渡辺さんの俳句傑作選






2014年 1月の俳句





着膨れの愛犬のせてベビーカー
                     今年の冬はいやに気温の高い日、
                低い日が繰り返される冬だ。
                      これが結構極端なぶんきついわけだ。
            恐竜が絶滅したのは、
                         気温、気候の大きな変化だという説がある。
                  巨大な隕石が地球に衝突して、
                  そのゴミによって空がおおわれ、
                 気候が激変したというものだ。
                          地球を支配していた恐竜も気候の変化には、
                       もろくもついていけなかったということだ。
                      北極、南極の氷が激減りしてる今世紀。
                  気候が大きく変化してきている。
                      これ人類の絶滅の予兆じゃないか・・・。
                     恐竜が絶滅したのは外からの要因で、
             気候の激変が起こった。
                                人類の滅亡は人類が引き込んだ気候の激変で絶滅・・・。
                        まあ、人類は天に唾しちゃったということだ。
                            愛犬に着膨れするくらい着せて極寒の中散歩・・・。
                   愛犬に厚着させて見てる飼い主も、
                 あたたかくなってしまおうという、
                           極寒の時の寒さしのぎって感じがしないでもない。
                        犬たちは人間とは違う動物ということだけど、
                               こういう待遇が果たしてためになってるのかどうか・・・。
                     人類と一緒に絶滅じゃないかなぁ・・・。









   
人日や窓にならべるマトリョーシカ     
                         
いよいよソチ冬季オリンピックが開幕した。
                いつもは中国の陰に隠れて、
                           あまりロシアという名前も意識に薄くなったが、
                  ソビエト時代は得体のしれない、
                              共産主義の大国というイメージで常に名前を聞いた。
                      今やその地位も中国にとってかわられ、
                       ずいぶん存在が大人しくなってしまった。
                               今や安倍首相と仲のいいおじさんみたいなノリだ・・・。
                                  実際はそんないいおじさんなどという話ではないのだが・・・。
                 ほんと中国の陰に隠れた形だ。
                       ロシアになってもロシア民謡は変わらず。
                     ソビエトからロシアという名前変更で、
                              むしろロシア民謡というとダイレクト感が増したと思う。
                       マトリョウーシカもソビエト時代からあって、
                 名前は聞いたことがあるのだが、
                     なんだかあんまりフィット感がなかった。
                            ロシアになってなんだかぐっと身近になった感じで、
                 これもフィット感が増したと思う。
                       ソビエトというとなんかギスッとした感じで、
                           ロシアというとなんかローカルなイメージにはなる。
                  ソビエト時代のピりピリした感じは、
                          ロシアになって普通の国の印象になったと思う。
                    オリンピックも普通な感覚で見られる。
              日本の選手が活躍すれば、
                      いい意味でもっと身近になりそうだ・・・。
                          マトリョーシカが似合う国になったというか・・・。








真冬日のかすかに疼く五十肩
                    
人間50年を経て還暦の声を聴くと、
                               「人間50年下天のうちに比ぶれば 夢幻のごとくなり」
                  と、織田信長は唄ったわけだが、
                    今は50年ではまだまだの時代・・・。
                 しかし、意識しようがしまいが、
                     関係なくどこか痛くなってくる年代だ。
                          40代はまだそれでも何とか乗り切れるのだが、
                  50の声を聞くと膝、腰、首・・・。
               人によって場所は異なるが、
                     何か一つくらい痛いところが発生する。
                        胃が痛くなるなんてことも起こりやすくなる。
                   太田胃散の消費が増えてくるのだ。
                          太田漢方便秘薬などもなぜか薬の瓶の並びに、
          常備するようになる。
                     一年一年この薬の瓶が増えてくるのだ。
                          この便の市販薬で収まってられるのは50代だ。
            還暦に近づくにつれて、
                     医者に行っての薬が必要になってくる。
                           なんだか情けない話になってくるのがこの年代だ。
                   共通していたくなる場所がある・・・。
   肩だ!!
                       これはなぜかほとんどの人間に降りかかる、
          共通の痛みのようだ。
                  まあ、学校を卒業して社会に出て、
              その重石を両肩に背負って、
      ウン十年・・・。
                     途中家族ができて背負う重しの重さも、
           一気に重量が増える。
                     黙々と50代まで歩き続けてある日・・・。
              イテっと肩が上がらなくなる。
                   一気に肩の蝶番にガタが来た感じだ。
                            今年みたいな冬になるとぐっと気温が下がった時に、
                  ウズっとお知らせなんかが来る・・・。
                       いきなり憂鬱の虫が一斉に起きるのだ・・・。








