渡辺さんの俳句傑作選
2013年 5月の俳句
キャベツ食べポパイを気取る男かな
ポパイ・ザ・セーラーマン。
なんか懐かしい響きのあるこの名前。
その昔ディズニーランドというテレビの番組があって、
金曜日に放送されてたんじゃないかな。
そこで時々アニメで放送されていた。
これこそ古い話になる。
昭和も30年代だろう。
相撲で言えば栃錦、若乃花のころだ。
これを実際にテレビで見た世代というのは、
確実に還暦を超えていて、
その下の年代になると、
なんの話だろうという反応になる。
白黒テレビの時代だ。
まあ、古色蒼然とした話だ・・・。
ポパイのアニメにはオリーブという女性が出てくる。
このオリーブに何か事件が起こると、
キャベツの缶詰を手でつぶすようにして、
中身を出して食べる。
するとそれまでの非力が百人力になる。
今の変身のはしりって感じだろうか・・・。
とにかく強くなる。
でもこれって確かキャベツの缶詰の、
コマーシャルだったという話がある。
メーカーとタイアップしてたのかもしれない。
ポパイを気取ってもいいのだが、
気取ってみせる世代を考えないと・・・。
若い世代だとキョトンとして見られるだけかもしれない。
まあ、しっかり通じるのは、
おじさんから一歩出た世代だろうな・・・。
紫陽花やリトマス試験講義中
紫陽花というのはそもそもは青いのが普通だ。
梅雨の時期の花で、
梅雨独特の小雨の中に咲いていると、
なかなかの風情を醸し出す。
昭和の時代から平成の初期までは、
梅雨という季節感がしっかりあって、
湿度が高くムシムシしたり、
気温がぐっと下がったりを繰り返す。
そこにジメッとした細い雨が降る。
この雨に濡れて路地なんかに紫陽花が咲いている。
生垣なんかに咲いてると、
独特の湿った匂いとよくマッチする。
そこに唐傘なんかをさした、
任侠のお兄さんが歩いたりすると、
いきなり東映やくざ路線の映画の風景になる。
これがいかにも日本らしい、
ジトッとした雰囲気なんですな。
そういう梅雨の季節感がしっかりあった時代から今は、
日本の四季って感じはなくなって、
冬と夏の間にちょこっとそれとは外れた時期がある・・・。
そんな感じの雰囲気になってしまった。
紫陽花もなんだかいろんな色合いが増えて、
赤、ピンク赤紫・・・などなど・・・。
青だけじゃなくなった。
赤っぽく変色するのは、
土が酸性化するせいだという話を聞いたことがある。
リトマス試験紙の原理だ。
化学の授業で聞いたことがある。
赤と青が混在してる紫陽花は、
アルカリ性と酸性が半分づつってことだろうか・・・。
そこは授業中でも気づかず、
質問しなかった・・・。
されなくて先生もよかったかも・・・。
合歓の花我に一病偏頭痛
合歓の花といえば、
赤いヒラヒラした花が、
ポッポッポッと火がついたように咲く花だ。
結構真っ赤な色だ。
花自体の咲き方が、
なんだか病気と言えばそんな感じだろう。
虫が花の回りを飛び交うのも特徴だ。
見てるだけで病気になりそうだ。
そういう状態ばかりではないだろうが、
なんだか独特の花であることは間違いない。
宮城まり子の設立による、
ねむの木学園が有名で、
そこからこの名前の花があることを知った。
ねむとつくからボヤっとした感じの花かと思っていたら、
実際の花の印象は全然違った・・・。
偏頭痛が起こると、
ポッポッぽと咲くこの花のイメージが、
合うといえば合うかも・・・。
偏頭痛もズキ、ズキッと痛いのだ。
なんか痛みの感じとこの花の咲き方に、
共通点が見いだせそうなのだ。
ズキ!ポッ!ズキ!ポッ!・・・。
真っ赤なヒラヒラの花が、
傷み方と連動して咲くようだ・・・。
ねむの花を知らないと、
なんで偏頭痛と結びつくのか、
分からんということになるだろうな・・・。
合歓の花をよく知ってる人からは怒られるだろうか・・・。
さくらんぼ甲斐の女に情けあり
>甲斐の女に情けあり<
なんて言葉を読んでしまうと、
なんか意味ありげだなぁ・・・、
と思うのが、なんの変哲もない下世話な人間・・・。
こう書いている自分もその一人だ。
どんな状況でこの一言がこの句に入ったのか・・・。
第三者的な想像はどんなことでも入ってしまう。
多くの人に読んでもらってということもあるが、
それを一つ一つ書くわけにもいかない。
そうなると面倒なのだ。
さくらんぼというのが季語になっているが、
季語をとしてだけの言葉だろうか・・・。
女性のほほえみにかけてるのかもしれない。
その昔、スリーグレイセスという、
女性3人のコーラスグループがあった。
そのグループの持ち歌に、
「黄色いさくらんぼ」という歌があった。
そこからの連想がつながりそうだ。
最もそこからの連想は還暦以上という年代に限られる。
でも、俳句の層はそのくらいからだから、
けっこういけるかもしれない。
甲斐という地名が特定されているところをみると、
作者がそこに行った時の話か・・・。
テレビの紀行番組を見てたってだけかもしれないが・・・。
甲斐というと山梨県を指すわけだが、
山梨県全県区の女性の話だと広すぎる。
山梨県全体の女性の話かと思ってしまう。
さくらんぼを作っている地区と限定するべきか。
とにかくこの一句にかかる妄想も果てしなく広がる。
半日くらい平気で妄想を巡らせそうだ。
なにしろ、「スリーグレイセス」までいってしまうわけで。
還暦以上でないとウケることはなさそうだけど・・・(^_^;)
比国から迎えし嫁や杏村
農村の嫁不足は一段と深刻度を増している。
そういうニュースが出てから久しい・・・。
日本人の食糧を生産する場に、
日本人の嫁がいなくなった農村。
いきなり後継者不足に陥ってしまった。
フランスなど農業大国で、
こんな現象ってあるのだろうか・・・。
あまり聞いたこともないが・・・。
それほど日本の農村に魅力がないということなのか・・・。
日本の高度成長期が影響したという話もある。
農村から都会への進軍ラッパで、
大量の農村の学校を卒業した男女が、
都会を目指した・・・。
まあ、口減らしにはちょうど良かったかもしれないが、
その結果が農村には嫁が来ないという、
事態になってしまった。
挙句の果てが、
フィリピン、中国などの外国からつれてくる羽目に・・・。
中国から来た嫁さんが、
大事件を起こしたという話が本になって出ていた。
もちろんうまく同化してやってるところのほうが多いわけだが、
まあ、事件が起こると目立つってこともあるかもしれない。
今はさらに事態は深刻化していて、
農業自体をやる若者男女問わずがいなくなってしまった。
農業の高齢化がどんどん進んでるから、
TPPに参加するころには、
農業従事者自体いないんじゃないだろうか・・・。
参加したら農業が大変って、
もうその前の問題が大変すぎるんじゃないだろうか・・・。
TPP参加で状況が悪化すれば、
外国からの嫁さんも来なくなるかも・・・。
句会員の句
カーネーション生けてつくづく母偲ぶ
さつき咲く義姉のはがきにボケ見えて
すずらんの満開の庭姉想う
梅雨晴れや飲んで満足栄養剤
時早し友との語らい時雨止む
主催者吟
梅雨晴れや子スズメ母の口つつく
色失せしサツキに梅雨の初の雨
壊されし巣からツバメの消える街
五月雨や彩るネオン踊る街
いくつもの水の輪重ね梅雨の雨
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