〜第三回〜
                    兼古昌明


 3回目の出会いは、ギターのことなどすっかり忘れてしまった30代の後半のことでした。

たまたま見かけたミニコミ誌にギター教室の案内が載っていたのです。

名前は、野村ギター教室。

「子供からお年寄りまで」というキャッチフレーズがちょっと気になり、

ど素人の私でもやれるかなと思って電話をしてみたのです。

というのも、二人の子供達の習い事を目にしたのが電話をしようと思い立ったきっかけでした。

当時は、子供達(男の子二人)も小学生になっていました。

そんなおり、たまたま女房の知り合いにピアノの先生がいて、

子供達が個人レッスンをうけることになったのです。

これが数年経つうちにみるみる上達し、私から見れば驚異的に演奏できるようになったのです。

それまで「これが私の趣味です」と、言えるようなものがなかった私でしたので、

子供の姿を見て今こそ何かやりたいと思った時に、

昔やっていたギターが頭によみがえってきたのです。

電話をかけたときは恐る恐るでしたが、気さくな感じの先生の声に見学だけして、

それから考えればよいと思って教室に行ってみました。

しかし、そこは教室などというイメージではなく、

普通の賃貸マンションの一室に楽譜や音楽テープがうず高く積まれ、

40歳そこそこの眼鏡をかけた普通のおじさんが椅子に座っていました

教室というからには生徒が何人か練習していて、

先生が手取り足取り教えているイメージがあったのが、見事に外れたという感じでした。

ちょっと話をするうちに、「それでは来週からレッスンを開始しよう」という

半ば強引な勧誘にあい、入室することになったのです。

 レッスン初日は、渡された楽譜にガックリ、

「ちょうちょ」や「おうまの親子」といった童謡が載っていたのです。

「いくらなんでも童謡はないだろう」と思いましたが、

ところが、実際に弾いてみると意外に難しいのです。

そのうち、背中から汗は出るは、指は絡むはで大変なことだと分かりました。

楽譜は「楽しいギター」という教則本のコピーで、

それこそ「子供からお年よりまでのキャッチフレーズにふさわしいものだったのです。

その本は、それまでに絶版になってしまっていたらしい。

その本が終了するまで約3年かかったと思いますが、

最後の曲は、ヴィヴァルディの「四季」で自分なりにかなり練習した覚えがあります。

以来、まる8年、ようやく趣味と言えるようになってきましたが、

「アルハンブラの思い出」を人前で弾けるようになるのはいつのことか、という現状です。

 最後に余談ですが、最近スペイン語を勉強するようになりました。

アルハンブラといえばスペイン、数々の名曲や演奏家がスペインで誕生しています。

いつの日かスペインを訪れて、ギターのルーツをこの目と耳と口で確かめたいと思うこのごろです。




          




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