Makoto Isshiki
A Piano in the Forest, Op.16
Kai Ichinose, piano

一色まこと『ピアノの森』講談社モーニングKC, 1999年-。(『週刊モーニング』連載中)
を紹介するページです。連載中の作品なのでここに書いた内容は変更・追加の可能性あり。

新着情報

2005年7月22日、単行本第10巻発売
2005年5月22日、次号休載
2005年2月21日、講談社『週刊モーニング』20号(4/14発売)より連載再開->無事再会
2002年11月8日、単行本第9巻発売予定(10月から延期になった)->発売
2002年10月3日、単行本第9巻+『花田少年史』全4巻(新装版)発売予定->『花田少年史』は9月末に書店に並んでいたのを確認
2002年10月1日よりアニメ『花田少年史』が日本テレビ系で24:50-より放映開始
2002年5月9日、単行本第8巻発売予定->2002年5月17日に延期(2002.5.10; 講談社ウェブサイト参照)->無事発売
2002年4月9日、単行本第8巻発売予定->延期?(2002.3.23)
2001年12月18日、次号取材のため連載休止。
2002年1月、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』(講談社『KISS』連載中)単行本第1巻が発売されます。同じ音楽ものということで…。(2001.12.14)->発売(2002.1.11)
2001年9月7日、単行本第7巻発売予定->発売
2001年8月21日、第2部開始! (予定より1回多く休んだ)
2001年6月19日、第1部完、次号より2回連載休止
2001年3月9日、単行本第6巻発売予定->発売
2000年11月21日、連載再開
2000年9月19日、次号より3回連載休止
2000年8月7日、単行本第5巻発売予定->発売
2000年4月7日、単行本第4巻発売予定->発売

あらすじ

第1部

東京から転校してきた雨宮修平の将来の志望はピアニストになること。しかしそのために、早速いじめに会う。彼を助けたのは不思議な少年、一ノ瀬海(いちのせ かい)だった。
未完の大器、荒削りの天才――海は、指導を受けたことはないが、「ピアノが選んだ手」を持っていた。彼は森にうち捨てられたグランド・ピアノから音を引き出すことができた。そのピアノこそ、かつて天才の名をほしいままにした阿字野壮介が手放したものだった。彼は海の演奏に失った自分の音を見出す。
2人の風変わりな師弟関係が始まり、海は修平とともに全日本学生音楽コンクールに出場する。彼のピアノは聴衆を感動させるが、審査結果は予選落ち。修平は見事全国第1位を勝ち取る。
海の実力を認める修平は、日本を離れ留学することを決意。いっぽう森のピアノを失った海は、自分がピアノなしに生きられないことを悟り、阿字野に正式に教えを乞う。

第2部

5年後。ウィーンに留学中の修平はしかし、自分の音楽を見つけられず思い悩んでいる。日本に一時帰国した彼は、海と再会する。(以下連載中)

限りない可能性を秘めた少年と、天才とうたわれた師、まったくタイプの違うライバル。
ある意味少年漫画のスポーツものなんかの王道的なパターンと言える。海なんて、かの"DRAGON BALL"の孫悟空と比べることだってできそうだ。以前、ピアノをはじめとした音楽でライバル同士が互いに研鑽しつつ成長していくような漫画はありえないだろうかと冗談で考えたことがあった。そのときは、次の2点で難しいだろうと結論を出した。

それが「ピアノの森」によって見事に裏切られたわけである(今後バイオリンなどほかの楽器で同種の作品が出てきたりするのだろうか?*)。ただし、肝心なことにまだピアノコンクールは始まっていない(2000.2.1)。これからどう演奏シーンを描いていくのか期待。
今後、独奏だけではなく合奏、伴奏、あるいはジャズなどの別のジャンルにも挑戦していくのだろうか。中学生編、高校生編、プロ編とかまで続くとちょっとイヤかも。

* それとも僕が知らないだけで、すでに存在しているのか。

森の端(はた)

海が住む森の端は、色町というか赤線。というかスラムに近い。歌舞伎町よりひどいんじゃないかというような所がはたして日本に存在するのだろうか。いったいこんながらの悪い一角が存在する地方都市とはどこなのだろうか。
海の母親である怜子(れいこ)が、見たことのない海(今どきちょっと考えられない気もする)に憧れて海という名前をつけたことを考えると、内陸にある町のようだ。ピアノの森があるくらいだから、自然はわりあいに豊かなほうだろう。学校で豚を飼えるのもそれなりに田舎の証拠と言える。
また森の端の建物は鉄道の高架の下に立ち並んでいる。何線なのかはわからないが、高架になっているくらいだから幹線なのはたしかだ。となると、関東なら埼玉北部、群馬、栃木などの東北本線、高崎線沿線ではないだろうか。
中部地方の南と判明。岐阜? (2000.2.2)

