獣医エッセイ
(水族館にて)
>第二話<
〜動物捜査一課〜
日々仕事とはいえ動物の健康をチェックしていると、
動物の診療の過程って、
警察官が犯人を探し出すところに似ているんじゃないかな、
と思うことがあります。
たとえば、アシカの足の裏がすりむけて血が出た...(事件発生)、
すりむけた傷の手当てをしつつ(被害者のケア)、
アシカの歩く道筋を丹念にたどり(聞き込み捜査)、
傷を負わせた犯人を見つけ出す(犯人逮捕)。
アザラシが下痢をしているらしい...(タレこみ)、
まずはどのような下痢なのか飼育係に話してもらい(事情聴取)、
餌を与えた後も、
その場にじっととどまって下痢便を自分の目でも確かめ(張り込み)、
下痢便を顕微鏡で詳しく診る(鑑識)。
なんとなくペンギンに元気がない...(職務質問)、
ペンギンのかかりやすい病気を考慮しつつ(プロファイリング)、
血液検査をする(鑑識)...、
そして、疑わしき犯人に効き目のある薬を投与して反応をみる(おとり捜査)。
診療の考え方ってそんなんじゃない、
とか、捜査と動物の病気を一緒にしないでほしい、
などという獣医師や刑事さんのお叱り、おとがめを受けそうですが、
私にはそう思えることが時々あるのです。
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