渡辺さんの俳句傑作選










3月の俳句





猿山の ボスを泣かせて スギ花粉
                      さ〜て・・・・という感じで三月になった
                      杉の花粉が飛び始めるということだが
                      今年は三月になって寒くなったせいか
                       前予想よりグッと軽い症状ですんでいる
                                     しかし、少し気温が上がると鼻がムズムズしてきてくしゃみ一回
                       後は、鼻水の情け無用の垂れ流し状態
                           これが猿山の猿にも花粉症があるということで
                            涙目のウルウル状態の顔を人目にさらしている
                              普段は睨みの効く怖い顔であたりをいせきしている
                   左右の鼻の穴から鼻水をたらして
                         凄みのある目もウルウルした状態になれば
           なんとも迫力不足で
                    頭をなでたくなる愛嬌になってしまう
                                    遠目でこれを見ている猿どももなんか三割くらい笑いを含んだ
                    なんともとぼけた目つきで見ている


かじかむ手 こすり爪弾く Fコード
                   春の声が聞こえてきたといっても
                        吹く風は時として厳しい寒さを持っている
                          一人になってギターを手に取る四畳半・・・・・
          姿勢に気をつけて
                      練習し始めるがセーハの箇所に来ると
                              冷え切ってしまった手に力を入れている感覚がない
              音が一つも出ない(>_<)
                   息を吹きかけ両手で手揉みをする
                               気持ちを入れ替えてグッとセーハをしてジャランと弾く
    ダメ!!
        Fコードはダメだ
                    ま、このコードはいつもダメなのだが
                               冷たくなった左手のせいにしてみる今日この頃・・・・・・



蝋梅の 香りの抜けて ゆく遺跡かな
                           普通の梅より少し早く花を咲かせる種類の梅
                  最近考古学趣味の人が増えて
                          少し流行という言葉が入ってきそうな気配だ
                    韓流ほどのことはまあないだろうが
                 静かなブームとは言えそうだ
                          地味ではあるが最近の新たな発見は幅広く
                知的興味を刺激するようだ
                   こういう遺跡をめぐるようは人は
                      花の香りをめでる風流も有りか・・・・・
                   そういう風流も若干意識しながら
                古代のロマンをめぐってみる
            晴れ渡った空の下だ




鶴亀算 分からぬままに 卒業す
            学校出てから〜十年
                        何をどのくらい覚えているかと聞かれると
                          その自信のなさはわれながら呆れるばかりだ
                                よく今までの人生で何事もなかったと感心するほどだ
                 鶴亀算という学問があったが
                  まったく理解できぬまま終った
                                  しかし、今思い出してみるとそういえば習ったなと思うが
                                      それが分かったか分からなかったかということが今までの人生で
                                 自分に何か影響を及ぼしたかということを考えてみると
                 まったく何の影響もなかった
                            知らないからといって昇進にも影響がなかった
                     もしかしたら、鶴亀算にかかわらず
                                 どうでもいい勉強というのは結構あったのかもしれない



八畳の ピアノの上の 雛かな
           3月3日はひな祭りだ
                                     子供の小さいときはなんと華やかのものだろうと思ったものだが
                      長ずるに及んで年々地味な存在となり
                                     以前は八畳間のかなりのスペースをしめて飾られていたはずが
        徐々に縮小して
                                       今年は、ついにピアノの上にちょこっと置かれただけの状態になった
                        まあ、何も言うことはないわけだが・・・・・・
                          来年、雛人形自体が飾られればいいが・・・・・
             と、思わず思ってしまう



春隣り となりに住まう 音大生
                            三月になっても去年と同様今年も寒い日が多い
             ほっと一日暖かくなって
                                 これで春爛漫のゴールテープを切るかと思われるところで
                          ググッとブレーキがかかりまた寒くなってしまう

                          一歩手前のところでこちらを硬めで睨んだまま
           ゴールしようとしない
                  まったく憤慨したくなる状況だが
                           となりから軽やかなピアノの音が聞こえてくると
                              ついその憤慨しようとする気持ちが丸くなってしまう
                 音大に通う学生が住んでいて
                                  モーツァルトのトルコ行進曲か何かを昼下がりに弾かれると
                        気分はノー天気に春弥生の気分になれる





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