ピアノの森――または小さな森のグランド・ピアノ

緑の森の中にピアノが置き去りにされている。そのピアノはたった一人の少年のためにある。とてもロマンチックだ。が、そんなことが実際にあり得るのか。屋外にあるピアノは、一体いつまで音を保っていられるのか。木々によって雨風から守られているとはいえ、野ざらしになっているのだ。
最近「海の上のピアノ」という映画が話題になっている。船の上にピアノを置くのは本来はナンセンスだということが『月刊ピアノ』2000年1月号に書かれている。ナンセンスとまで言えなくてもピアノにとっては百害あって一利なし。
あげられている理由のうち塩害はこの場合はおくとして、温度と湿度の変化、それとネズミはピアノの森にもあてはまる。海がネズミに曲を聞かせる場面があるが、あちこちかじったり、中に巣を作るのでピアノにとっては大敵だ。もっともピアノの音に驚いて逃げるので、海が毎日弾いている分にはそれほど害はこうむらないかもしれない。
しかし野外に吹きさらしなのだから温度や湿度による被害はまともに受けてしまうだろう。実際すでに海にしか弾けなくなっていたわけだし、阿字野先生も寿命が近いことを危惧している。というか、海が弾き始めてもう8年くらいはたっている。音程がその間にどんどん滅茶苦茶になっていて、(海が有している)絶対音感を養うには不都合だったのではないだろうか?
しかしここで大事なのはそうしたリアリティではなく、海がピアノに出会えたことだろう。森の端に住んでいる海が不幸だとは言わないが、劣悪な環境に育ったのは間違いない。何しろ先生が家庭訪問を拒否するような地区だ。
海は父親を知らない。怜が海をうんだのは多分16、7歳だろう。相手の男が誰だったのか、ひょっとすると怜自身にもわからないかもしれない。そして酔っぱらった親父に犯されそうになるようなところで海は生活しているのだ。
もしピアノがなかったら、海は今ごろ普通の男の子になっていなかったかもしれない。
そしてもう一つ大事なのは、そのピアノがかつては阿字野先生のものだったことだ。この数奇な巡り合わせによって海の将来は確実に変わりはじめている。

主な登場人物

随時追加予定(連載誌は購読していないので単行本によるフォロー)。
一ノ瀬海(いちのせ かい)
本編の主人公。森脇小学校の5年生。女の子のような外見。口は悪く、けんかっ早い。また足が速い。楽譜というものの存在すら知らないが(音楽の授業を受けているはずなのに……)、一度聴いただけの曲をそらで弾くことができるほどの才能の持ち主。
いやいやながら阿字野先生の指導を受けることになる。
雨宮修平(あまみや しゅうへい)
秀才肌。東京から引っ越してきた。彼が転校してきたところから物語は始まる。将来の夢はピアニスト……なのだが、父親が有名な音楽家で、なかば無理矢理にやらされているようなフシもある。海が阿字野先生の指導を受け始めたことで、ある種の目標が生まれる。
一ノ瀬怜子(いちのせ れいこ)
海の母親。20代後半?、独身、美人。淫売、娼婦と言われているが、そのとおり。多分、街娼なんかではなくもっと高級な娼婦になれる。森の端で生まれ育ち、10代のうちに行きずりの男?の子どもをうむ。それが海。しかし海のことは誰よりも大事に思っている。海からは「怜ちゃん」と呼ばれている。
阿字野壮介(あじの そうすけ)
40歳?。かつて天才ピアニストとうたわれ、学生のうちに国内の数々のコンクールを総なめにする。自動車事故によって恋人を失い、左腕には後遺症が残る。事故後、しばらくは大学でピアニスト育成に携わるが、やがて小学校の音楽教師となり、海と出会う。生徒からは「ソーシキ」などと陰で言われている。海いわく「マザコン男」。年齢のわりに髪は豊か。将来ロマンスグレーになるだろう。
金平大学(かなひら だいがく)
ガキ大将。太めでずうたいがでかい。腰ぎんちゃくつき。転校生である修平をいじめる。彼を「キンピラ」(もしくは「キンタマピラピラ野郎」)と呼ぶ海とはケンカのよき(?)ライバル。
丸山誉子(まるやま たかこ) [第31話「ピリピリ」(第4巻)〜]
高ビーなお嬢様。気は強く、また「しなさいな」、「なくってよ」と言った正統的(?)お嬢様言葉を使う。実はアガリ性。小6。「ムーミン」のちびのミイみたいな髪型。三白眼ぎみ。便所姫(by海)。
ほかに、海のクラス担任、修平の母、祖母、阿字野先生の寮のおばさん、亜里沙、白石など。

作中に出てくる曲

随時追加予定(連載誌は購読していないので単行本によるフォロー)。
茶色の小瓶 アメリカ民謡(阿字野壮介によるアレンジ)
ラジオ体操第?(一ノ瀬海によるジャズアレンジ)
モーツァルト ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調 KV280
ベートーベン バガテル イ短調 WoO.59「エリーゼのために」
ベートーベン 交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」(「ジャジャジャジャーン」のところだけ)
メンデルスゾーン 結婚行進曲(劇音楽「真夏の夜の夢」作品61より; リスト編曲?)
ショパン ワルツ変ニ長調 作品64の1「子犬のワルツ」
ショパン 「華麗な大円舞曲」
ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」(第4楽章; ユーロビート; ピアノと弦楽合奏編曲版) 海が弾かされた練習曲が何なのかご存じのかた、ご一報を(ハノンとかツェルニーのたぐい? <よく知りません)。
クラシックは古典〜ロマンが多いのかな。

年表もどき

-18阿字野デビュー。
-13阿字野、自動車事故にあう。
-7海、森のピアノを弾き始める。
-3阿字野、森でピアノと再会。
0第1部
+5第2部

リンク

ピアノの森

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