僕のギター
          よもやま日記





                         





                       Guitar note ,page7

      「ギターを手にする」






 逃げ出せないまま…。

とうとう結婚式の日がやって来ました。

演奏はたどたどしくあやしい感じではありますが、

なんとか仕上がってはいました。


雨宮先生からせっかくだからハモってみようか、

なんて話も浮上しましたが、そんな余裕は全く無し!


普通に歌うのが精一杯です。


 その日は朝早く起きて準備です。

高校の卒業の為に買って一度袖を通したっきりで、

タンスの肥やしになっているスーツを引っ張り出して、

慣れないネクタイをしめて。


着慣れていないせいもあるんでしょうが、

どう見ても育ち過ぎた七五三といったところです。


朝は緊張というよりも、時間に追い立てられてしまって、

忘れ物をしないように家を出る事で頭がいっぱいでした。


まず友達の家に行く事になっています。


 沖縄には電車は無いので、バスで向かうのが普通ですが、

ギターを背負った七五三では少し恥ずかしい。


しかも時間が少しおしていたので、

特別な日だしとタクシーに乗って向かいました。


今思えば、

スーツを着て忙しそうにタクシーに乗り込んだ自分に、

酔っていたんでしょうね。


すこし気取った調子で「浦添まで」と言ったのを思い出しました…。

完全に背伸びしちゃってますねぇ。


友達の家からは車に乗せてもらって式場に向かいました。

曇り空の中ワクワクとドキドキが入り混じった変な気分。

おなかのあたりで気持ち悪さがふよふよとしています。

今一生懸命思い出しながら書いていますが、実はななりうろ覚えです。

花嫁さんそっちのけで自分の事で、

いっぱいいっぱいだったんでしょうね。



 車が式場に着きました。

どうやらめぐちゃんは先に到着していたようです。

高校の卒業式以来ぶりの友人や他のクラスの顔知りさんたち。

お祝いの席らしく皆「しゃん」としていていい笑顔です。

「良かったねー!」「あのバカ子がねぇ!」なんて声。

ホールのあちこちにかたまりが出来ています。

けれども僕はめぐちゃんと、

ギターをどこにおいておけばいいのかと、

パタパタしていました。


 そうそう!御祝儀なんてのも生まれて初めて、

スーツの内ポケットから取り出してやりましたよ!


ハハッ!


 さぁ、そろそろ式が始まります。

ギターは舞台の裏においてきました。

花嫁さんを美しく撮るカメラも準備OK

横でめぐちゃんは友人代表のあいさつを、

必死に小さな紙に書いています。


今書いてんのそれ?!

さすが、なかなかチャレンジャーです。

大丈夫。大丈夫。ちゃんと練習したし…。

出来るって。


出番までは結婚式をしっかり楽しんでいようよ…。

自分に言い聞かせながら、

会場は、はいっ、暗転―!






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つづく