僕」の世界を見事なまでに表現しきっている。20分もあるくそ長い曲で6楽章構成となっている。完全な空白(無音状態)は2回なので、3曲オムニバスととらえることができる。作品自体のテーマになっている(と思われる)メロディを主題にした3曲目(第5、第6楽章……だと思う)は8分近くあるのだが、それが最終話のクライマックスで延々とほとんど通して流れていた(最初だけちょっと欠けている)。もともと(劇なのに)セリフの少ないこの作品の中でも、この一連の場面は動きと音楽と絵で勝負していたと言える。
次回予告の"DECADANCE"はハムド様のありがたい演説とともに耳に残る。"TUMBLING"はバイオリンが緊迫感をあおる。ヘリウッドが浮上するときにかかっていた"FEARFUL DREAM"はまさに悪夢。どちらかというとストリング中心(管もあるが)のアコースティックな曲と打ちこみ系と曲によってがらりと傾向が違う。ただし、打ちこみはほとんど全ての曲で使われていて、いつもちゃかぽこ言っている。
インストのOp.、小室等が原曲のEd.(どちらも増田俊郎の作・編曲)ともに佳曲。Op.のスキャットは誰なんだろう? Ed.は安原麗子の息づかいが聞こえてきて、何とも言えないあったかさがある。
17トラック、65:57
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