渡辺さんの俳句傑作選






2012年 7月の俳句





半夏生ネイルアートの小宇宙
                     最近女性の間で流行っているようだ。
                     爪にいろいろなものを描いて楽しむ。
                  これはほんと凄いことだと思う。
                        なにが凄いかというと描く方がまず凄い。
                          爪の狭いスペースに動物、植物、アート・・・。
               あらゆるものを描いていく。
                           もちろんある程度の器用さがないといけなくて、
                   爪からはみ出しては意味がない。
                       そうすると描く方だけが凄いかというと、
          そんなこともない。
                                 やはりこれを綺麗に見せるということも大事になってくる。
              せっかく描いてもらっても、
                そもそもが小さいものだから、
                         下手をするとペンキが付いちゃってるのかと、
                     思われてしまう危なさをを持っている。
                            アートとペンキじゃちょっと離れ過ぎの感覚だろう。
              これを気が付かせるには、
                    いくつかパターンがあるらしい・・・。
           コップを持つときは、
                       相手側に指を向けるように持つとか・・・。
                         立ってる時は指を口元に持ってくるとか・・・。
                                  気が付いてもらってこその小宇宙というアートとなるわけで、
                    誰も分からないうちにはげたのでは、
              チトもったいないかも・・・。








缶コーヒーいっきに飲めば夏ツバメ     
        今年の梅雨は、
                       なんだかうすら寒いような日が多かった。
            完全に梅雨が明けて、
                     猛暑になるのに少し時間がかかった。
                      自動販売機はそんなことはお構いなく、
                                気温が低くても「冷た〜い」という設定に変わっていた。
                       なんだか買おうとして躊躇してしまう・・・。
                               まだ肌寒いうちに冷たい自動販売機にしてしまうのは、
             どんなもんだろうか・・・。
                      売上って落ちないもんなんだろうか・・・。
                      7月に入って二週目くらいだったろうか、
            今年の梅雨明けは・・・。
                      ようやく夏らしい太陽が頭上で光を放ち、
                          アジサイが終わって夏の花が目立ち始めたころ、
             コインをガチャっと入れて、
                    抵抗もなく「冷た〜い」飲み物を買う。
                      顔を上げてググッと一気に飲む目の上を、
              ツバメがさっと飛び去れば、
                 これこそほんとに夏は来ぬ・・・だ。
         日本の風情だろう。









古団扇パタパタとなる詰将棋
                  夏の日の夕暮れ前くらいから、
                     縁側に将棋盤を出して将棋をさす。
                  二人で指すへぼでもまあ対局。
                  一人で駒を並べてさす詰将棋。
                  二人で指すのがへぼ将棋なら、
                              待った待ったの掛け声の応酬のほうがにぎやかで、
                    見てる方はうるさくてしょうがない。
                        見てる方もああだこうだと参加となれば、
              ヘルスセンター状態・・・。
                           これが一人の詰将棋となると様相は一変する。
                    一手一手指すうちに手に詰まると、
                           いきなり団扇のパタパタが派手な音に変わる。
                これが何度か繰り返される。
                バタバタバタ・・・シーン・・・。
                バタバタバタ・・・シーン・・・。
                       こう追うときに使われる団扇というのは、
                    だいたいぶつけたり引っかけたりで、
          端が破けていたり、
                      つないでる糸が外に飛び出していたり、
                         まあ、興奮状態の歴史が刻まれてるもんだ。









夏蝶の纏わるスカイツリーかな
                  スカイツリーも開業してこの方、
                満員御礼が続いてるようだ。
                    まあ、興味という点では最近では、
                       まちがいなく一番じゃないだろうか・・・。
                     こういうものの開園日などと言うと、
                だいたいいちばんを狙って、
                        そうとう前から並んでる御仁が結構いる。
                           ニュースなどで顔ぶれを見るとだいたい若者だ。
                     まあ、相当長時間の待ちとなるから、
           トイレが大変だろう。
                          こういう騒動を見るたびについ思ってしまう。
               並ぶのに若者が多いのは、
                             やはりトイレの問題があるからなんじゃないか・・・。
                       ある程度の年になれば我慢しすぎれば、
                   膀胱炎となる可能性も高くなる。
            10番以内で入っても、
                   あとが大変だとこれはいけない。
                    当分、蝶よ花よのスカイツリー・・・。
             ようやく東京タワーに、
                         ゆっくり行ける日が来たと思ってしまう・・・。








五臓六腑みなもの申す溽暑かな
        梅雨が明けて、
                    猛暑日が間違いもなくやってきて、
            日本の夏の始まりだ。
                             梅雨のじめじめ感を嫌だとか鬱陶しいだとか・・・、
             言ってて梅雨が明けた。
                     さて空も青空ぽっかり夏雲も浮いて、
             ギラギラ太陽も空高く、
             しかも沈むまでが長い。
                           しかし、梅雨のジメジメ感が払拭されると次は、
                    夏のムシムシ感が充満してくるのだ。
                ジメジメ感からは解放されて、
                  今度はムシムシ感の世界へ・・・。
                ここらあたりでどこもかしこも、
                  愚痴と文句のオンパレードとなる。
                             この理不尽な変化に体内の五臓六腑が黙ってない。
               ビールを飲めばのど越しから、
                     胃に向かってシュワッといい気もち・・・。
                  しかし、あとは肝臓が黙ってない。
                          アルコールを分解するのに労働させるのか・・・。
                肝臓の後は腎臓が黙ってない。
                   誰が吸収排泄作業をするんだ・・・。
       う〜〜〜ん・・・。
                           なかなか穏やかになれない猛暑の夏なのだ・・・。







主催者吟

湧水を横目で過ぎて遠き小屋

夏山の岩の隙間に赤き花

小屋いでし連山月の照らしけり

走り来て丘で見る灯や梅雨の風

岩で飲む紅茶の香り登山かな




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