渡辺さんの俳句傑作選






2013年 6月の俳句





談笑が罵倒に変わる冷奴
                 梅雨が明けた途端の猛暑
                 梅雨明けが早かったせいか、
                  猛暑も早く襲来してしまった。
               7月初めの猛暑襲来は、
                       気象庁始まって以来の珍事らしい・・・。
                                 それまでは比較的に過ごしやすい日が多かったせいか、
             いきなり体にこたえた。
                                  げんなり度がいきなりマックスまで駆け上がった感じ・・・。
            食欲も一気に減退。
                  こってり系が口に入らなくなり、
                         あっさり系を無意識に求めてしまっている。
                         猛暑の中でのあっさり系といえばまず素麺。
        それから冷奴。
                                順序は人によって多少の入れ替えはあるかもしれない。
                                 しかし、あっさり系の筆頭であることには間違いがない。
                            しかし、冷奴も食べ始めは和やかな雰囲気でも、
                      だんだん残り少なくなっていくとともに、
                        なんとなく猛暑の感覚が上昇していく・・・。
                               ちょっとした言葉の粗さで言い合いになる可能性大!
              こういう状況というのは、
                      結構身につまされることかもしれない。
                       猛暑珍百景の一景にはなるのかも・・・。









   縄文のヴィーナス愛でる梅雨最中     
                      梅雨の時期の楽しみというのは、
                            気分が今一つのせいかなかなかないのが普通。
                         快晴の時期にはまず気が付かないことに、
                  目がいったり気がいったりする。
                           やはり青空の下にいるときの表になる気分と、
                         曇り空が続くときの表に出てくる気分とは、
                     基本的に違うということだろう・・・。
                    人間の複雑な気分という世界では、
               自然界の変化というのは、
                  常に良くも悪くも影響を受ける。
               縄文のヴィーナスといえば、
                       国の重要文化財にもなっている土偶だ。
                           写真で見ると結構どうってこともない土人形だ。
                しかし、これが実物を見ると、
                  圧倒的な迫力で迫るものがある。
                       やはり間接的に伝わる情報というものは、
                 きわめて微小なものだとわかる。
          快晴の空の下では、
                 なかなか気分的に受け入れて、
                      しみじみということにはなりにくい・・・。
                          しかし、曇り空の下での気分という世界では、
                        結構土偶のようなシンプルな色彩形状が、
                      簡単に意識の中に入ってくるのだろう。










父の日や人間ドックの予約取る
           父の日がいつか、
                      パッと答えられる人ってそう多くない。
                             普段から母親に比べると子供たちの関心も薄い。
                      居て当たり前ということなのか・・・。
                               口数も少なく接する時間も少ないということか・・・。
                          とにかく、居たのっていう反応が結構ある。
                      亭主元気で留守がいいというのは、
                              主婦たちのひそかな流行語にもなっているようだ。
                  母の日が来て父の日が来る。
                              母の日では結構テレビなどでも盛り上がっている。
                     ここで盛り上がってしまうせいか、
                             父の日になるとかなりトーンは低くなってしまう。
                     なんだかそう言えばという扱いだ。
                          唯一注目を浴びるのが健康かどうか・・・。
                              この時とばかり父親の健康の話題が盛り上がる。
                             テレビなんかでも癌とか脳卒中、心筋梗塞など、
                        そんな話題がこの時は増える気がする。
                            そうなると日頃の不摂生を見ている家族から、
                     調べる義務を懇々と諭される・・・。
                                 年末の人間ドックの予約がすでにとられていたりする。
                          既定路線いきなりが敷かれているのだ・・・。









梅雨晴れ間登山列車に異邦人
                     梅雨という季節があったのかどうか、
                           今年はなんだかよくわからない季節感うちで、
                  梅雨が終わったという感じ・・・。
               梅雨入り宣言は早かった。
                       5月終わりには梅雨入り宣言があった。
                 しかし、そこから晴天が続き、
                      雨がほとんど降らない状態が続いた。
                  それがいいか悪いかというと、
                  そう悪い状態とも言えない・・・。
                                 ジトジトした雨がどんより重い空から降っている天気は、
                          やはりあまり気分的に上がる状態ではない。
                      では、梅雨と言って晴れが続いてると、
                  これまたなんとなく物足りない。
                               やはり梅雨と言って覚悟を決めている精神状態だと、
                       ジトジトっとした雰囲気が出てこないと、
                     肩すかし状態になるのだろうか・・・。
                        それでも梅雨のあいまの晴れというのは、
                             普通の季節の晴れよりはありがたく感じるものだ。
               いわゆる梅雨の時期では、
                      自然の中へ足を運ぼうという気には、
            なかなかならないが、
                            梅雨の晴れ間という気分で自然の中に出ると、
                       なんかより一層気分が晴れる気がする。
                          そんな一日の登山電車の中に外人さん・・・。
                    なんか新鮮な気分で見てしまうね。








紫陽花やスイッチバックで山登る
                    箱根登山鉄道のような山電車は、
                                  まっすぐ急こう配を登って走るということができないから、
                          ジグザグジグザグと行ったり来たりしながら、
              山の斜面を登っていく。
                  結構のんびり登っていくから、
                     風景もそう変わってもいかない・・・。
                 もっともスピードが上がると、
                       事故が起こりそうな予感がはたらいて、
             恐怖ということもある。
                          以前乗ったときは片方の端につくと止まって、
           反対側に走り出す。
               最初は面白く見ていたが、
                  だんだんこの行ったり来たりが、
                        いい揺れになって居眠りが出てしまった。
                    ガタンと止まって目が覚めて終点。
                       なんか全行程が見られなかったことに、
                    ちょっと損した気分になったりした。
                        ゆりかご気分にさせる行ったり来たりが、
                            こういう電車のいいところでもあるのだろう・・・。
           居眠りを誘われて、
                             山のマイナスイオンの中でうつらうつらすることが、
                        なんか精神健康にはいいという気がする。






句会員の句


梅雨晴れにいまさらながら髪染める

若き日の子にも白髪混じる夏




主催者吟


新緑の匂いの先の大雪渓

雨あがりドクダミ臭う古刹かな

客の居ぬカフェの灯りや梅雨の夜

そろり吹く網戸の風に夢覚める

バラに降る雨にショパンのプレリュード




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