〜ギターを思う〜


「出会いの記」第1話で書きましたが私の出身地は兵庫県の丹波です。

丹波と言えば篠山、篠山と言えば「カンショ節」となりますが、

たまたま、あるWebサイトで見かけた記事に

「丹波篠山には田中清人というギター製作家が住んでいて現代ギターの他、

ルネッサンスギターや19世紀ギター、バロックギターを製作している」と書いてありました。

あんな田舎でもプロフェッショナルなギター職人が在住しているのかということで、

ちょっとうれしく思いました。

もっとも、私の生まれた場所は篠山からさらに車で30分以上奥地に入った所(氷上郡)で、

篠山を田舎というと逆に怒られてしまいそうですが....。

 

ところで古典ギターといえば、

先日(2004.1.30)にアントニオ・デ・トーレスによって製作されたギターによる

コンサートがあり参加しました。

トーレスは100年以上前のスペイン人製作家です。

コンサートは有楽町線の江戸川橋駅近くにあるトッパンホールというところで開かれました。

奏者はイタリア人のステファノ・グロンドーナでセゴビアからも絶賛されているギタリストです。

ちなみに年齢は私と同じで、笑わなければイタリア・マフィアのような目つきの鋭い人でした。

しかし演奏は見事でアンコールも5〜6曲続きました。

プログラムは当時の雰囲気をそのまま伝えるという奏者の意図が伺えました。

ただ、楽器のせいかマイクを通していないせいか音量が小さくて残念な感じがしました。

後ろのほうの観客は良く聞こえなかったかも知れません。

ちなみに以下のような大小合わせて30曲ほどが演奏されました。

フローベルガー:

組曲二短調よりアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ

バッハ:

トッカータ・ホ短調BWV914よりトッカータ、アン・ポコ・アレグロ、アダージ

ョ、フーガ

グラナドス:

献辞、スペイン舞曲第5番、ゴヤの美女

ファリャ:

漁夫の歌、孤火の歌

 

ところで、この原稿を書くにあたり少しギターと演奏家、

製作家の歴史的変遷について調べましたので載せておきます。

興味のある方は一読下さい。

 

[ギターの変遷]

*ルネッサンス期*

15世紀には複弦4コースのルネッサンス・ギターが用いられ、

宮廷ではビウエラ・デ・マノ(手で弾くビウエラ・貴族のギター)が、楽しまれていた。

*バロック期*

16?17世紀には、5コースのバロック・ギターが全ヨーロッパで流行する。

*古典派期*

18世紀後期には、6単弦の古典ギターにとって代わり、

フランスのルネ・ラコートやイギリスのルイス・パノルモが有名であるが、

この頃、それ迄のギターとは異なった内部構造を持つ扇型の力木配置をされたパヘスが、

スペイン南部の港町カディスで作られていた。

*ロマン派期?近代*

19世紀に入ると、スペインアルメリアに生まれたアントニオ・デ・トーレスが、

それまでのギターを集約し、革命的な進歩を遂げた。

ギターにしか無い音色の魅力を得たトーレスの楽器は、

”ギターのストラディバリウス”と呼ばれる。

*近代?現代*

トーレスは弟子を持たなかったが、彼を研究した次代の名工達が、

各々個性をもって銘器を作り出した。現代のギターは、

トーレスをはじめとするスペイン・ギターの延長線上にあると言えよう。

*現代?未来*

近年、楽器製作は、演奏家の要求に沿うべく、演奏の高速化と音量の増大化に向かっている。

しかし、基本をスペイン・ギターに学び、その音色を大切にしなければ、

良いギターは生まれないであろう。

 

[演奏家と製作家]

*スペインの演奏家とギター製作家*

演奏家フリアン・アルカス、”近代ギターの父”と呼ばれるフランシスコ・タレガ

その弟子ミゲル・リョベート等がトーレス・ギターを用いてコンサートスタイルを確立した。

マドリッド派のホセ・ラミレスI世の弟、マヌエル・ラミレスは、トーレスを手本にし、

アンドレス・セゴビアが使用した。マヌエル門下からは、

サントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、エンリケ・ガルシアらの巨匠が輩出された。

サントス・エルナンデスは、サインス・デ・ラ・マーサが愛用したギターとして有名であるが、

サントスを手本に銘器エルナンデス・イ・アグアドが生まれ、ジョン・ウィリアムズが長年使用した。

エルナンデスの娘婿であるヘスス・ベレザール・ガルシアは

生涯83本の慈愛あふれるギターを残している。

現代ではマドリッド在住のマルセリーノ・ロペスが彼らの影響を受け製作を続けている。

サントス・エルナンデスの後継者マルセロ・バルベロI世は、

若い頃のナルシソ・イエペスが使用していた。

マルセロの弟子で、現代の名工アルカンヘル・フェルナンデスは、

電動工具を用いない昔ながらの製作方法を守っている為、

製作本数が極めて少なく、幻の銘器と呼ばれ魂のある楽器を作っている。

マルセロI世の息子でアルカンヘルの弟子、

マルセロ・バルベロ・イーホもすばらしいギターを作り、

現代におけるマドリッド派の代表としての威光を保っている。

コルドバでは、ペペ・ロメロが使用して有名な、

ミゲル・ロドリゲスI世という歴史的な名工がいたが、

現代ではマルセロI世から指導を受けたマヌエル・レジェスが活躍し、

フラメンコ・ギタリストであるパコ・デ・ルシアの次の時代を創ってゆくであろう

ビセンテ・アミーゴが使用している。

バルセロナでは、エンリケ・ガルシアの弟子のフランシスコ・シンプリオ、

高名なイグナシオ・フレタ、そしてその2人の息子達、

フランシスコとガブリエルが現代の銘器イグナシオ・フレタII世を製作し、

多くの演奏家が使用している。

 

*フランスの演奏家と製作家*

フランスではやはり、独自の長いギター文化があるが、

初代ラミレス工房で学び、亡命してパリで生涯を過ごした

フリアン・ゴメス・ラミレスがトーレスの流れをくむ製作をしていた。

このギターを手本に独学でギターを作り上げたのが、

画家でもあるロベール・ブーシェである。

イダ・プレスティが使用し、世界の名工となった。

現代では、グラナダのアントニオ・マリン、日本の松村雅亘が、彼の精神を受け継いでいる。

 

*ドイツの製作家*

ドイツでは、ミゲル・リョペートの弾くトーレス、

そしてセゴビアのマヌエル・ラミレスを参考にして、ヘルマン・ハウザーI世が銘器を作り、

息子のハウザーII世が後を継いだ。

                                                                   (ギター文化館ホームページより転載)

 

最後に我がアンサンブル・ベルデのことですが、

現在、3月28日の神奈川フェスティバルに向けて日夜?練習に励んでおります。

練習不足を補うため、最近は青葉区の大場地区センターを借りて自主練習も行うようになりました。

当地区センターは築1年ほどの新館でもあり非常に快適に演奏することができます。

半日借りても200円と超極安で、使わない手はありません。

市民の税金でまかなっているわけですから、皆さんもどしどし活用してはいかがでしょうか?

それではまた。---つづく




アントニオ・デ・トーレス




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