渡辺さんの俳句傑作選






2013年 2月の俳句





春の雷街に薬屋また増えて
                        最近どの町でも閉店の張り紙が目立つ・・・。
                     デフレスパイラルという名の下の不景気
                    これが原因ということが言われてる。
                 それはそうだと思わずうなずく
・・・。
                    しかし、閉店した店舗を見ていると、
            また次のお店が入ってる。
      その次の店が、
               あれ!?という気分にさせる

                    判で押したように決まった業種なのだ。
                      歯医者、クリーニング、美容室、整体・・・。
         そしてドラッグストア。
                       とにかくこの決まった業種の店が次に入る。
                       これよく見ると女性と年寄り御用達の店だ。
              以前は子供のゲームの店や、
                         若者をターゲットにする店が多かったように思う。
              いわゆる女子供相手の店だ。
                        今や女は変わらず子供が老人に変わった・・・。
                   歯医者、ドラッグストア、整体・・・って、
              言うまでもない店だろう・・・。

                            








    春一番短気は損気と教えられ     
     寒い冬。
                今季の冬を象徴する言葉だ。
                              北海道、東北の雪は異常を通り越して脅威になった。
                    関東でも1月14日に大雪が降った。
                       これがまた関東では驚異の雪になった。
                  東北、北海道の方から見れば、
                            ほとんど子供のような雪でパニック状態になった。
                かの土地の方から見れば、
                       呆気にとられるような光景だっただろう。
                      3月になってようやく春一番が吹いた。
                      これがまた猛烈な風だったわけだが、
                      なんかほっとさせられるから怖い・・・。
                    こんな時は、人生厳しい冬の時は、
                    じっと我慢をして短気を起こすなと、
               我慢が前面に出てくる・・・。
                               日本は四季折々厳しいとゆるいを繰り返す国だから、
                          我慢と短気をいさめる言葉には事欠かない。
                春一番が吹けばしみじみと、
                      ここは我慢だと自分に言い聞かせて、
                              少なくなった髪がバラバラにされるのをじっと耐えて、
               我慢の大切さを感じる・・・。








摩天楼仲良く並ぶ春の空
                              摩天楼というとニューヨークを思い浮かべる・・・。
                   キングコングの映画に登場した、
                      世界貿易センターは今は消滅したが、
                              空にそびえるビルに上っていくキングコングの姿に、
            自然を破壊されて、
                             行き場のなくなった動物の悲哀を見る気がした。
             日本の高層ビル群も、
                              やはり摩天楼という呼び名であっている気がする。
                         アメリカの風景と変わらないのだから・・・。
                                春となって花粉症との戦いを強いられてる身としては、
             ビルを見上げるのは、
                   鼻水が垂れてくるのを防ぐ時だ。
              鼻水を逆流させながら、
               ビルのてっぺんを見ると、
                            あそこに人がいることが不思議でならない・・・。
                               もしかしたら東京という都市自体ストーンヘンジ・・・、
                          ミステリーサークル化してるのかもしれない。
                鼻水の逆流を感じながら、
                    グルっと囲んだビルを眺めてると、
                   そんな感慨が浮かんでくるのだ。
                       並んでるビルが仲良しだということを、
                   付け加えるのを忘そうになった。









格安の人間ドック木の芽時
                   老人大国化している今の日本で、
                   全国共通どこででも通じる言葉。
           といえば人間ドック。
             健康診断ということだ。
                    これがまたピンからキリまであって、
                     どのコースを選ぶか同士が集まると、
               これが話題の一つになる。
                         一泊二日というのはかなり高級なコースで、
                        自慢しながら控えめに公表するコースだ。
                       報告されたほうは軽くショックを受ける。
                         ある年齢に達すれば毎年のことになるから、
                        そう簡単に毎回取れるコースでもない・・・。
                      だいたいは半日コースというところだ。
                                それも病院によって昼食券付とそうでないところがある。
                      これも後から知ると癪に障るところだ。
                 春先は受ける人数が多くなり、
                      コースの選別が大きく気分を左右する。
                   人間ドックに入るときに入る前に、
                           すでに気分が下を向くようだとこれはいけない。
                    再検査の時の気合いが出ない・・・。
                気分の充足感があってこそ、
                            再検査になった時に気合が十分乗ってくるのだ。
                            コースの選択の満足度は結構重要ということだ。








 おのが尾をもてあそぶ猫春寒し
                     自分の体の一部を遊び道具にする。
                      今の人間でいえばどんなことになる。
              髪の毛に細工をしたり、
         ピアスをしたり、
            刺青を入れたり・・・。
                     爪を噛むというのもあるだろう・・・。
            秦の始皇帝などは、
                   全国周遊の旅すがら籠の中で、
                     自分の一物で遊んでたというから、
                       そうだったのか始皇帝ってな気もする。
                   中国全土を統一したといっても、
                        意外と遊びは小さかったのかもしれない。
              始皇帝まで出てくると、
                      猫の話も気宇壮大な話になってくる。
                  それにしても自分の尾っぽを、
               追い掛け回すというのは、
                       精神的な観点からどうなんだろう・・・。
                        結構無心の境地に至るのだろうか・・・。
                         猫だからこれで無事でいられるんだろうな。
                      人間だったら追い掛け回してるうちに、
             頭の中が空っぽになり、
                          結構幸せな世界にたどり着くのかもしれない。
                       人間は幸福の境地にあこがれてるから、
            結構いいのかも・・・。





句会員の句


松の内気合で弾くが話し込み

久さびさの雪に踊れる心かな

雪かきや八十路の腰の音たてし

雪止みて晴れ誕生日夫亡し




主催者吟


静かさや鳥山茶花を散らし飛ぶ

霧の夜窓のポニーテールかな

終電の改札抜ける背に時雨

木の枝の幾何学模様雪止みて

節分の溜息豆の数多く




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