渡辺さんの俳句傑作選
2013年 10月の俳句
台風禍ハヤシライスのお裾分け
今年の後半は嵐と共に過ごしたといっていい・・・。
天気予報を聞けば毎週のように台風発生のコメント。
一つ二つは良いけれど、
三つ目以降はイチイチ驚く寺の木魚・・・。
まあ、そんな冗句も飛び出してくる。
台風が来襲するたびに大きな被害をもたらし、
人命が失われる・・・。
あちこちの避難所の映像が流れる。
なんだか疲れそうな状態だ。
お年寄りの負担は大変だろうな、などとすぐに浮かぶ。
それにしてもこれだけの台風が来るのは、
ここまで生きてきた中でもそうはない・・・。
記憶のある大台風の名は伊勢湾台風だ。
それでもこれだけ次々来たわけではない。
地球温暖化。
もう地球の懐にもおさめきれないほど、
ひどくなってきてるのだろう。
人類も徐々に地球から見捨てられてきてるのだ。
かつての恐竜のように・・・。
見て見ぬふりをいつまで決め込むつもりなのか、
もう誰にもわからなくなってるんでしょうな・・・。
台風襲来の度に物を助け合うという隣組が、
また強固になっていきそうな気配だ。
台風の眼を突くスカイツリーかな
スカイツリーの切っ先はなかなか鋭い。
ゴジラが掴んで構えれば凶暴な凶器になりそうだ。
ほとんど槍のようにつつかれれば、
すべてを突きつぶすだろう。
鉄腕アトムが根っこごと引き抜いて突撃すれば、
地球の裏側まで突き抜けそうだ。
この切っ先鋭いスカイツリーの仕様に、
台風の目をつついて追い払うというのがあるかもしれない。
台風も痛がるということだ。
634メートルの巨大な槍だ。
台風の目というより尻をつついたほうが効果がありそうだ。
ガンダムに持たせて、
台風の尻をつつかせたらどうだろうか・・・。
鉄腕アトムよりガンダムのほうが新しく、
今の状況をよく理解して台風をつつきそうだ。
チョンチョンと突くかドシドシ突くかで、
台風の反応も変わりそうだ。
日本列島の海岸線で待っていて横から突けば、
太平洋の海に大きくそれていく可能性もある。
ガンダムにスカイツリーをレンタルして、
来年からの台風を退治してほしいものだ。
台風裡醤油かソース迷いけり
台風も毎週日本列島に向かって来ると、
日本列島にそんなに魅力があるのかと、
肩をたたいて聞いてみたくなる。
日本人自体が今の日本の見た目に、
どこまで魅力を感じてるかと聞かれれば、
なんとなく口ごもる風情となるだろう・・・。
もちろん無条件に日本が大好きという階級も、
いるにはいるだろうけど・・・。
それにしてもはるか遠くに生まれて、
最初はヨタヨタと動き始めて、
力強くなったら日本へというコース取りが、
どうもいまひとつ理解できない。
もっとも大陸の高気圧に押されて、
そのコースをたどらざるおえないということも、
理由にあるらしい・・・。
PM2.5が注目を集めているが、
この高気圧も実は大陸からの、
惨禍の呼び水になっていると言えそうだ。
これにもう一つ偏西風という風まで吹かせて、
台風を日本へのコースを確実にしている。
この惨禍の台風の時に、
日本古来のしょうゆをかけるか、
西洋かぶれのソースをかけるか・・・。
台風の進路をじっくり見ながら、
思案のしどころだろう・・・。
台風や渋谷路地裏ジャズ喫茶
台風が来ると知っていて出かけていくのは、
なんともつらいところだ。
ニュースで傘を飛ばされそうになりながら、
歩いてる映像が流れたりすると、
出かけてもこういう姿がテレビに映るのかと思うと、
もう一つ気分がよくはない・・・、
って映る可能性はないわけだが・・・。
とりあえず傘を持って台風襲来のニュースを背に、
トボトボと駅に向かって歩く・・・。
どの状態の時に台風が襲ってくるのか、
一番気になりながら定まらない想像をしながら歩く。
電車に乗って窓打つ雨が強くなってくるのを見ていると、
降りる駅を若干変えようかという気になってくる。
風雨強烈な時に歩きたくはない・・・。
そこでいい喫茶店はないかと思いを巡らせると、
渋谷あたりの喫茶店がいいのかなという結論が出てくる。
ここには名曲喫茶とかジャズ喫茶とか、
マニアの溜まる喫茶店があったりする。
台風の風雨が弱まるひと時、
こういう喫茶店で過ごすのは結構嫌な雰囲気ではない。
ちょっと煙草のヤニ臭さが漂って来たり、
なんだか元気なジャズのリズムを聞きながら、
台風の過ぎるのを待つという、
ひと昔前の自分を思い出したりする。
古書店のワゴンの駄本秋時雨
最近どうも暇な時間ができると、
本屋に入るのが習慣化している。
これが原因となって積読状態が出来上がってるわけだ。
部屋の富士山を形成している。
秋も深まってきて日が落ちるのが早くなると、
本を手に取る時間が長くなる・・・。
だからと言って全部読めるわけでもない。
ま、居眠りしてる時間も含まれているわけで・・・。
灼熱の夏が過ぎて手ごろな気温と湿度になると、
本を読むという気分は盛り上がる。
しかし、猛暑の疲れも出てきて、
読書の気力と居眠りの気分とがせめぎあう・・・。
その時々によって読書が長くなったり、
居眠りが長くなったりするわけだ。
居眠りが長くなると、
自己嫌悪という気分が出てくるから厄介だ。
誰が見てるわけでもないから、
どうでもいいと思うのだが、
昭和生まれの特性というか、
どうももう一つ割り切れない・・・。
本屋に入って正当なる文庫本に興味を持つと、
買おうかどうしようか懐と相談する。
これがどうでもいいような、
でも興味があるという本を目にすると、
懐以前に良心の呵責とのもみ合いになる。
こうなった時の解決方法が、
古本屋、そうツタヤで探すか・・・これ。
句会員の句
ゆずの枝日々垂れ下がる影長し
せっかくのゆず落とされし悔しさよ
千両の実鮮やかに青き空
久々の娘の愚痴や長き夜
主催者吟
晩秋や乗客一人里のバス
一面にどんぐり落ちて回り道
いそがしく柿食らう鳥
コーヒーの湯気太く揺れ秋深し
晩秋のカフェ一人いる広さかな
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