街角でワッフル食べて寒夕焼け
                         この冬降った雪は東京45年ぶりの積雪。
                  横浜は16年ぶりらしい・・・。
                            横浜で吹雪体験をするのもあまり記憶がない。
                            去年の夏から尋常でない気候が続いてるのだ。
                   これも温暖化の影響らしい・・・。
                             温暖化でなぜ大雪が降るんだということもあるが、
                             そこは専門家の話を聞いたほうが分かりやすい。
           ここでは省略・・・。
                          とにかく気温も低くなって寒いのなんのって、
                          ストーブをつけていてもなんだか暖まらない。
                   下手をすると背中から震えてくる。
                 こういう寒さと大雪の中では、
                         あまり経験のないストレスが出てくるものだ。
                         その出方は人によっていろいろだと思うが、
               いやに日本酒を欲する人、
                ラーメンを食べたがる人・・・。
                 基本的に寒さからくる反応だ。
                      要するにひもじいということだろう・・・。
                すっぽり寒さで包まれた街角。
                         ちょっと暖かいワッフルなんかを食べるのも、
                       甘党にとってはストレス解消になりそうだ。
                              これが焼き芋だといきなり昭和の風景になるのだが、
                                平成もここまで来ると焼き芋なんて言葉は何となく死後。
                              ワッフルという横文字が似合って来るんだろうな・・・。
                                草食性男子の時代はやはりワッフルが似合いそうだ・・・。








冬の雲真っ赤な嘘の記憶かな
                真冬の厳寒の朝日と夕日。
                     ものすごく緊張感のある空気感・・・。
                        こういう時の夜明けの時の色というのは、
                荘厳にしてドラマチック・・・。
                    強烈な紅に近いオレンジ色となる。
                       冬の明け方などは心してかからないと、
                       まず起き上がって外に出る気はしない。
                           しかし、思い切って覚悟を決めて外に出ると、
                         表現できないくらいのこの色が待っている。
                                 この真っ赤な嘘という真っ赤にどのくらい近いのか・・・。
                                 なぜ完全なる嘘が真っ赤なというふうに表現されるのか、
                        慣用句のように使われる言葉の一つだが、
                        なぜまっ黒じゃないのかということがある。
                          だいたい嘘なんて人をだます行為なのだから、
                   まっ黒が当たってる表現だと思う。
                     これは結構奥の深い疑問なのだ・・・。
                         それは真っ赤な嘘だろうとはよくいう言葉だ。
                           なぜ真っ赤なのかとは哲学の範囲だろうか・・・。
                               腹黒いという言葉はあっても腹赤いという言葉はない。
                    真っ黒なウソという言葉もない・・・。
            真っ赤な色を見てると、
                           それがなぜ大嘘の表現になるのかかなり疑問だ。
                 これのなぜを突き詰めていくと、
                            ブラックホール探検みたいなことになりかねない。
               冬の色は赤というのがある、
                     南天の実、千両の実、万両の実・・・。
                 冬の空気感には赤色が映える。
         真っ赤なが嘘で、
                     真っ黒がほんとなんてことになったら、
                結構大混乱って気もする・・・。
                                 それでも真っ赤な嘘という言葉は存在し続けるんだろうな。
                            震えるような冬に真っ赤な嘘の記憶をたどるって、
                         なんだかめちゃくちゃ苦しそうなんだけど・・・。





句会員の句


元旦の友との語りスープ冷め

いつの間に小さき芽あり春待たれ

葉の落ちて残り柚子の実二つ三つ

気高きは夕日に染まる冬の富士





主催者吟



ワカサギの糸もつれたり親子かな

隙間より光の伸びて彼岸かな

三日目にパスタの並ぶ夕餉かな

酒に酔う脳楽しめり長夜かな

開く前本屋に一人みぞれ降る





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